坑道の魔物
魔力の痕跡を辿っていたシャムーンは足を止めた。
「先ほどのエンチャンターの気配だ……やはりあいつが」
注意深く木々の合間を抜けさらに先へ進むと急に開けた場所に出た。
古い山道に朽ちた小屋、人の痕跡が散見される一角に大きく口を開けた洞窟が見える。
「鉱山の跡地か? しかしこれは異常な魔力量だ……一体ここで何が行われているんだ」
風の魔法で気配を消し入口へ接近する。
暗く沈んだ坑道の間口にさっきの男が立っていた。
「くそっ! 結界が安定しない!」
「結界術は苦手のようだな」
「お前は! 邪魔をするな! 立ち去れ!」
「ここで作り出した練成魔獣に村を襲撃させていたのか」
「違う! 俺は頼まれて協力しただけだ! それなのに……」
結界がバチバチと音を立てて消えかかる。
「あんた精霊憑きだろ!? 頼む協力してくれ! 俺だけじゃもう抑えきれない、魔石もさっきので最後だったんだ!」
男はシャムーンに向けて懇願するような態度をとった。
「何を言っている……?」
「頼むよ……」
必死の形相の男。その時バリっと結界が破れた。
行動の奥から魔力を含んだ風が吹き抜ける。
「うああああ!」
暗闇から巨大な腕が伸びてきて男を掴んだ。
「頼む! 頼むよおお!」
悲鳴とともに男は坑道の奥へ引きずり込まれていった。
「あ、あれは一体……!?」
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