第6話 本性
ある日の事だった。
「なあ、小山」
3人の男子生徒のクラスメイトが、私の机を囲んだ
「お前、やるだけの事やってんだって?」
「今まで、どれだけの男に貢いでもらったんだよ!」
「どれだけの男と、ヤったんだ?」
「………………」
「数知れずなんだろ?」
「大した女だよなぁ~?」
「今度は俺達の相手もしてくれよ」
「もちろん満足させてくれるんだろう?」
その時だ。
「君達、辞めなよ!」
割って入る男子の声。
片桐だ。
「何だよ!片桐。お前には関係ねーだろう!?」
「そうそう。お前は引っ込んでろよ!」
「あー、それとも実は付き合ってて俺達にHさせないとか?」
「そういう関係?」
「君達の勝手な思い込みも困るんだけど…」
「席、隣同士だもんなぁ~」
「確かに無いとは言い切れないよなぁ~?」
「そうだよなぁ~」
「私達はそういう関係じゃないからっ! 変な事言うの辞めてくれるかな?」
「そんなの分かんねーじゃん!」
「まあ付き合ってないって事だし問題ないよな?」
「断る!どうしてあんた達の相手しなきゃなんないわけ?冗談じゃないし!」
「金やんねーと相手しないってやつ?」
「お金の問題じゃないからっ!私は心機一転して、そういう事はしないって決めたの!もう一切関わりたくないだけっ!分かったら諦めなよ」
「俺達が諦めるわけないじゃん」
「………………」
グイッと私の手を掴む。
「な、何?」
「場所移動しようって事」
「離して!私は行かないし、相手なんてしないから!」
「相手する位良いだろ!?」
強制的に連れて行こうとする。
「嫌だってば!」
ガンッ
机を蹴る音が教室内に響き渡りシーンと静まり返る教室。
「本当…口説い人達だねー」
「…………………」
≪…片桐…?≫
グイッと私の手を掴み男子生徒から引き離した。
ドキン
「関わりたくない。嫌だって言ってるんだから諦めなよ。それとも…言ってる事が分かんねー、馬鹿?あんたら」
ドキン
もう一人の片桐が現れた。
「おいっ!邪魔だ!退けよなっ!」
「退かないよ。連れて行こうとするから」
「てめぇ…」
相手は片桐の胸倉を掴んだ。
どうやら片桐のもう一人の姿に気付いてないと思われる。
「………………」
「殴られてーのか?」
「じゃあ、救急車呼んでよ」
「野郎っ!馬鹿にしやがって!」
拳を振り上げる。
「片桐っ!」
私は片桐の前に立ち塞がる。
「うわっ!馬鹿っ!」
片桐がグイッと私を抱きしめるようにすると、相手の拳を受け止めた。
「野郎っ!」
ドカッ
相手を軽く蹴っ飛ばす。
「…っ!」
「手加減してやったんだからありがたく思いな!俺が本気出したら本来ならマジ病院送りだから」
ドキッ
「第一さ、ここ教室だぜ?騒ぎになる前に辞めとけよ!」
「………………」
「みんなにも忠告する!コイツを、小山 悠香を変な目で見るのは辞めろ!好きでやってたんじゃねーんだよ!」
「片桐…ちょっと何…」
「お前は黙ってろ!」
抱きしめられた状態でもあり片桐に言葉を遮られる中、ドキドキ加速するも私の胸がざわつく
「コイツだって一人の人間なんだよ。コイツを冷ややかな目で見ないでやってほしい。俺は特別な意味で言っている訳でもない。ただ、みんなに分かって欲しいだけなんだ。俺も今は、こうして違う性格で話して、みんな引いているかもしれないけど正真正銘、片桐 裕矢で、同一人物だから」
「…片桐…」
「小山は引っ越し続きでクラスに溶け込んでないからこそ、一人の人間として接して欲しい。コイツ、みんなと、どう接すれば良いか分からないし、対応に困惑してるだけだから気軽に接して仲良く接して欲しいんだ。もしかすると、また引っ越しするかもしれないけど……」
抱きしめていた体を離し、片桐は教室を出て行き始める。
「ちょ、ちょっと! 片桐、待っ……」
「頭冷やして来る。一人にして欲しい」
「私だって無理だよ!恥ずかしくていれないから!」
「知るかっ!」
「無責任っ!」
私達は騒ぎつつ、教室を後に屋上へと行った。
私達は同じ屋上で別々に過ごす。
しばらくして ――――
「おいっ!小山 悠香っ!」
「な、何?いきなりより呼ぶな!」
「煙草も辞めろ!」
「えっ?」
煙草を取り上げる。
「あっ!」
「没収っ!全部回収!」
「えっ!?ストレスたまるじゃん!」
「未成年だろ!ガムでも食ってろ!第一、変わってもらわなきゃ天国の赤ちゃんと神様に罰与えられるぞ!」
「………………」
「確かに煙草を急に辞めるのは無理かもしれないけど、お前には変わってもらわなきゃ駄目なんだよ!」
「…片桐…」
「俺も協力はするから。専属の監視官もつけといた方が良いか?」
「専属監視官って……やだ!」
「だったら辞める努力して変われよ!つーか変わりてーんだろ?」
「……それは……」
「それとも何か条件あった方が良い感じ?」
「条件?」
「俺が考えてやろうか?」
「結構です!」
「遠慮すんな!約束守れたら俺と恋人として付き合うなんてどうだ?」
「や、辞めとく!」
「だったら自分で考えろ!」
「……思い付かない」
「………………」
「じゃあ努力するしかねーな!でないとマジ変われねーぞ!」
「わ、分かった!分かりました!」
「一応、俺の意見は保留な」
「えっ!?」
「お互いの秘密知ってる以上、ありだろう?恋人として付き合うなら本当の自分知ってる奴がよくねーか?今日みたいにバレた時、お前の事、そういう目で見る奴がいないとは限らねーし。だったらそうなる前に俺はお前の第一候補者になる!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます