第5話 生命、心機一転

そんなある日の事だった。



「…ゲホッ…ゲホッ…」



とある公園の手洗い場。

私は気分が悪くなった為、待機中。


考えたくないけど、まさかの妊娠の兆候と見られる。


生理がない事に、身体の異変には感じていたからだ。


様子を見ていたものの病院に行き出せず今を至っているのだ。




「………………」



自業自得だろう?




「お腹の子は誰の子?」



ビクッ

声のする方に目を向ける。




ドキッ



「……片桐……」

「あーあ、妊娠しちゃったんだ」

「ち、違うしっ!」


「………………」


「別に隠さなくても良いんじゃねーの?援交してるの知ってるし」


「………………」


「相手は知ってんのか? 心辺りは?」

「……知らないよ」



「………………」



「あんたには関係ないじゃん!」

「あー、確かにな!だけど、責任はとってもらえよ!」

「誰の子か分かんないから無理だし!」



「………………」



「私は都合の良い女。女として見られてないから。お金を出せば H させてくれる。H が出来る。そういう女だから」


「……お前…本気で言ってんのか? みんながみんな、そう思っているとでも?」



「………………」



「本意で好きになった奴の子なら生んでも構わねーよ!もちろん自分で育てる気があるならな!でも責任はとってもらえ!マジ分かんねーならおろせよっ!」



「………………」



「16、17の子供(ガキ)でも自分の意思位、持ってんだろ!? 自分の正直な気持ちでするんだな!」




私は下にうつ向き気付けば涙が溢れていた。




「………………」



フワリと優しく抱きしめられる。



「小山……」



ドキッ



「……片桐……私…」



抱きしめた体を離し、私の両頬を両手で優しく包み込む片桐。



そして、キスをした。




「宿った生命に申し訳ないかもしれないけど…すぐに神様が助けてくれるから。だけどお前はその生命と約束しな」



「………………」



「小山 悠香。お前自身が変わって、また自分の所に戻って来てってな」


「私……変われるかな……?」


「変わろうと思えば変われる。いや……変わった方が良い。自分の為にも、次生まれる子供の為にも」




私は1つの生命をおろした。



「今度は、本気で好きになった人の間に生まれて来てね。私、変わるから。その時、会おうね。必ず生んであげるから……ごめんね……」




私は、そう約束と願いを込め、自分を変える事にした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る