第3話 もう一人のアイツ

ある日の学校での事だった。




「ねえ」



朝の H.R. 中に、転入生の、片桐 結哉が話し掛けてくる。



「何? 今、H.R. 中だよ」

「誰も聞いてないんでしょう?」

「いや…まあ…どうだろうね…」

「それより、君、クラスに溶け込んでないね」


「………………」


「休み時間、いつも何処に行ってるの?話そうと思ったら、君、すぐいなくなるから。クラスに馴染めない理由あるの?」


「引っ越し多いからだよ」

「えっ?」

「すぐ別れる事になって淋しい思いしたくないし」




そして、H.R. が終わる。



「だから、私に関わらない方が良いよ。ていうか関わらないで」





そう言うと私は席を立ち、教室を出て行く。




「………………」






数日後の学校での事 ――――




「へぇー」



ビクッ

屋上にいる私の元に背後から声がした。




「大した奴」




振り返る私の視線の先には、同じクラスメイトの隣の席の片桐 結哉の姿があった。




「えっ!? 片桐 結哉?」

「未成年で喫煙かよ!」



ドキン



同一人物?


そう思うような出来事が、今、私の目の前で起きている。


違う一面を見て何故か胸が高鳴ってしまった。




「ちょ、ちょっと内緒だかんねっ!」

「別に言う気はねーけど」



≪つーか……同一……人物……だよね?≫



私の知ってる片桐 結哉じゃない。


話し方が明らかに違う。



「何だよ! 人の顔じっと見て」

「あんた…本当に…片桐 結哉?」

「は?」

「無邪気な男の子は何処?」

「何処って…両方とも俺だけど? 」



「………………」



「…何で? 性格変わりすぎ!?」

「俺のやり方!」

「別人じゃん!」


「お前も人に言える立場かよ。煙草吸ってる女には見えねーな。まあ、見た目は普通の高校生だけど、ピアスしてるし、援交なんて当たり前なんじゃねーの?」


「だとしたら?」

「別に! 気にしねーな! まあ、好きな女なら辞めさせるけどな」




クイッと顎を掴む。




ドキッ



「お前、どんだけの男とヤったんだ?」

「そんなのあんたには関係ないじゃん!」

「初Hは?」

「14。つーか、レイプされた汚れた女だから」

「えっ!? レイプ?」

「そっ!」



掴んでいた顎を離す。



「せいぜい、身体大事にしろよ。後々、後悔する事になっても知らないからな!」


「ご忠告どうも!」



そして彼は去って行った。






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