第2話 援助交際

「ねえ、君、何してんの?」


と、中年のおじさんが声をかけてきた。



「何してんだろうね」

「一人?」

「うん、一人だよ」

「いくつ?」

「16」

「16!? 本当に?」


「うん、本当だよ。おじさんは……指輪してるから結婚してんだね。単身赴任?それとも、こっちに家族でいんの?」


「単身赴任だよ」

「へぇー」

「早く家に帰らないと親が心配するよ」

「ウチ、共働きだから帰ってもつまんなくって。だから遊んでんだ」

「遊ぶって言っても…」



私はおじさんの手を掴むと、自分の胸に手を押し当てた。




「…………………」



「声を掛けて来るって事は、その気ありなんじゃないの?」

「……いや…俺は…そんなつもりは……」

「嘘」



掴んでいた手をおろし離す。



「良いよ」

「えっ!?」


「女子高生の身体に興味があるのか……それとも……他の理由? 私、色々な人とした事あるから初めてじゃないし全然大丈夫だよ。それとも、おじさんが、こういう事初めてなのかな?」


「いや…ないわけじゃないけど、おじさんは、もう随分と前に卒業したから。まあ、卒業したって言うのもおかしい話なんだけどね」


「そうなんだ。じゃあ辞めとく?」

「君はどうして欲しいんだい?」

「えっ?私は…別に来るもの拒まず?つーの?だから別に」

「そうか」




そして、結局、ホテルに行く事になった。






そして、更に、又、別の日。



「今日は収穫なしか……帰ろうかな?」



と、その時だ。



「ねえ、何してんの?」

「えっ?」



≪若っ!しかもカッコイイ系だし≫



「もしかして援交?」

「えっ?……あっ…まあ…」

「へぇー、いるんだね? そういう子」


「まあ…一応、私はそうだけど、みんながみんなじゃないし。でも、もう帰ろうかなって思ってたから」




グイッと肩を抱き寄せられた。



ドキッ




「じゃあさ、帰る前に俺とヤんない?」




耳元で、ストレートに言ってきた。


しかも至近距離にある整った顔立ちの若い男の人に胸がドキドキ加速する。


男の人は、そのまま話を続ける。



「えっ!?」

「それとも…俺みたいな若い奴よりも、おじさんが良い? おじさんが、やっぱり好みなのかな?」


「いや…好みとかそういうのは……」

「ない感じ? まあ、滅多に俺みたいな若い奴は声かけてくる事ないだろうからね」

「それは……ていうかお兄さんいくつ?しかも指輪してるし」

「23。結婚して1年」



私は何とか押し離しながら話を続ける。



「えっ!? まだ、ラブラブじゃん!」

「デキ婚だから」

「デキ婚!?」

「そう!確かに一応、好きな女だったけど、愛が冷めきってる中、泣き付かれて仕方なく結婚した」


「えっ!?マジで言ってんの?」

「マジだけど? で? どうすんの? それとも……その気にさせた方が良い感じ?」

「えっ?」



グイッと引き寄せ、顎を掴むとキスをしつつ、深いキスをされた。




≪えっ!?≫

≪ちょっと……この人油断も隙もあったものじゃないじゃん!≫




余裕がなかった。

街中で平気でキスする男の人。



≪し、しかも……ヤ、ヤバイ程、上手過ぎ!≫





今迄に会った事のない人だった。


それは無理もない。


援交相手は、おじさん相手がほとんどだからだ。




「どうせ援交ばっかで、本当の H した事ないんでしょう?たまには良いんじゃない?」



至近距離で言う男の人。



「えっ!?」




男の人は、私の返事を聞かず肩を抱き寄せホテルに連れて行った。



「ねえ、いつ初Hしたの?」

「えっ…? …忘れた」

「忘れたって事は…思い出したくない感じ?」

「…えっ…? あ…いや…私、レイプされたんだ……」


「レイプ?」

「そっ!14の時かな?それから援交するようになった」

「へぇー…じゃあ妊娠した事は?」

「ないよ」

「そう…」




そして――――




「妊娠したらごめんね」

「えっ!?」

「な~んて嘘」

「ちょっと、お兄さんが言うと冗談に聞こえないんだけど!」

「そう?」

「そうだし」



私達は、しばらくしてホテルを後に帰り別れた。




「…なんか…疲れた…一気に脱力感…」





さっきの男の人は、何回も私に H の要求をしてきた。


だけど、今迄、経験した事のない H だった。


若い男の人だからなのか、かなりのやり手のような気がした。


H を楽しませてくれるというか……


単刀直入に言うと…H が上手?


好きな人も彼氏がいた試しのない私は、初めて味わった事のない感覚を何度も経験した。


今思えば、あんな自分見たことない程で……


恥ずかし過ぎて…ヤバかったような気がする。


頭がおかしくなる位、私の身体は、さっきの男の人とした感覚が抜けない位、余韻があり身体が熱くなってる。





そして、男の人は、別れ際。



「好きな男とするキスも H ももっと良いんだから、早目に、こういう事は辞めたら? もっと身体は大事にした方が良いと思うけど? 感じるものも感じなくなったらおしまいだからね。可愛いのにもったいないよ」






ありがたい言葉なのは分かっていた。


だけど、私は何かしらのきっかけがないと抜けれない気がした。


私自身を変えるきっかけや私を真剣に考えてくれる人。


私自身も努力しないといけないって ―――



誰か現れるのでしょうか?






























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