S10 寂れた街の原因 3月6日

――照葉市 寂れた雑貨ビル1F:星を見る――


七歌「人身売買って儲かるんですねデボン社員パイセン。今まで先輩のこと極悪非道だと思ってましたけど、これはちょっとやめられないです」

衣笠「そうでしょ?いらない人間を捨てるついでにお金までもらえるんだから損ないわ」


勇聖「こうしてまた一人悪の道に……」

七歌「蓮のこと悪くいったんだから、当然だよね」


衣笠「そうやって唐突にヤンデレ感出されるとちょっといじりにくいんだけど……。ま、今日は氷取沢から依頼が来てるのよ。適当にライン飛ばして頂戴な」

七歌「はーい」


――30分後


平「お、カモっちいるじゃん!じゃあ……今回はイッチーの番だったか!」

樟穫「葉生ちゃん、今日はテスト勉強するみたいで……。さみしい……」


衣笠「集まったわね?まあ前日の時点で概略は伝えてると思うんだけど、氷取沢から仕事の依頼が来たわ。――金は儲けれるけどそれ以外が不安なやつね」

衣笠「それ以外ってのは、内容についてよ。ま、いつもどおりではあるんだけど作法について教えるとかどうのこうの言ってるからね。裏稼業待ったなしねコレ」


勇聖「そろそろ太陽の下も歩けなくなるかな?」

葦名「業界での立ち振る舞い講座ですわね。おチビのころに仕込まれました礼儀作法みたいなものですわね。うんざりなので出会い頭にバッサバッサと切って捨てて投げてを繰り返したいですわ~~」

国見「しがらみに雁字搦されるわけじゃないなら良いんじゃないかな。知らないより良いしね」


衣笠「ま、犯罪はするつもりもないし無理そうなら逃げるのが一番ね。一応逃げる身構えだけはしてもらわないと」


――空き家――


▶未だ不動産の看板が立っている家の前で、黒い手がおいでおいでしているのが見えます


樟穫「見るからにダメなやつ……」

七歌「行きたくないなあ……」

葦名「これは礼儀作法の入門編。あのお調子者、ここから私たちを試しているのですわ。まずは握手からですわよ。ですがここは相手に合わせてこちらもこれで握手ですわ!」


▶黒い手に向かってマジックハンドをガッシャンガッシャンしていますね


ハシドイ「こんにちは、皆様。本日は来てくださりありがとうございます、大したおもてなしも出来ませんがどうぞ」


勇聖「いぇーいおひさー、今日は何しに来たんだっけ?」


▶空き家に入ると、後ろを向いて座っていた氷取沢が煙管をポスポスと叩き、座り直して向き直ります


氷取沢「そうだね。端的に言うならそう、僕たちと正式にビジネスパートナーにならないか?というお誘いだよ」

衣笠「それによる私達のメリットとか、内容とか、内容とか、内容とかないんですが?」


樟穫 「契約内容は実際大事……うん……」


氷取沢「いやぁ性急すぎたかな?――確かに、思ってみれば僕たちのことは何も話していない気がするよ。嘘も言っていないがね。僕が所属しているところは すめらぎ という。会社、というわけじゃないんだが雇用形態としては会社とほぼ同じだよ。日雇いを連続で雇っているのと同じさ」

氷取沢「ただ、社員ではなくあくまでビジネスパートナーだ。当然本業の方が優先してもらって構わないし、僕たちが行っているのはあくまで依頼だ。無理なら断ってもらっても構わない。このお誘いだって当然断ってもらってもいい。皇に関してのことは喋らないでほしいけどね」


平「秘密組織的な感じの会社なのか?ハローワークじゃお目にかかれそうにねぇな」

国見「うーん?とりあえず優先してこっちに回してもらえる、ってことなのかな?」

勇聖「……結局今までとあんまり変わらなくない?」


氷取沢「そうだ。ただ、正式に契約してもらうことでこちらのもっと込み入ったお願いも出来るようになる。人手不足なのはそうだが、信頼のできない人間にお願いをするのは、僕はともかく上に許してもらえないからね」


七歌「文面とかはないんですか?口伝じゃちょっと……」

氷取沢「当然だ。これを穴が空くほど見てくれ」


▶床に描かれてある魔法陣から、黒い手が5本程出てきて這いずるように書類を君たちそれぞれに見せてきます


葦名「デジタルデータで見たいところですわー」

平「別に今まで通り人道に反するようなことじゃなけりゃ受けてこなすってだけなんだけどな!」


▶紙がどうやら透けていますね。紙というよりかはホログラムに近く、書き込むことで何らかの契約になるのだと思いました。契約内容は特段不思議な部分もなく、毎回必ず危険手当が8桁単位で支給されているのがわかります


氷取沢「ここに記入をしてもらうことで、僕たちはある意味人間である証明になる。自分が人間である証明というのは大事でね、理性があって羅刹ではない、……化物ではないということを見た目以外の点で判断できるようになるんだ」

ハシドイ「人間をやめた時、勝手にこの紙が燃えるようになっているんです」


樟穫「ええと、いち、じゅう、ひゃく……ひええ……」

葦名「あれ?わたくしたちそんな危険な仕事してましたっけ……?」

勇聖「はい!そもそも人間じゃないけど?」


氷取沢「ここの人間、というのはちょっと特殊でね。悪鬼、ええとセカイだと話の通じない奴がいるだろう?この間の奴とかがそうだ。――そういうのを皇だと人間として扱っていないんだ。その方が同情しにくいだろう?」

衣笠「なるほど。獣とかそれ以前レベルで日本語が聞き取れて会話が成立しないだけのやつは人間としてみなしてないってことね。となると、もう資金源がなくなるってことなのでは?」

氷取沢「そうなる。ある意味皇に属することで、人間として扱うと人身売買になってしまうからね。もう売れなくなってしまう」


国見「……人間じゃなくなる、なんて話が出てくるのは結構ショックだな」


ハシドイ「私達みたいな存在は戸籍がないですから。戸籍の代わりになってるんですよ」


平「へー、なるほどな。人が死んだ時の定義は信仰とか法律とかでかわるとかいう噂だし、そんなみたいなやつか」

アズラク「芽生さん芽生さん!出てもいいですか?」

樟穫「わわっ、びっくりした……。アズちゃん、潜り込んでたんだね……。うん、まぁ大丈夫、かな」

アズラク 「はいはい! 私も人間じゃないんですが人になれるんですか?」


▶アズラクがリュックからひょいっと出てきますが、氷取沢は物珍しそうな目線を向けるだけですね


氷取沢「そうだ。人形は高く売れるんだが、ある意味で戸籍を与えてしまうことになる。人になれる、というより僕たちは人として扱わないといけなくなるわけだね」


葦名「えぇ!?そんな!近所のクソガキに見せようと思っていましたのに!」

アズラク「えーと、そのもらえる?戸籍って形だけなんですか?実際に身分証みたいに使えたりするんですか?もらえるなら芽生さんと一緒の学校に行ってみたいなーって」

平「おいおい一応秘密組織だぞー?身分証みたいに大っぴらに出せないだろー」


氷取沢「追加で円を支払うことで皇が住民票を用意する。その架空の住民票から引っ越しした処理をすることで正式な人間の戸籍も作れるよ。クレジットカードだって作れる。…………ハシドイは毎月のようにブライガーだのモスピーダだのガルビオンだののDVDを買ってるよ」


▶アズラク フェイク

▶煙を立てて人間態の自分に変身します


アズラク 「本当ですか!キャー!芽生さんこれでずっと一緒に入れますよ!」

勇聖「予想以上に手厚い!この紙一枚で人権が……」

アズラク「勇聖さんチャンスですよ!一緒に人権を手に入れましょう!」

勇聖「紙一枚で人権をやり取りするって言ったら、結局闇の組織だよね」


▶衣笠が最後に皇との契約書にサインをします


衣笠「ま、否定的な意見もないし拒否出来るなら問題ないわ。緊急事態宣言終わったらサテンどうしようかと思ってたし」

七歌「今いない人にも契約については話しておきますね。断られることもないと思いますし」


平「アズッチやカモっちにとっちゃ願ってもない条件だもんな、別に契約したからって嫌な仕事だったら断れるって話だし、悪い話じゃなさそうだしな!」

樟穫「おおー……すごいなぁ……。アズちゃんも一緒にいれる時間が増えるのは嬉しいな」


氷取沢「いやぁ助かるよ。人材不足なのは本当でねえ、僕とハシドイだけじゃあどうしようもない場所もあるんだ」


▶サインを書き込まれた紙は魔法陣に黒い手ごと引きずり込まれるように消えていきました


葦名「……あの手、どこに行きますの?」


ハシドイ「新潟にある本部です。あの書類は本部で申請されるんですよ」


樟穫「不気味だけどちょっと便利そうで羨ましい……」

勇聖「あの手と握手してたら新潟に旅行に行ける?」

葦名「もしかして私があの手につかまればワープだって可能なのでは!??!??ひゃー!仏渡りここにありですわね!!!」

平 「新潟までのびるのかおっさんの手!?」


氷取沢「もともと僕のものじゃないんだ。前も言ったと思うが、護衛について来てる精霊だよ。――それはそれとして、依頼をお願いしたい」

氷取沢「君たちは、朱鷺森神社というものを知っているかい?」


葦名「事務所を通し(ry」

平「あー!クッソ長い階段の神社だろ!」

勇聖「あの階段の上の神社でしょ」

アズラク「そんなところがあるんですか?」

樟穫「そういえばアズちゃんは行ってなかったね……」


氷取沢「昔から退魔に強い神社群でね。僕たちの皇ともある種の協力関係を築いてきてるんだ。この街にも朱鷺森神社があるんだが、あそこの朱鷺森神社はもう廃神社になっているんだ」

氷取沢「朱鷺森狐火宮神社本宮からの依頼でね。 

"勝手に信仰を掠め取る不埒者を成敗してほしい" 

ということだ。君たちはどうやら行ったことがあるようだし、丁度いいと思ってね」


七歌「階段……痛い……首……」

勇聖 「神主?のおじいちゃんいたよね、偽物?」

平「おじいちゃんってお前……、氷取沢のおっさんと大して変わんないだろ。でもよ待ってくれよ、その依頼は本当に神社のお偉いさんから来た依頼なのか?」


氷取沢「偽物かどうかはわからないが……、解決してほしい。無理そうであるなら戻ってきて仔細を報告してほしい。援軍を要請する」

ハシドイ「ええ、こちらをご覧ください」


▶ハシドイは朱鷺森狐火宮神社宮司、稲生天と書かれているPDFをパソコンで見せてきます


氷取沢「その無駄に豪勢な判子が朱鷺森狐火宮神社の証明になっている。血が混ざっている独特の光沢と色味、それにDNAが真似させてくれない代物さ」


葦名「あっここは普通にデジタルでさっきの謎技術使わないんですのね……」

国見「リアルとファンタジーって結構上手く混ざるもんなんだね」

平「しかし美篶のおっさんが偽物ってことか?なんかの間違いかもしれねぇぞ……?とりあえず美篶のおっさん側の話も聞いてみたいもんだが」


氷取沢「問答無用で征伐しろという話ではないから、取敢えず聞いてほしい。昔も言ったかもしれないが、僕たちが迂闊に行くと戦争になりかねない」

衣笠「わかった。ま、仲が悪いわけでもないしなんとでもなるでしょ。階段だけがなあ……」


――照葉市 朱鷺森神社――


▶ヘッロヘロになりながら階段を登ると、ヘアピンから見て晴風が七歌の足にしがみついてきますね。勢いは殺しています


七歌「……っ! はぁ……」

衣笠「強張りすぎでしょ……」


美篶「やあ、いらっしゃい。今日はどうしたんだい?」


葦名「ちょっとこの子たちと遊びに」

平「おーぅ!ちょっとここの神社の生い立ちについて聞きたくなってさ!」


美篶「ああ、ここは朱鷺森狐火宮神社だよ。御祭神はクニシヒノタマ様、御利益は恋愛成就かな」


衣笠「ざっくり言うわ。ここの朱鷺森神社は廃神社になっているらしいけど、おっさんは本当に神主なのかしら?」



美篶「それを何処で?」



衣笠「皇とかいうところのクソからよ。なんか一番上から聞いてこいって」


国見「展開が早いね」

平「おいおいおいー!!!」


美篶「なるほど、皇……。道理で。――確かに、私達は朱鷺森神社の神主ではないよ。だけどね、僕たちはここにいないといけない理由がある」

美篶「僕たちの所属は皇じゃなく冬泉と言う。まあ、別の裏組織だと思ってもらえると話が早いかな。朱鷺森神社に常駐していた理由は……そうだね、ついてきてくれるかい?」


樟穫「色々とすごくややこしそうな問題……」

国見 「別に喧嘩してこいって言われたわけじゃないんだし、理由があるならその理由でいいよね。正直色々覚えてられないし!」

葦名「穏便にお願いしますわ~。ゲームの主人公みたいにちょっと不都合が生じたらねじ伏せるのだけは勘弁してほしいですの……」


――朱鷺森神社 祓殿――


▶美篶に案内され完全に一般人が入れない場所に案内してもらい、神社の建物の中に入るとすぐにわかります。車ほどの大きさの赤い宝石がギラギラと光っており、その中に人間と変わらない、大きな鳥のような生き物が入っているのが見えますね


平「なんだこれ……宝石?中になんか入ってるが、卵か?」

国見「すっっごいよ!こういう未知があるんだね!!」

勇聖「入っていいの?ここ」


美篶「余り良くはないんだけどね。いきなり武装されて君たちに襲われたら私はともかくあの子達が持たない」

美篶「これは紅蓮の月華と呼ばれる宝石だよ。主にイメージを封印する効能があるみたいで、この鳥っぽいやつ……神様を封印してるんだ」


葦名「すごく……硬くて、大きいですわ……。これなら全力で攻撃してもびくともしなさそう……」

平「神様の封印?じゃあこれがクニシヒノタマ様ってやつなのか?」

勇聖「そんなヤバい奴なの、これを守るためにとかそんな感じ?」


美篶「逆かな。この歪んだ鳥船を解き放たないように監視してるんだ。ちなみにクニシヒノタマ様は僕も一度謁見させてもらったが、それはもう美人な御方だったよ」


平「へぇ、それは一度拝みたいもんだな、じゃあこれは悪い神様なのか?世界の破滅がっ!みたいなやつなのか?」


美篶「世の中に悪神というものはいないよ。人間にとって良い影響を与えるかどうかでしかないよ。――そうだね、鳥船と聞いて君たちはどういう神様だと思うかい?」


樟穫 「鳥の……船……?」

国見「鳥の……神様……」

葦名 「制空権の神様ですの?」


美篶「…………。酉の市はしっているだろう?朱鷺森神社でもやっているお祭りさ」


国見 「ああ!どこでもやってるあれだね!」


美篶「このあたりだと鳥船というのは、今は曲解されていて 鳳凰、不死鳥 のことになるんだ。だからここの神様は鳥の姿をしているわけだね」



平「不死鳥……火の鳥は害悪だな!」

勇聖「なんという自由」


美篶「そういう認識誤認は何処の場所でも割とよくあることなんだが、最近厄介な団体がいてね」

美篶「ゲーム教というのは知っているかい?」


▶勇聖 アングラ

 成功

▶Twitterで見たことありました。

昨年、立て籠もり事件を起こした藤袴のストレイの残党が立ち上げた 

"全ての創作の根本はゲームにあり、ゲームこそが娯楽の最上級である" 

と謳うネット荒らしのグループですね。

なろうでステータスオープンが必須であることや、最近の創作の影響は全てゲームが由来であることを根拠に掲げています


葦名「」

樟穫「なんかどっかで見たような見なかったような……」

勇聖「なんか見たことはある。ゲームしか知らない人たち」

平「あー?名前だけならチラっとみたけどそういうやつらなのか?」

葦名「い、いえ…………存じませんわよ。ゲー……ゲーミング……教……?ッス

ーーーーーーーーーーーー…………。知ら……、知らないですわよねー……」


美篶「Vtuberオタクなら必ず見たことあると思うよ。悪名は色々とあるが、これに関しての本質は少し違う。

未だによくある香川やゲーム脳という言葉に対して、

本当のゲーム脳は電車でマリオを跳ねさせたりするんだよ!や、

行き止まりを見てここに宝箱があるんだよな、とか

会社で新人が入った時にドラクエの仲間になる効果音がかかる……

なんていう反論や持論もゲーム教の信仰になってしまうんだ。宗教と同じ原理だね」


美篶「ここで問題なのは、ゲーム教が主に信仰しているキャラクターにある。彼らが信仰しているのは僕が所属している冬泉のゲーム、アイリスオンラインのキャラクター スターウィンド なんだ」

美篶「この スターウィンド というキャラ。異名が不死鳥でね。歪な信仰を間違って、同じ不死鳥ということにされている鳥船が受け取ってしまっているんだ」

美篶「鳳凰は他にも概念が散っている場合が多いから、不死鳥を信仰している鳥船にある意味まとめられてしまってね。冬泉の不祥事とはいえ、放置するわけにもいかなくて僕が派遣されたんだ」


平「えぇ??人違いで信仰されてるってことか?そりゃぁ双方ともに残念な結果になってるじゃねぇか。」

勇聖「割と大ごとの後始末っぽいのに、神社のエライヒトから不審がられてるのはドユコト?」


美篶「それならば、他と同じように祓ってやればいいんだが、このスターウィンドというキャラはアイリスオンラインでもかなりの強敵キャラでねぇ。 

"星天を覆い尽くす闇風の悪魔" なんだ。作中でも屈指の強キャラで、並の人間じゃ歯が立たないんだよ」

美篶「なんとか宝石で抑え込めてはいるが、この宝石は冬泉の私物なんだ。――朱鷺森神社に接収されるとあんまりよろしくなくてね、撤退は出来ない」


平「なるほどな……視えてきたぞ!なんとなくだけどな!」

国見「俺はもう駄目だよ!どう?なんとかなる理由になってるのかな!」

樟穫「私達に出来ることあるのコレ……?」

葦名「報告ですわー。私たちの受けた依頼は調査ですもの。遣いっ走りにされましたけど、それが関の山ですし、初任務にしては楽な方ですわよ」


美篶「ゲーム教そのものをぶちのめすのは法律が許してくれない。そうなると、神様側を自由にさせてあげる必要があるんだ」

美篶「そもそもだけど鳥船は不死鳥ではないんだ。酉の市の名前のイメージと横浜の神社、金刀比羅大鷲神社の影響を多大に受けているんだよ。――だから、鳥船に戻してあげればいい」


平「そりゃぁ、そうだろうけどよ。要はゲームのスターウィンドってやつと鳥船のイメージを別離してやればいいってのは分かるんだけど……、具体的な手段がさぁ」

勇聖 「全身整形入りまーす」


美篶「芦原という、この地を昔領めていた大名がいてね。そこは代々鳥之石楠船神を信仰している。――ここに蔓延るセカイを壊し続けていけば、セカイの悪影響が撤廃されて、元の鳥之石楠船神の信仰に回帰するんだ。君たちに依頼していたのも元はそれが狙いだよ」

美篶「本宮にはこちらから報告しておくよ……。皇から連絡が来たということは、もうほとんどバレているんだろう。冬泉にも隠し通せないと連絡して、なんとかしようと思う。君たちは今までどおり、片っ端からセカイを潰してくれればいい。皇にもそう伝えてくれるかな?」


平「元々の純粋な信仰を復活させてやるんだな。そうすれば自然とイメージが離れて行くってわけか!頭いいな!」

衣笠「じゃあ稼ぐかー。この辺にあるのって何処ですか?」


美篶「あ、ああ……。夏潮、案内してあげてくれ」

夏潮「うん」


平 「また2時間歩くとこじゃねぇだろうなぁ……」

国見「良いものを見させてもらったし頑張るよ!」


――照葉市 看板――


▶寂れた雑貨ビルの近く、小山の上の一等地にその看板は立っていました。

「照葉ニュータウン!この街で、人生は作品になる」 とだけ書かれています。黄色の裂け目が広がっていますね


葦名 「この先が人生を作品にする場所……。ってこれただの裂け目ですわよ」


夏潮「ここ……。広いから遊べる」


国見「危ないかもだから程々にね」

平「わりかし近くにあるもんだな、ありがとなーナツー」

葦名「とはいってもコスプレできるのはある意味人生を作品にしていますわね。わかりみ」

勇聖「外で遊べて中でも遊べたら一番いいのにねー」


衣笠「私は夏潮ちゃんと一緒に遊んでるから、頑張ってきて」


樟穫「十分気をつけましょうね……」

七歌「よし……行くよ!」


――ニュータウンの光と闇――


▶中に入ると時刻が夜になっている以外は特に変わらない小山の上ですね。しかし、周りの風景はビルやコンビニが立ち並び夜になっても光がたくさん見えます


七歌「……?あんまり風景、変わりませんね」

平「栄えてるな!」

勇聖「これは……パラレルワールド!?」


▶突如、七歌の身体中に線のような軌跡が見えたかと思うと身体から血を噴き出し、倒れます


七歌「…………っ!!?」


葦名「衛生兵ー!!!」

樟穫「えっ……七歌さん……!?」

アズラク「七歌さん!?」

国見「あっ!?っ、即席の回復は出来ない……!もう少し耐えて!」


▶よく見ると、小山の上の2mを超える樹木が意思を持ったかのように動いています。根がタコのように動き、ナイフのように鋭くこちらに刃先を突き付けるように向けられています


勇聖「あそこの木か?タコみたいな動きしやがって」

平「ホウ」

『あの木何の木殺す気だぞ!』


▶葦名 蟲呼び[刻印蟲]通常攻撃

 成功 18ダメージ

[蟲]ファンブル[補助禁止]

[蟲]6ダメージ


▶平 剛招ビート[鋭招来]座禅の教え[フォルスルージュ]折り鶴

▶国見 ドーピングスキル 生命陣形

[生命陣形]


葦名 「モルカーがんばえー!」

平「ポルク」

『なんだかかわいそうな樹ではあるが成仏させてやれ!カモっち!!』

国見「致命傷だけは避けて!鳴り渡れラッパの音!」


▶勇聖 植物知識で判定 通常攻撃[雷汞、洋銀]

 失敗 失敗

成功 104ダメージ

[蟲]8ダメージ

[蟲]8ダメージ

[幻影陣]


▶樟穫 セージ セルビア 第六感で判定 C4[砂錫、闃然、晴思[精霊の加護]]

 成功[人脈[傀逅]]

 24ダメージ

[蟲]8ダメージ

[蟲]7ダメージ

[蟲]8ダメージ

[蟲]6ダメージ


勇聖「動き回る木なんて危ないから伐採しちゃうぞ~~!!!」


▶戦闘中、突然空間が裂け髪の毛が長くなって大人びた七歌のような女性が出てきます


七歌?「取敢えずここも灰燼に帰せばいいかな。じゃあサヨナラね」


▶七歌?の身体を蛇が纏うように炎が立ち上っていき、杖先に炎が集まっていきます


灰燼のナナカ「あ、なんか私がいる。一緒に燃やしちゃえばいいか」


平「ホホッポウ」

『なんだ!?ななっちみたいなこと言いだしたななっちみたいなのが突然出てきたぞ!』

アズラク「「七歌さん……は後ろで倒れてますよ!」」


▶灰燼のナナカ  メラストーム(火。魔法。2d3の10回攻撃)

[振りすぎ警察][妨害戦術]0ダメージ


国見「させるもんか!」


[ファイアボルト(敵用SAB(火10回)。全体に9d9の火魔法)]

 47ダメージ

[樟穫:絆庇う 葦名]

[国見:縁故2回][樟穫:縁故[桔梗館のとある夜]2回]

[アズラク:窓の板][勇聖:厚い薄い本][平:厚い薄い本]


灰燼のナナカ「取敢えず挨拶の一発……!フ"ァ"イ"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ボ"ル"ト"ォ"!!!!!!!」


平「ポホーホホホ」

『一発ドカンじゃねぇ!こりゃ偽物だ!!!』

国見「うん!流石に全部は無理だ!みんな頑張って!」


葦名「ヴァッッ!!!!!これヤb……」

(あっこれやば、失禁するまでカウントダウン0.1秒、いやこのままいったらそれも蒸発するレベルの熱量くるしきにしなくていっか……。ふふ、最後の最後で貞操だけは守れた気分。ちょっと誇らしいわ)


樟穫「あっ……!葦名さん、危ないっ……!」

アズラク「「七歌さんにまで……間に合って!!」」


樟穫「う、ぁっつぃ……!だ、大丈夫ですか……?」

葦名「ほんとありがとうございますわ……。ほんと危なかった。真っ赤な雷光見えた時一瞬……。――――何でもないですわ。失禁しなくてよかったぁ……」

(なんて思っちゃったけどそれこそ尊厳尊厳。生きてるうちは人権も確実に適応されるし黙っとこ)


▶ニュータウンの犠牲木 

繊細・一風(補助。対象1人に物理5d7。回避可)

巨躯・菜々夜(物理5d7。回避可)

▶アズラク 勇聖 回避判定

 成功 成功


▶アズラク 毒付与 アズラク葦名

[生命陣形]

▶タイムカード セラピア にゃーん[絵姿、気魄、レフェクティオー]

 17回復

▶タイムカード セージ リェチーチ[柳浪、絵姿、気魄、裂帛、レフェクティオー、レタブリスマン、リストーロ]国見葦名

 71回復


▶ナイフの根 什伍刺突(魔法。3人に7d5)勇聖国見アズラク

[振りすぎ警察]14ダメージ


▶葦名 通常攻撃[毒]

 成功 16ダメージ

[蟲[毒]]5ダメージ

[蟲[毒]]8ダメージ

[生命陣形]


▶[ベスタラベト]平

ブルーキャンドル[裂帛、気魄、柳浪、絵姿、レタブリスマン、シズフラット、リヤトレイン]

剛招ビート[鋭招来]座禅の教え[フォルスルージュ]

折り鶴 勇聖

 40回復

[生命陣形]


アズラク「「戦士達に蛇の力を与えよ!」」

平「ポゥフ」

『またせたな』


▶灰燼のナナカ メラストーム 国見樟穫葦名

[振りすぎ警察[スパチャ:樟穫]]計12ダメージ

[国見:薄い本][樟穫:薄い本]


[ファイアボルト]

 57ダメージ

[樟穫:絆庇う 葦名]

[国見:薄い本2個][樟穫:蚊雷2回、縁故[桔梗館のとある夜]]

[平:厚い薄い本][アズラク:薄い本][勇聖:林檎の板]


灰燼のナナカ「はぁ、そろそろ限界じゃないの……?蓮のいないセカイはもういらないッッッ!!!森羅万象!!燃え尽きて!!!」


国見「くっ、やっぱりあれはどうにも出来ないね……」

樟穫「うぁぁぁっ……!や、やらせは……しない……!」

葦名「わたくし、助けてもらってあれだけど感謝と看取るしかできない」

アズラク「「神メスケネトの加護を!」」


[エリキシル剤]

 54回復

[チューインソウル]

 56回復

[激堅黒パン]

 22ダメージ

[メガクラフト]

 45ダメージ


灰燼のナナカ「もう……制御できない……。ごめん、蓮……」


▶灰燼のナナカの全身が炎に包まれ、身体の内側から爆発して爆散します。肉片の雨が降っていますね


平「ホ」

『敵だってわかってても身内と同じ見た目の奴がああなるのは堪えるな……』


▶国見 待機

▶勇聖 通常攻撃[雷汞、洋銀、導引]

通常攻撃[雷汞、洋銀、導引]

 成功 171ダメージ

 成功 156ダメージ

[幻影陣]


▶肉片に燃え移った火が延焼して、大木も燃え尽きていきます


勇聖「はっはっは森林開発じゃい!ここを公園にしてやるぅ!」

アズラク「「悪い七歌さんは倒しましたよ! さ、帰りますよ!」」

葦名「こんな恐ろしいところだなんて聞いてませんわよ!もうこりごりですわ~!」


▶脱出判定

 勇聖 国見 アズラク 失敗 正気度3減少


――空き家――


▶肉片の雨を潜りぬけ、血塗れでドン引きした衣笠と、気にした様子もない夏潮と一緒に空き家に向かっています


衣笠「ちょっと、そろそろメンタル回復してほしいんだけど?もうついたんだけど?」

夏潮「どー?」


七歌「起きたらお気に入りの服が血だらけだったとか嫌じゃないですか。しかもこの服に入ってた銀歯、私の銀歯と一緒なんですよ。嫌な想像しちゃうじゃないですか」


アズラク「ごめんなさい……私がやりすぎて」

平「アズっちのせいじゃねぇよ、どうせ多分あの手の奴は自爆するんだ」

勇聖 「そりゃーもう、派手な最期だったよ?」

樟穫「回復呪文でいっぱいいっぱいだったからあまり気にせずに済んだかな……」


七歌「なーんかみんなの態度がいつもと違って距離あるんだよね。こういうのに敏感だから陰キャって言われるんだろうなあ」

衣笠「もともと陰キャじゃない。学校でも友達いないチワワとか呼ばれてたわよあなた」

七歌「そんな……」


葦名「やーい陰キャー今度一緒にブレンドコーヒー飲みますわよー」

平「人気の犬種じゃねぇか!モテてたんじゃないのかぁ?ななっちー」


七歌「慰められてる気がしない……」


▶空き家に着くと氷取沢とハシドイが軒先で待っていてくれていました


氷取沢「やあ、姦しいということは僕たちに良い報告が出来るんじゃないか?聞かせてくれ」

衣笠「それがね、


――20分後


ってこと。なんかあっちは大変らしいわ、私達は知らんけど」

氷取沢「ふむ。まさかの冬泉でしたか。戦争にはならないみたいで良かったが……結局問題は山積みということですか。それでそっちが噂の?」


夏潮「けむりくさーい」


平「おう!ナツだ!同じような奴があと二人いるぞ!チャームポイントは髪留めだ!」


氷取沢「それは一時期流行った吸血鬼型オナペットクローンですか。戦闘能力も思考能力も愛玩動物程度しかない粗大ゴミとして早々に廃棄されたはずでしたが……珍しい。冬泉の人間は骨董趣味でもあるんですか?」

氷取沢「売出し文句も可愛がってよし、使ってよし、食べてよしの食事のいらない幼女型生物ですから。価格もあっという間にワゴンでしたよ」


樟穫「言い方があまりにもひどすぎる……」

国見 「吸血鬼だったんだ。でも昼間も活動できるんだね」

平 「なんでも愛情持って育てりゃピカ一の財宝だぜ?氷取沢のおっさんもそういうのないのか?」


氷取沢「精霊と不良品の世話で精一杯ですよ。――知らない間に借金も増えてますし」

ハシドイ「えへへ……」


衣笠「懐かれたし悪い気はしないわ。ねー」

夏潮「ねー」


アズラク「あ!そうです!戸籍はもうできましたか!まだですか?早く人権を手に入れたいです!」

勇聖「そういえばその戸籍って、親って?もしかして……」


衣笠「養子縁組、になるんでしょうね……。そっちの褐色は持ち主の方に頼むわ。はぁ……この年で子持ち、かぁ」

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