第5話 あぁ〜女神様だぁ〜


 いざ、トイレに押して参る。 

 二人は体育館に向かう人並みをかき分けてトイレに走り込んだ。

 廊下は走ってはダメです。


「うぐっ。」

「ナナ、しっかり!」


 トイレに入り、ナナはトイレの個室の扉を勢いよく開けた。

 一緒に付いてきた優子はナナが勢いよく開けた扉によって顔面を強打する。

 うわっ、痛そう。


「ぎゃふ!」


 とてもかわいい女子高生すような声ではなかった。

 そのまま顔手で押さえながら蹲る優子。

 そして、トイレの便座のフタを開けて、抑えていた手を離して、口から虹色の物が勢いよく出た。

 食事中の方すみません。


 話は変わり、ちょっとした疑問が。

 そんなに勢いよく出るの?


「あがーっ!ごえーっ!」


 ドバーッと、まるでダムが水を川に放水しているかのように。「えぇーっ!」逆に気持ち悪くなってきた。


 で、肝心の優子は、まだ顔を抑えて蹲っていた。そしてやっと自分の悲惨さに気付いた。


「痛っ!マジで痛い!は、鼻が確実に折れたわね。あ、は、歯が!私の前歯が無い!鼻血も止まらないわ!」  


 ボタボタと流れ出る鼻血に優子はスカートのポケットの中に入っているハンカチをとりだし、鼻の中にハンカチを差し込んだ。

 

 あ〜ぁ、鼻が折れてるのに。


「ギャーッ!痛い痛い痛い!」

 ご愁傷様です。


 トイレの花子·····じゃなく、トイレの中のナナは。


「うげぇー、ごぇー!」


 えーーっ!虹色の物ってそんなに出るの?



 そんな惨状を天からみつめる一人の、いや一人柱の女神様が、綺麗な顔を歪めて眺めていた。


「どうしたらいいのかしら。」


 女神様も困るような惨状みたいだ。


「このままにしていても、話が進まないわ。二人を一旦深海に連れていきましょう。」


 え?深海?


「ふふふ、神界よ。」


 怖っ!なんかこの女神様怖い!


 女神様が手をかざすと、トイレで苦しんでいる二人に暖かな光りが降りそそぐ。

 すると、二人の姿が段々と薄くなりやがて二人はトイレから姿を消した。


 これが、優子が言うトイレ事件。こんな惨状を晒している二人は、未来の勇者と聖女。


 二人がトイレから姿を晦ました事をしる者は誰もいない。

 二人がトイレで悲惨な目にあっている間に、体育館で全校生徒(一部を除く)による集会が行われようとしていた。


 壇上に立つ、凛々しい姿の学園長がマイクを持って、現状何にが起こっているのか、これからどうすればいいのか、を話をしていたが、学園長が違和感を感じて、体育館に集まっている全校生徒を見渡した。

 

(二人が見当たらないわ。)


 学園長が言う二人とは、トイレで行方不明になった二人の事。学園長は二人が今起きている事件には巻き込まれていない事を、学年主任の先生から報告がきていて安心していたが、二人が見当たらない。急いで探しに行きたい衝動に駆られるが、二人の為に何より身内の為だけに、学園長自ら何より教育者として勝手に行動はできなかった。


 実は、優子とナナは従姉妹どうしで、二人は学園長の孫だった。


 今回は、何回「トイレ」と言う単語を使ったか尻たくも無かった。

 トイレだけにね。

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