第3話 訳がわからない状態に。


 学園内はもう酷い状態に。


「ナナ、危ないからここから少し離れよう?」


 未来の勇者、優子が未来の聖女ナナの体を引っ張る。


「ダメだ!どうなってるんだ?」


「斧じゃあダメだ!油圧カッター持ってこい!」


「まったくビクともしない。一体どうなっているんだ!」


 警官と消防隊員の怒声が飛び交う。


 廊下では静かにしましょう。


 有名女子高等学園で事件があったのではないか?と言う情報があっという間に世界に拡がり(ネット社会は早いなぁ〜。)テレビ局や新聞社、野次馬が学園の周りに集まりだし、しまいには空ではヘリコプターや哨戒機?まで集まりだした。


「ねぇ、ナナさっきなんで私を連れて廊下に飛び出したの?いきなり廊下に飛び出したら危ないよ?」


 未来の勇者優子の顔が歪む。


「ハァ。優子、私さっきの事がおこる少し前に、殺気を感じたの。それはもう死んじゃうんじゃなかな。もうダメなんじゃないかかな。でもここには居たくない。と言う強い気持ちを感じて、いても立っても居られなくて、大事なあなたを連れて廊下に逃げたのよ。けっして飛び出した訳じゃないから。」


「ナナ、もしかしてシックスセンス持ち?」


「「ふふふ。」」


 実は二人はちょっとオタクだった。


 こんなカオスな状態なのに、呑気に笑う未来の聖女ナナと未来の勇者優子。まだその事を知らない二人。·······もう、面倒だから未来のナンチャラはやめます。


「隊長!外の窓ガラスも何をしても割れません!しかもカーテンで隠されてて中の様子がまったくわかりません。」


「なんか結界が張られてるみたね。」


 ポロッとナナが呟く。


「えっ?結界?って何で?」


 すかさずナナの指を指す方をみる未来の·······優子。


「優子あれ結界だよね?魔法で作ったバリアーみたいなやつ。」


 ニコニコしながら説明をするナナ。


「あぁ〜、間違いないね。あれけっかいだね。ナナにも分かるとは、お主もオタクよのぅ。」


「優子だって、最初は全然興味無かったのにすっかり嵌ったよね。ふふふ。」


 いや、暢気に笑っている場合じゃないかと。


「私もナナに教えて貰ったから今の状況がなんかすごくヤバい感じがわかるけど、もしかしてナナの趣味に関係あるの?」


「世界!····じゃなくて正解!」


 全然共通点が無い正解。


「ほら、私ってオタクだから?」


「え?何で疑問系なの。あぁ、わかったわ。ナナのマンガとかゲームとか小説とか人形とかポスターとかキーホルダーとかバッチとか薄い本······」


「ま、待って!それ以上は…禁則事項です!」


慌ててもオタク根性は忘れないナナ。···オタク根性って何?


「じゃあ、やはり結界があるから何をしても教室の中には入れないって事だね。まずいね。」


「そう、おそらく耐物、耐魔法効果のある結界だと思うけど、この正解に····じゃなくて、この世界に魔法なんて存在しないはずなのに、なんで?」


「いや、ナナ。私が訊きたいのだけど。それに、そのギャグ?もうやめない?」


いや、優子さん。ナナの中で流行っているみたいだから、流してあげて下さい。

あと、ナナと優子はいい加減に緊張感を持たないと何があるかわからないですよ。


「仕方がない、自衛隊に連絡を取れ!」


 一人の警察官が指示を出した。


「了解しました。」


「自衛隊だって。」


「ワクワクするね。」


緊張感の欠片も無いナナと優子だった。さすが聖女と勇者!サスナナ!サスユウ!


 混沌としてきた学園の周りには物凄い人達が。これではなかなか帰れないかも。とか思っているナナ。

 え?この状況で家に帰る心配ですか!


「優子、外凄い人だね。これじゃあなかなか帰る事ができないかもね。」


 やっぱり。


「それより、こんな数の人達がいるのに、自衛隊の人達か入ってこれるのかしら。」


 見当外れな事を言う優子は、サスナナの幼馴染みで親友なだけあった。


「しょうがないから、お父様に頼んで、ヘリコプターで迎えに来てもらうように今ラインしたから、優子も一緒に帰ろう?」



なんなんだ?

この金持ちっぶりと、教室の中いるクラスメイトを心配すらしない態度は?


「あ、そうなんだ。ありがとう。助かったわ。後日ナナのお父さんにお礼言わなきゃね。家の両親にも言っておくね。」


 いや、だから教室の中のクラスメイトを気にするか、心配するかしようよ、ふたりとも。


「もうすぐ、朝霞駐屯基地からこちらに向かってくるそうです。」


自衛隊の出番ですが、ナナの言ってた通りに本当に魔法による結界が張られていたら、自衛隊が来ても意味が無いような····


「あ、あれ自衛隊のヘリコプターだ!」


 なぜかはしゃぐナナだった。


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