13 星ノ8「カルマ」
「…… デル・タマーガの合同調査跡地には、その女の『 姉 』がいる」
星ノ8「カルマ」
イズ大陸 北の町ノーラン 北部駐屯地 第3詰所
『姉? そのセバス港にいるカラスの姉が、合同調査跡地におるというのか?』
「ああ、そしてその姉、『ジェリカ』は俺にとっても大切な存在だ」
『大切な、のぉ……して、なにゆえ地下エネルギーを?』
「これが世間に知れると、間違いなく混乱を招く恐れのある事だが……」
『なんじゃ』
「ヒマワリの地下エネルギーは、我々ホモサピニッシュに様々な
『な、なんじゃと?』
「
「ああ総隊長。察しがいいな…… だがそこまで言いきれる材料が
『……』
カルマとは、ホモサピニッシュが子孫を残す際に、一番
惑星イルスーマに住む三種族のホモサピニッシュは、子孫を残す際にお互いの
問題は、口腔内上部に子種が生成され、口内から出し外気に触れると、およそ7割がひび割れ裂けてしまうのだった。
この事から、いつの間にか"忌病 カルマ"と
「それに、
『……』
「なんとも…… 信じ難い話ですね」
「……おいジレン。なに黙っている」
『……』
「ジレン様?」
「お前、いや、お前を含めたケイン様、コウタ様、たつき様。それぞれ知っている隠された秘密があるな?」
「……秘密?」
『…… なんじゃ、なにが言いたい』
「
「
「ああ …… おいジレン、どうなんだ」
『わしからは答えられんの、それは絶対に許されん』
「…… ふん、まあいい。今はデル・タマーガが最優先だからな」
「それでトネロ殿が言う、セバス港のカラスの姉が一体何なのですか?」
「……ああ、あれは260年前 ――――」
―――― 260年前 デル・タマーガ半島 合同調査地
「―― という事でわたくし、サンミエル特別騎射隊 インパツェンド総隊長のビルソッチ他二名が、周辺警備及び、調査支援を任されました。カラス殿、アンジェ殿、宜しくお願い致します」
「ほう! イズ大陸スーチルの、あの新設された部隊の。いや心強いですねそれは」
「そうですわね、こちらとしても力仕事できる方がいらしたら、調査だけに集中できて
それは260年前、デル・タマーガ半島において、ヒマワリの地下エネルギーの流入量が低下していた事で、コウタが、たつきとケインに合同調査を打診したのであった。
そしてトネロは、元々アラン族の民であった。宇宙科学の知識があったトネロだったが、若干の危険思想があった為、アス大陸の田舎では職が無く、小さな集会所で子供達に宇宙科学を教えていた。
そこへ、たつきの潜伏部隊がトネロに接触。
かなりの高待遇を条件に、ディス大陸
そうやってディス大陸へ渡ったトネロは、セントの中央機関から新しい身分証や I Dを支給されると、名前もカラスという職務上の別称を与えられ、ローク族の民として生き始めたのだった。
「しかし、掘削マシンを使っても時間がかかるな。これは数週間では済まんかもしれん」
「ええ、カラスさんの言う通りね。こんな硬度を有していたとは思わなかったわ …… アポロから姉さんを呼ぼうかしら」
「ほう、アンジェさんには姉君が?」
「ええ、アポロで宇宙科学の研究員をしていますの。先日は金星で、大規模な地質調査を指揮した優秀な研究員ですわ」
「おお! 大陸ニュースにもなったあの地質調査を! それに宇宙科学ですか…… 話が合いそうですね」
「お二方とも、大変なお仕事をされてるんですなー。いや頭が下がります。私どもはここでは簡単な警備と、少しの力仕事でしか
デル・タマーガでの合同調査地の地質は、かなりの硬度があり、当初予定していた30日を大幅に上回りそうだあった。
その為、アス大陸 ニューバーグのアポロから派遣されたアンジェは、
デル・タマーガの調査地に部下二人を残し、ジェリカの迎えに、調査地の入口付近まで出ていたビルソッチが戻ってきた。
「さあ、お待たせしましたー! お連れしましたよ! では私は部下の手伝いをして参ります」
「あ、ありがとうございます、お気をつけて」
ビルソッチが連れてきたその女性ジェリカは、真っ白な大きな日除けの着いた帽子を、軽く手で押さえながら、少し恥ずかしそうにトネロへ軽く
アンジェと共に掘削途中だった巨大な穴の底へいたトネロも、下から見る陽の光が
「姉さーん、ごめんなさいね無理言って!」
「いいのよ、ブレンダ様からも許可いただいて抜けてきたから!」
「あ、紹介しますわね! こちらセントの星外調査機構で、宇宙科学を研究されてるカラスさんですわ」
トネロが挨拶のために、有害ガス無効化マスクを外して、改めてジェリカに顔を向けた。
「妹さんからお話伺っており楽しみにしていました、私は ……―― !!」
「ん? どうかなさったの カラスさん?」
「……ト、トネロく……ん?」
「ん? 姉さんも? トネロ? 誰の事ですの?」
星ノ8「カルマ」完
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