11話:パリィはクソ、はっきり分かんだね
「ウサギは黙ってかわいがられてくれればいいのよぉ!」
ホーンラビットにパリィを連続成功させる。
これはかなりテンションが上がる。
もちろん、これは確率的な問題でテンションが上っている、とも取れる。
しかしこれは別に確率だけの話ではない。
先にも述べたように、パリィは発生自体が確率なのでは? と言われている。
二日間このスキルを使用しながらパリィに取り組んだ俺からすれば、これは違うと言い切れる。
パリィには明確な発動条件が存在する。
確定ではないが、幾つかの要素からパリィは発生するかを判断されている。
そして俺は、その中の幾つかを発見している。
「連撃、離脱」
一つは攻撃に対して攻撃する場所。
攻撃に対して闇雲に攻撃を当てたのではパリィは偶然でしか発動しない。
パリィが起きる場所というのは存在している。
前までは分からなかったその部分だが、今ではそれが理解できる。
それが、俺のスキルの【強きの瞳】だ。
このスキルの効果にあるストロングポイント、というのがパリィをする上では必ず当てないといけないポイントである。
ホーンラビットに接敵、連撃。
体制を立て直したホーンラビットは勢いをつけようと、後ろに下がる。
それを俺は同時に距離を取り、より距離を離す。
「来いよ」
ホーンラビットの今回三度目の突撃。
俺は一歩も動かず、ストロングポイントをしっかりと見つめる。
「せーの」
次にパリィをするのに必要な要素は、タイミング。
間合いに入るくらいのタイミングでパリィを行わないと発生してくれない。
だからこうして、距離を取ってタイミングを見計らいながら、
「パリィ!」
攻撃する。
『ホーンラビットの攻撃、ダンのパリィ、パリィスキル発動、成功』
「っし」
パリィの発生と共に前に距離を詰めながら、連撃をより多く加える。
まだ要素としてはあるっぽいのだが、確実にこの2つが成立していないとパリィは成功していない。
「後少しか……?」
え? それくらいだったらみんなできるだろって?
目の前のホーンラビットはもう少しで力尽きそうにも感じる。
これ以上前に出る……っ?!
「危なっ?!」
思考に割り込んできたウサギは、その前足をこちらに向け、キックを放ってくる。
驚いたが、後ろに移動することで躱す。
これくらいはバニーだってやる。
でも、攻撃してくれたおかげでまた隙ができた。
連撃だ。
慣れてきた双剣を振るいながらも、ホーンラビットの振る舞いには警戒する。
侮ってはいけない。
最後まで、倒すまで。
そして、ふとした一撃。
ホーンラビットは光の粒子に変わっていく。
倒した。
その実感が胸に広がる。
やった。
言葉にすればそれだけだが、2日も練習して目的を果たしたのだ。
それも結構熱心に。
これで倒せなかったら結構凹んでいたと思う。
だけど、達成できた。
「っぱパリィは……」
口から出るのは、今までの苦労を圧縮した言葉。
どんな言葉が出るのだろう。
自分でも無意識のうちに出した言葉は、
「クソだ!!!」
この二日間ずっと溜め込んでいた愚痴だった。
パリィスキルの発動条件に関しての補足。
”ストロングポイント”について。
このストロングポイント、大きさをわかりやすく説明すると、皆さんの『指の爪くらい』の大きさです。
しかも攻撃の種類によって全部違います。
さっきまでのストロングポイントは今のストロングポイントではない。
ゴブリン師匠はそう教えてくれました。
”パリィのタイミングに関して”
パリィのタイミングは間合いに攻撃が入った時、と言いましたが、個人的な体感有効時間は『7.5フレーム』くらいです。
一瞬でも判断が遅れれば死です。
しかも間合いに入っている状態での攻撃は高確率でパリィできません。
間合いに入った状態でパリィできる方法はまだわかっていません。
どこにも情報が無いので心が折れそうでした。
というか現在諦めて立ち回りでなんとかしています。
「でも可能性は感じているんだよなぁ……」
クソスキル。
長く使ってきてそう評した自分のスキルだが、それでハイやめますとパリィを捨てきれない。
パリィの成功したときの快感はやめられない。
自分がパリィをする前提で練習したり、戦闘しているのがその証拠だ。
「めざせ全攻撃パリィマン」
自分で言いながらそんな事できたら神かなんかだよ、と苦笑していた。
『レベルアップ』
『ステータスの上昇と5ポイントのフリーポイントを獲得しました』
『スキル【先見の瞳】を身に着けた』
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