第6話[ジェット]

地下へ降りると真っ白な部屋へたどり着いた。

床や壁、椅子や机まで白一色のこの部屋で、父が一人座って待っていた。


「ようやく目覚めたか娘よ。」


いやお父さん、いつもとキャラ違うよね。

いつもお母さんにヘコヘコしてたじゃん。

いつもお風呂最後だったじゃん。

私に洗濯物別にしてって言われた時、泣いてたじゃん。

小さい頃、私にカンチョウされて、お尻押さえて大号泣してたじゃん。

一体どうしちゃったの?


「流石、レジェンド。」

「花ちゃんもレジェンドの様に名を残すヒーローになるんだよ。」


いや、美香ちゃんもどうしちゃったのよ。

私がお父さんの悪口言ってた時、一緒になって笑ってたじゃん。

そんなお父さんをいきなりレジェンド呼び?

ちょっと、ついていけないよ。

私がそんな事を思っていた時だった。

警報機が鳴り、怪人の姿がモニターに映し出された。


「ついに来たか。」

「ヒーロー目覚める時、怪人もまた目覚める。」

「花、出番だ。」


私は無理矢理、全身赤タイツを着せられ変な乗り物に乗せられた。


「ちょっと、これ何?」


「自家用ジェット、その名もジェット君だ。」


そのままやないか。

そうこうしている内にジェット君は発射され、私はヒーローとして初出動した。

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