第18話 テントと次の町

「おしまいっ!」

「なっ!?」


 首が落ちる。

 その後ろには、ナイフを振り切ったシスねえ。


「しょたちゃんが意識を引いてくれたから簡単だったよー!」

「ありがと」


 さて、この後はどうしようか。

 放置すれば勝手に魔物なりが処分してくれるだろうけど、近くに魔物が寄ってきても困る。

 いつもならすぐその場から離れれば関係ないからいいんだけど、今回はテントも張ってしまっているから……

 兵士の身体に、紐で頭を括りつける。


「シスねえ、あっちに投げてもらっていい?」

「りょうかい!」


 坂道を転がっていく。

 川に流してしまうと、僕たちの準備が整わないうちに見つかってしまうかもしれないので、応急処置。

 それにしても……たかだか仲間が捕まったくらいで殺しに来るもの?

 処刑にもなってないのに……何か理由があるんだろうけど……


「しょたちゃん、明日はどうするの~?」

「町に着いた時間にもよるけど、できれば教会に寄って、保護術をかけてもらいたい」


 盗賊に会えるならそれはそれで嬉しい。

 まだ少し余裕はあるけれど、路銀は多いに越したことはない。


「そっか~。あ、交代ね~。しょたちゃんはねてて~」

「うん。おねがいね」





 朝、僕が火の番をしている間、シスねえは水浴びをしている。

 あらためて、本当に便利だ。

 一度これを使うと、これからも水浴びのできるものを買ってしまいそうだ。

 これが定番のものになるといいな……


「しょたちゃーん」

「どうしたの?」

「タオル取ってー!」

「忘れないでって言ったでしょ……はい」

「ありがとー」


 でも、水浴び中は当然、裸だ。

 武器を持っていない状態でも、シスねえは何とかなる気もするけど、危険ではある。

 改めて気を引き締めないと。


「しょたちゃん、パンツとってー」

「だから、忘れないで?」

「ありがとー!」




「あれ、しょたちゃん?」

「どうしたの?」

「あれ、見える?」

「見えるけど、何かはわからない」

「人だよ?」


 シスねえと町に向かっている途中、倒れてる人間を見つけた。

 近づいてみても、動き出す気配がない。


「……生きてるけど」


 よく見てみれば、胸が動いている。

 寝てる? こんなところで?


「どうするの?」

「ほおっておこう」

「りょうかい」


 歩き出そうとしたところで、もう一度倒れていた男の方をみた。


「……武器を持ってない?」

「そうだね」

「盗られたにしては怪我もなさそうだけど……」


 歩き出しながら、シスねえと話す。


「盗賊がいてくれればいいんだけど……」

「見えるところにはいないかな~」


 あとは、疫病だったりするとまずい。

 その場合、ここから一番近く、僕たちの向かっている町で発生した可能性が高い。

 でも、町の方に頭が向いていたし、そっちに向かっていたんだろうけど……なぞだ。

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