第15話 パレードと賑わい
朝から外が騒がしい。
外を見ても、まだ聖騎士団が来たというわけではないようだ。
いつもはこの時間に開いていなかった店が既に開かれている。
お祭り騒ぎになるのだろうか。
「おはよぉ~……」
シスねえが目をこすっている。
流石にこれだけ騒がしければ起きるか。
「おはよう」
そう答えた時には、シスねえは眠そうにしながらも僕の隣に来て、同じく窓の外を眺めていた。
「あれ? どうしたの~?」
「聖騎士団が来るから、朝からお店が開いてるみたいだよ」
もう一度、窓の外に視線を戻す。
人通りも多い。
「今日はどうするの~?」
「ほとんど買い終わったけど、何か特別なものが売り出してるかもしれないから、今日も買い物かな」
聖騎士団が来るということで、商人たちも多く移動してきたはずなのだけど、昨日の盗賊による被害はなしとのことだった。
完全にこの近くを避けているのだろう。
本当に近いうちに移動しなくてはならなくなりそうだ。
「聖騎士団か~、ちょっと見てみたいな~」
滅多に見られるものじゃないしね。
「パレードするから見れると思うよ」
「そっか~、キラキラしてるんだよね~」
「裕福だって思わせれば、宗教として成功だからね」
「よくわかんない」
「いいよ、それで」
「ほら、シスねえ、もう着いたみたいだよ」
二人でにぎわう大通りを歩いていると、すこし先がさらにざわざわしはじめた。
そして、先導の人が通行人を左右に押して、道を開こうとしている。
開けられた道は、聖騎士と思われるひとたちによって保たれ、その中心には、さらに華美な装飾をされた衣装を着た人間が馬に乗っている。
結構強引に除けているので、シスねえの手を引いて、屋台側にどく。
「どう、シスねえ?」
「きれいだね~」
ところどころに金を施した鎧やら馬具が見える。
節制がどうたらと言っていたはずなんだけど。
「しょたちゃん」
隣を見ると、シスねえはもういなかった。
「ん、なっ!?」
「えへへ、こっちのほうが良く見れるでしょ~?」
「し、シスねえ、さすがにこれは……」
シスねえに肩車されている。
僕の身長は小さい方だし、シスねえも成人男性と比べればそこまで大きくないけれど、肩車をされると、周りから頭がぬける。
「見えるでしょ~?」
「う、うん。十分見えたから、もう下ろしていいよ?」
「もうちょっと~」
そんな風に楽しそうな顔をされると困ってしまう。
「シスねえ……」
結構目立っているし、近くの子供が羨ましがって親に頼んでいる。
こんな風に目立つのは嫌なんだけれど。
「お前ェェェッ!!!」
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