第13話 活気と魔道具

「シスねえ」

「ん、どうしたの?」

「シスねえが兵士さんたち呼んできてくれたでしょ?」

「昨日のこと?」

「そう。あれってどっちが先だった?」

「どっち?」

「今日会った兵士の方が先?」

「え、ううん。しょたちゃんが連れていかれてから、すぐ近くにいた兵士さんに声かけて、そのあと追ってるうちに今日会った兵士さんがいたかな」

「どうしよっかなぁ……」


 見張りとしては適任だろうし。

 でも、普通に顔を知られてる。

 まあ、まだそうと決まったわけじゃないし、そうだとしても、また僕を狙う必要はないよね、メリットないし。

 仲間意識とかあったらいやだなあ……


「シスねえ、明日買い物行ってもいい?」

「忘れ物~?」

「そんなところ」

「そっか~……じゃあ、依頼はまた……」


 シスねえは眠ってしまう。

 僕も寝よう。




「それで、何買いに来たの~?」

「野宿用のものとか」

「私のまだあるよ?」

「ちょっと別の見てみようかなって」

「そっか~、新しいの出てるかもだもんね~」


 手をつなぎながら、町中を歩いてみる。

 昨日よりも活気づいている。

 僕もこういう雰囲気は結構好きだけれど、スリが増えるので、どっちもどっちだ。


「あれ、魔道具?」

「ショタちゃん?」

「ちょっと見てみようか」


 シスねえの手を引き、露店の内の一つをのぞく。

 結構あるみたい。


「こんにちは」

「おぅ、いらっしゃい」

「すごいですね、これ、全て店主さんが?」

「世辞言ったってなんも出ねえぞ」


 もしかして、ドワーフとかそういうのだろうか。

 ここらへんだとかなり珍しかったはずだけど……

 フードで顔を隠しているし、ただの小さなおっさんという可能性もある。


「これ、もしかして記録用の?」

「ああ」

「性能はどういうものですか?」

「5分だな」


 記録できる時間は僕たちの持っているものの半分以下だが、大きさがかなり小さい。

 耐久性は、試すわけにもいかないし。


「とりあえず、これを二つください。あと、おすすめありますか?」

「これなんてどうだ?」

「結構大きいですけど、なんですか?」

「魔道具って言っていいもんかはわからんが、まあ、テントだ」

「テントだって、しょたちゃん!」


 シスねえが喜ぶのもわかる。

 近年、テントなどの進歩は目を見張るものがある。

 以前はかなりの高級品についていなかった機能が、そこまで高くない値段で取引されるようになったりと、消費者である僕達からすれば、嬉しい限りだ。


「これは、どういうものなんですか?」

「これはな、水浴びのできるテントだ」

「水浴び?」

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