第11話 兵士とおっさん
「……はい。確認いたしました。……こちらが報酬になります」
「ありがとうございます。いくよ、シスねえ」
「りょ~かい!」
ギルドを出て、宿に帰る途中、見回りの兵士とすれ違う。
少し見られるけど、そのまま通り過ぎて行った。
シスねえがいなかったら、声かけられるかもだけど。
「明日は~?」
「依頼は受けないよ。昼間聞いたことが本当なのかちゃんと確認しないと。そんなに急な改革があったらこっちにも影響が来るかもしれないし。場合によっては予定より早く移ることになるかもしれない」
「そっか~」
「通達の翌日って頭おかしいんじゃないか?」
「しょたちゃん? おくちわるいよ~?」
「……タブケヤ国は絶対なし。滞在中に革命とか起きたら困る」
「ん~? あ、あれ美味しそう!」
「……そうだね。買ってきてもらっていい?」
「りょ~かい!」
さて、誘拐されました。
口をふさがれ、手足も縛られてる。
目の前には3人のおっさんがいて、鞄をあさってるんだけど……
「チッ! おい! ろくなもん入ってねえじゃねぇか!」
基本的に預金しているし、財布は串焼きを買いに行ったシスねえに預けてしまったりで、今の手持ちはほとんどない。
一応、ナイフは持っていたけれど、無理。
「おい、女! 金はどこやった!」
「……」
「おい!」
「女……?」
どんな目をしてるんだ。
「……全部ギルドに預けてます」
「他に隠してるだろ? なあ?」
「……」
ここはどこだろう?
長い時間運ばれたわけじゃなかったから、そんなに離れてないと思うんだけど。
「おい! 聞いてんのか!」
「……」
なんで攫われたんだろう?
そんな価値があるように見えたんだろうか?
どこで目を付けれられたのか。
ギルドで報酬を受け取っていたからか、それとも、ロコンと話してる瞬間を見られて、関係者だと思われたのか。
まあ、そういう計画性のないものなのだと思う。
手の縛り方もただきつく縛っただけなので、袖に入ってるナイフを使えばほどける。
そのあと逃げきれないからしないけど。
まあ、何より。
「来たよ!」
「なッ!?」
多少離れてたとはいえ、シスねえが見失うわけがない。
「その場から動くな! 動いたら即座に執行妨害とみなす!」
「しょたちゃん、大丈夫?」
「うん、なにもされてないよ。お金目当てみたい」
「そっか~、よかった~」
「ちゃんと呼んできたからね~」
「くそッ! 離しやがれ!」
「暴れるんじゃない!」
シスねえにはこういうことがあった時には兵士を呼んでくるように言っておいたのだけど、これだけ早く来てくれるとは、もしかしなくとも、ここはいいところなのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます