第5話 お嬢様とギルド
「わたくしはロコン・ルショターリと申しますわ。ロコンとお呼びくださいませ」
「お嬢様」
「ドリジア・ペハイスと申します。ロコンお嬢様の執事をしております。この度は助けていただきありがとうございました」
「だいじょうぶですよ~。でも、何かあったんですか~?」
「実は……」
二人は貴族だったらしいのだが、家から追い出され、この町へやってきたそうなのだ。その道中、盗賊に襲われそうになり、急いでこの町にやってきたものの、馬が暴走したのに加え、馬車もガタが来て大破してしまったとのことだ。
「お礼をしたいのですが、今の私たちには差し上げるものが……」
「いいですよ~大変でしたね~」
シスねえとドリジアと名乗った執事が握手をしている中、ロコンがこちらをじっと見ている。
「あの、あなたは?」
「僕は……」
「しょたちゃんだよ~」
僕の頭の上に顔をおいて抱き着いてきたシスねえが答えた。
「ショタさん、と申しますのね。よろしくおねがいしますわ」
「はい。すこし、お聞きしてもよろしいですか?」
「わたくしにお答え出来ることでしたら……」
ロコンさんに襲われた場所や人数を聞いた。
「もしお手伝いできることがありましたら、遠慮せず申し付けてください。わたくし達はここの宿に泊まることにしますわ」
簡単な地図に一つ書かれた印を指さしながらそう言う。
「はい。ありがとうございます。シスねえ」
「はーい。じゃあ、さよなら~」
二人に別れを告げ、ギルドへ向かう。依頼板を見れば、盗賊討伐依頼も複数残っていたので一安心する。掲示されてからしばらく経っているようだし、まだいるのかわからないけど、慌てなくてもよさそうだ。
「しょたちゃ~ん」
「シスねえ」
「ねえ、ロコンちゃんが言ってたのこれじゃない~?」
こっちこっちと手招いているシスねえの指先を見る。
「方角とかは当てはまってるけど……」
盗賊の討伐依頼の紙には、被害のあった大まかな位置や日時が書いてある。あとはバラバラで人数だったり、装備だったりと被害者の報告が一部乗せられているだけで拠点だったりは当然載っていない。拠点が分かっていたらすでに潰されているだろうし。
「ね、ここ行かない?」
「今日は依頼受けないつもりだったんだけど……」
「そっかぁ」
すこし悲しそうな表情をした。仕方ない。
「軽く行ってみようか。運よく見つけられたらそのまま倒してこよう」
「うん!」
嬉しそうなシスねえを引き剥がしつつ、受付嬢に話しに行く。
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