第4話 朝食と騒音
目を覚ますと、ちょうどシスねえも起きたらしく、目をこすっていた。
「しょたちゃん、おはよ~」
「おはよう……重いから早く退いて」
「やだ~」
起きた時にはすでに絡んでいた足に加えて、腕を回してくる。
「ぎゅ~!」
「シスねえ……」
「あとちょっと~」
「はいはい」
無理やり起こすよりも好きにさせた方がいいのはわかっている。が、くっつくのは勘弁してほしい。
「あったかいね~」
「そうだね」
「しょたちゃん、おはよ!」
「おはよう」
「お腹すいちゃった! しょたちゃんは?」
「僕も同じ」
「じゃあ、すぐに用意するね!」
「ありがとう」
エプロンをつけたシスねえはが朝食をつくっている間に、顔を洗ってくる。そろそろ寒くなってきて、水を使うのが億劫になってくる。その分目は覚めるけど。
「しょたちゃん、今日は何するの~?」
「町とその周りに何があるか見て回ろうかな」
「やった、デートだね!」
「はいはい」
「も~、あっ、じゃあおべんとう作るね! はい、できたよ~」
シスねえと朝食を食べていると、何かがぶつかるような音がした。そして、外が騒がしくなった。
「なんだろ~?」
二人で外を見れば、一台の馬車が大破していて、その周りに人が集まっている。乗客は無事ではないだろう。
「シスねえ、いっちゃ……」
声をかけた時にはもうシスねえは飛び降りていた。
「だいじょうぶ!?」
「はぁ……」
階段を使って下まで降りると、シスねえが壊れた馬車を持ち上げて乗客を助け出していた。馬も少し先でとめられているのが見えた。
「しょたちゃん、どうしよ!? 目が覚めない~!」
「……息はあるみたいだし、治療院に連れていくしかないんじゃない?」
「はやくつれてかないと!」
「僕達この町の治療院の場所知らないでしょ」
「誰か、治療院の場所おしえてくださいー」
周りで見ていた数人が指をさして教えてくれる。
「しょたちゃん、先行くね!」
「迎えに行くから治療院でまってて!」
「りょーかい!」
僕は宿屋に戻る。借りている部屋の窓に鍵をして、シスねえの荷物を魔法袋にしまい、部屋を出た。数日分の宿泊料金は払っているが、あまり防犯は出来そうにないため、全部持っていく。
宿を出て掲示板を見ながら治療院に向かう。
「あの、本当に感謝いたしますわ!」
治療院に着くと、シスねえがお礼を言われていた。
「困ったときはおたがい様だよ~、あっ、しょたちゃん!」
シスねえがこちらに手を振るので近づいていく。
「こんにちは、けがは大丈夫でしたか?」
「は、はい! ご心配をおかけしましたわ!」
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