タイトル『死馳せる演者』
ー演じてみせよう……遥か未来で待ち受ける選択。その時までー
あらすじ:
世界でも最高峰の演劇『カガミ劇場』。私はその劇団に所属する俳優。
しかし、私はただ一つ、たった一種の演目しか演じない。
その演目は、文明が崩壊した未来の地球を描いた物語『
私は、その演目に登場するキャラクター『テンリ』しか演じない。
極限までリアルを追求し、本物の殺し合いと遜色ないアクション。
それは、殺伐とした世界の悲劇と絶望を描いた『夜卜』という物語を、世界的に有名な演劇へと昇華する。
尋常ならざる訓練の果てに身に着けた身体能力。それは、この私が『テンリ』というキャラクターを演じるためだけにしてきた努力だ。
だが……………その日常も、もう終わる。
鳴り響くサイレン。地面に横たわる自身の顔を打つ雨粒。どくどくと、地面に広がっていく生温かい血液。
誰がやったかは分からない。ただ、突然―――気づいたら、私は血の塊を吐いて、地面に倒れていた。
誰かが私を呼んでいる。誰かが私を見ている。
すまない……………私には、もう君達の声が聞き取れないし、何より、君達の姿が見えないんだ……………。
徐々に冷たくなっていく身体。音が遠のく感覚。視界が煙のように揺らいでいく感覚。
まるで、暗闇の中に堕ちていくようで……………。
ああ、もっと、もっと……………。
「〝彼〟を演じたかった」
その言葉を最後に。私の命は、今日―――潰えた。
※※※
『夜卜』
それは、ある日突然、宇宙からやって来た異星の獣により滅びた、未来の地球を描いた物語。
世界から人類という生物は、十数人しか残らず。真の意味で、人類の文明は崩壊した。
残った人類は人工衛星『ノア』に逃げ込み、余生を過ごす事となる。
だが、一人の研究者が、歴史上希代の大発明と呼べる、とある機械を生み出した。
それは、情報を元に過去に遡る事ができる、時空移動装置……………俗に言う『タイムマシン』だ。
これさえあれば、文明が滅びる以前の地球に戻る事ができる。異星の獣から、地球を守るカギになる。
しかし、その為には圧倒的に〝情報〟が足りない。
その時代に作られた、その時代の情報を知る事ができる『遺物』が無ければ、タイムマシンは起動しない。
ならば、どうするか。
答えは簡単だ。地球に言って『遺物』を収集すればいい。
だが、【人間】にそんなことは不可能だ。
……………で、あれば。
作ればいい。【人間】の代行者として、『遺物』を収集しに地球を探索する存在を。
残された人類の遺伝子を利用して、新たに生み出された、人間に似た機械人形。
彼、彼女らの名称は【ヒトガタ】。
【人間】に代わって、過去の地球を救済し、未来を改変するために生み出された―――『遺物』改め、『情報体』を収集する、地球探索戦闘人形。
異星の獣は、不可能を可能とし、摂理の限界を超える異常の生命体。
身体を持たない獣共は、地球に現存する『情報体』もしくは、自然の物質を用いて『身体』を創り出す。
異星の獣を殺すには、彼らの魂とでも呼べる『情報体』の結晶を破壊、もしくは保管・隔離するしかない。
【ヒトガタ】は戦う。与えられた使命に従って。
やがて、彼らは知る事となる。【ヒトガタ】という、人形の真実を。
真にして、【人間】とは大義という名の目的の為なら手段を択ばない、残酷な生き物だという事を。
夜……………一人の【ヒトガタ】の少女は、今日も天に祈りを捧げる。
明日も、私達が生きられますように。
その【ヒトガタ】の少女は……………【人間】がしていた『占い』が大好きだった。
※※※
何の因果か。私は『夜卜』という物語の世界に転生したらしい。
……………なんとも馬鹿げた、ふざけた話だが。
もし、神なる存在がいたのなら―――私は、神を一生、恨むだろう。
あれほど焦がれ、求めてやまなかった世界に。
あれほど熱中し、没頭して演じた『テンリ』。
そう―――私は【人間】に生み出された【ヒトガタ】の青年『テンリ』に生まれ変わった。
『夜卜』という物語の道筋と結末を知る私は、一つの可能性に思い至る。
それは、私という存在が脅かされる可能性。
最悪の場合―――私という存在は、永遠に世界から消え去るだろう可能性にして、仮設。
恐らく、私の考えは間違いではないだろう。
ならば、やる事は一つ。
何時も通りに―――演じるだけだ。
物語における第三の主人公。最も悲しき真実を突き付けられる【ヒトガタ】の『テンリ』という人形を。
出来なければ―――今度こそ、死ぬだけだ。
演じよう、死線を越えた演目を。
生きよう、この悲劇と絶望に満ちた物語を。
……………これは、一人の青年が送る、後に待ち受ける選択までの道筋を綴った、物語。
果たして、彼は何を選択するのか。
〈主人公〉
名前:テンリ(???)
性別:男性型
【ヒトガタ】:独立探索仕様
【サポーター】:戦闘特化型支援機【アザレア】
特徴:白髪、黒髪メッシュ、銀色の目の青年。黒を基調とした軍服に似た衣装を着ている。
背中に刀に似た長剣と、それより少し短い刀剣を背負っていて、腰には電磁式のハンドガンを二丁ベルトに指している。
全体的に中肉中背の男性で、切れ長の瞳と常の無表情から氷のようだと言われている。
※初期デザインから大幅な変更がされており、原型は顔つきと目の色のみ。
概要:元々の個人の戦闘能力の高さから、独立して『情報体』を収集できるよう、探索仕様へと改造された【ヒトガタ】。
しばしば汎用性を重視した『量産型』が生まれやすい中、初の大規模探索において、たった一人で生還した経緯から、初期設計から大幅な改善がされ、個人の潜在能力と将来性を重視するようオーバーホールされた珍しい【ヒトガタ】。
性格は無口であまり多くを語らず、かといって内向的という訳ではない。むしろ、社交的な方である。
他の【ヒトガタ】と交流を持つ事は少ないが、戦闘訓練を受け持つ時のみ、多人数の【ヒトガタ】と交流を持つ機会がある事から、名前と顔は広く知れ渡っている。
異常なほどのバランス感覚から、どんな姿勢でも平時と変わらぬ威力の攻撃を放てることから、【人間】からの評価は高い。
その設計仕様から、危険地帯の安全化を図る作戦を任される事が多い。
『情報体』の総合収集数は少ないが、逆に異星の獣の総合討伐数はトップクラス。
密かに地球の記録媒体から情報を収集しており、異星の獣の正体を個人的に探究している。
『夜卜』における役割は、真実の探求。第三の主人公である。
演者:概ね、『テンリ』と大差ない性格だが、慎重な行動を心掛ける『テンリ』の役に没頭しようとするあまり、『テンリ』にしては〝らしくない〟大胆な行動をしてしまう悪癖がある。
これは、演劇の『夜卜』にて、大胆なバトルシーンを多く演じる機会が多かったのと、転生した事への混乱からのの行動だと思われる。
役作りに対しては、本気で取り組むストイックな性格。『テンリ』のバトルスタイルに近づくために、過剰と言える体幹トレーニングを行った経験がある。
理由は不明だが、ある程度『テンリ』の肉体に前世の肉体がフィードバックされているようで、想像以上に『テンリ』の身体を使いこなせている。
物語の結末と、そこに至るまでの道筋を知っているため、なるべくストーリーに沿う行動をするよう、努力している。
しかし、監督兼『夜卜』の脚本を描いた劇団長より聞かされた、『夜卜』のIFストーリーを知っている為、ある事を危惧している。
また、『夜卜』という物語の設定に忠実な世界であるのなら、自分という存在は極上の『情報体』であるのでは?と、そこから仮説を立てて、自身の最悪の結末を予感している。その危機感が、彼を『テンリ』という【ヒトガタ】を死ぬ気で演じさせる要因となっている。
【アザレア】の前だけでは、完全に素の自分を曝け出せるため、心の拠り所にしている。
……………まあ、彼の性格は殆ど『テンリ』と変わりないのだけども。
(ΦωΦ)ニーアにめちゃくちゃ影響を受けている事は否定できない。パクリとか言われたくないし、ぼろっぼろの評価を受けるのも怖いから、連載しないかもしれん。
……………今は『さよなら地球、ハローワールド』に集中するかな。
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