タイトル『変なスキルに目覚めた俺が、やがて英雄になる話』

あらすじ:突如として異世界から、この世界を侵略に来た怪物【虚界獣ガジュラ】。人智を越えた、別世界の理を持つ化物は、瞬く間に世界の半分を人類より奪い去った。


 現在、人類が存在する大陸は三つ。一つの巨大な大陸が三つの海峡に分かたれて出来たその三つの大陸は、環境の違いからこう名付けられた。


数多の獣が住まう、大自然が支配する緑の大陸【バルハン諸島】

火山地帯が隆起し、様々な鉱石が採掘できる赤の大陸【オルガ列島】

人類の大半が移住し、巨大な城塞都市が幾つも混在する青の大陸【セルブス孤島】


 なぜ、大陸ではなく島の名称が付けられているのかというと、人々はまだ、この三つの大陸に分かたれた大陸が、広大な地下迷宮によって繋がっている事実を知っているからである。


 偉大なる鉱夫の英雄【ガンデバ・バネッサ】により知られた真実を早期に知った為に、この三つの大陸は〝島〟の名称で呼ばれているのである。


 故に人々は三つの大陸を総じて、こう呼称した。


 三立する島々が在る、人類最後の砦、白の大陸【アルバス大陸】と。



 結界術に優れた英雄、水の魔法に優れた英雄、火の魔法に優れた英雄、土の魔法に優れた英雄。


 他にも多種多様な英雄たちが築き上げた、【虚界獣】と人類の生存圏を隔てる、世界最大の壁。


 人類が異世界の侵略者に抗う最前線の巨壁、その名も【アダマス】。


 神話に伝えられる最硬の英雄の名前を付けられた巨壁は、人類の期待通り【虚界獣】のそれ以上の侵攻を防いだ。


 だが、それだけだ。


 人類は、異世界の侵略者たる【虚界獣】に対抗する術を持たない。弱者たる人の身では、到底やつらには抗えない。


 それを不憫に思った神がいた。


 その神は、荒神とも、魔神とも、戦神とも呼ばれた神であった。


 彼は、せめて戦う力をと、人類に【スキル】という名の奇跡を与えた。


「その力をどう使うかは、お前たち次第だ。抗うのも、滅びを受け入れるのも、好きにするがいい」


 それだけ言って、人類に力を授けた神は、天へと帰って行った。



 神が与えた【スキル】という力は、人類の進化とでも呼べるものを齎した。


 戦士のスキルであれば、戦士に相応しい屈強な肉体を。


 魔法師のスキルであれば、魔法師に相応しい膨大な魔力と魔法への適正を。


 鍛冶師であれば、火への耐性と器用さを向上させる奇跡を。



 他にも、様々な効果を人間に齎す【スキル】があった。



 それは、人類に革命をもたらす。


 文明の進歩は加速し、戦う者の実力は著しく向上していく。


 【スキル】の存在は福音であった。そう、【スキル】とは、その人の眠れる潜在能力を開花させる、種の如く奇跡だったのだ。


 人々に【スキル】を与えた神は、その後、絶大な信仰を寄せられる事となる。


 人類に救済たる奇跡を齎した神。人類に、戦う力を、機会を与えてくれた神。


 その名は大蛇の如く姿を持つ龍の神【四叉大神カナメ】。


 元は人であったとも伝えられる、世界に二つの大陸をつくり、その内の一つは永久凍土の氷河が漂う、冬の大陸へと変えたとされる、正に荒ぶる神として神話に残る神であった。



……………ここまでの内容が、後世において伝えられる【権能伝説】。


 人類に初めて【スキル】が齎されてから、数百年経った現在。


 未だ、人々は壁の向こう側に行く事が出来ずにいた。


 人の文明は大きく進歩し、豊かになったとはいえ、脅威があることに変わりはない。それでも、一時の安寧と平穏を手に入れたのは間違いなかった。


 だが、二百年前に悲劇が起きる。


 市街地のど真ん中、異界の扉を通って【虚界獣】が出現したのだ。


 【虚界獣】は異界の扉を通った後、その街を壊滅まで追い込み、約五人の英雄を瀕死にまで追い込んだ。


 一人の英雄の死を犠牲に、何とか【虚界獣】を討伐したが………この事実は、人々の心に脅威を思い出す。


 異世界よりの侵略者。その恐ろしさを。


 世界の半分を奪い去った、あの人智を越えた怪物共を。


 安寧と平穏は、その日を境に崩れ去った。



 その後、各地で異界の扉が次々と確認され、【虚界獣】も確認されるようになった。


 もう、この大陸も安全ではないのだ。


 この残酷な真実は、壁は絶対に【虚界獣】を通さないという心の支えを、悉くぶち壊す。


 だからこそ、人々は求めた、欲した、願った。


 新たな英雄の存在を。更なる英雄の再来を。



 ………これは、【四角魔法】と【収納魔法】という、二つの変なスキルに目覚めた少年が、やがて世界に激震をもたらす英雄に至るまでの物語。




〈主人公〉

名前:テト

種族:人族

性別:男性 年齢:15歳


スキル【四角魔法】【収納魔法】


特徴:癖っ毛だらけの赤みがかった茶髪、猫のような目つきの碧眼の少年。常にだらけた格好をしている。魔法師になる事を決めた時、真っ先にローブは短いものにすると決めた。触媒は近接もこなせるとうに、アサメイを使う。

 

概要:だらけた格好を好むが、性格は至って真面目で、好奇心旺盛。やりたい事には全力を出し、正義感もある。

 ただ、見た目で誤解を受けやすい………見た目通りめんどくさがりの一面もあるのだが。

 基本的に真面目であるため、貪欲に学ぼうという姿勢を見せる。意欲も高く、呑み込みも早い。

 ただ、前述のスキルが他にないユニーク過ぎるものの為、最初はかなり苦労した。慣れれば簡単らしい。


 あらゆるものを〝四角〟に切り取り、自由自在に四角限定で形を変えられる魔法。それが【四角魔法】。圧縮もできるらしい。

 基本の形は正六面体だが、形を崩して台形にも出来るらしい(ただし、コントロールと制御がめちゃくちゃ難しい)。


 【収納魔法】は言葉の通り、あらゆるものを収納する魔法。ただし、原則として生物は収納できない。ただし、逆に言えば生物〝以外〟なら、何でも収納できる。

 容量は魔力量に比例するが、重量などは無制限なのが強み。収納限界もまた、魔力に依存し、一度に収納できるモノの大きさにも、魔力量によって制限がある。

 意外と制約が多いスキルである。


 テトの戦い方は至ってシンプル。空気を固めて撃ち出す。それだけ。

 最初はそんなもの。土を圧縮して、鉄に近しい強度にしたサイコロサイズのキューブを、空気のキューブに二重で固めて撃ち出す、という戦法も取る。


 解説すると、固めた空気が解放された時、二重に固めた土のキューブも解放されるため、散弾のように攻撃できるという、使いやすい攻撃が出来るのだ。

 だが、相応の魔力は消費する。初期だと一発が限度。


 他にも水を圧縮して水圧を利用して攻撃を防御したり、圧縮した炎に空気のキューブを纏わせて疑似的な爆弾をつくったり………色々と応用力があるスキルなのだ。


 変なスキルだけど。




(ΦωΦ)ジャックポットサッドガールを聞いてたら思いついた。んで、書き残したかったから、すぐにネタを考えて書いた。

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