EP82.休日は姫とゲームをしよう!
次の日の休日の話だ。
俺、
休日もこうのんびりとしていると、少しだけ熟年夫婦を想像してしまって顔が熱くなってしまうのは小夜に言えるわけが無い。
「蓮さん」
そんなことを考えて勝手に煩悶していた俺に気づかずか、小夜が突然話しかけてきた。
俺は「ん?」と返して続きを促す。
「蓮さんってゲームを持っていましたよね?」
「持っているが…突然どうした?」
まあ、幸せだからいいんだけどな。
「私、ゲームってあまりやった事がないのですが、それって面白いものなのでしょうか?」
「どこのお嬢様だよ」
なんかラブコメで、完璧超人だけどゲーム知識には疎いっていうヒロインが結構いるんだが、もしかして小夜もそうなのか…?
まあたしかに、この部屋でゲームらしきものは全くないけどよ。
「で、面白いか…か。人によって好き嫌いはもちろん別れるが、娯楽としてはいいんじゃないか?」
「すごく客観的な言い方ですね…」
「いやだって、そんなに熱心にやってる訳でもないしな…」
娯楽としての選択肢に入れているだけで、優先順位としては参考書や読書より下回るのが俺にとってのゲームの価値観だ。
「とりあえずですね。TVゲームって
「まあ、たしかにな。さっきも流れてたし」
「はい。それで、少しだけ興味がでましたので…明日、蓮さんの家でやらせて貰っていいですか?」
まあそういう事なら特に構わないので、俺はなんの躊躇いもなく頷いた。
…考えると、小夜が俺の家に来るのって結構久しぶりか…いや逆に俺が小夜の部屋に行ってるのがおかしいのか…?
んー………まあいいか。
そんなこんなで翌日の昼過ぎ。
インターホンが鳴ったので小夜を部屋に招き入れ、ソファに座らせる。
「飲み物はりんごジュースでいいか?」
「はい。ありがとうございます」
テレビを見ながら、小夜は頷いた。
EP11の時も思ってたんだが、なんでりんごジュースがあるんだろうな…
で、りんごジュースでいいらしいのでそれと微糖コーヒーを取り出し、コップに濯ぐ。
一応トレイに乗せ、ソファ前のテーブルに置く。
それから二人でゲームソフトを漁り始める。
「何がいい?」
「そうですね…さっきCMでやっていたゲームはあります?」
「これか?」
「それです」
取り出したのは、色んなゲームのキャラを吹っ飛ばして遊ぶ、発売日が俺の
これはある程度ボタンとアクションを一致させればすぐに馴染めるので、個人的にも初心者にオススメだ。
取り出したソフトをゲーム機に差し込み、ゲーム機を起動する。
ホーム画面から差し込んだゲームを選択してOPが始まった。
「ほい。コントローラー」
「ありがとうございます…あの、どうやって持つのですか?」
「…は?」
まって、持ち方すら分からないの!?
ここは俺も言葉を失ってしまう。
「えっと…これまでの人生、一度もゲームをやった事がなくて…」
これは重度のお嬢様らしい!今すぐにでも救わねば!
まあ、普通に手を触って持たせるだけなので、簡単なお仕事である。
その時、思わず顔が近くなってしまって顔が熱くなったのは秘密だ。
「とりあえず、これが左スティック。これが右スティック…OK?」
「これが左スティック…これが右スティック…」
この世界に、コントローラーのボタンの呼び方から教える人はいるだろうか。
ここに居る…俺は一つ一つのボタンを、小夜が覚えるまで教えた。
「じゃあやるか!」
「はいっ」
俺はもうヤケクソで、小夜にゲームの操作方法やらを教えていったのだった…
「なあ小夜」
「はい?」
ゲームを始めて一時間半がたった。
俺は今、ゲーム画面が映されているテレビを遠い目で見ていた。
「なんでそんなに飲み込み早いんだ?」
そう…あれから通常対戦モードで遊んでいたのだが、こいつは俺がやったコンボやテクニックを直ぐに我がものにしてくるのである!
俺は一応オンラインでは上手い部類に入ってるはずなのに、本気をだすまで30分もかからなかった…
「蓮さんの見様見真似でやってるだけですよ?」
「おかしいだろ!?」
なあ?ステータスの振り分けおかしいぞ?神様。
俺結構努力してここまで強くなったのに、小夜ってば…ねえ?
ちなみにもう2回くらい普通に負けてたりする。
「蓮さん、甘いですよっ。その攻撃は約60分の30秒の隙があると分析しました!」
「そのチート能力どうにかならんのか!?」
そう叫んで無残にやられる俺。
これで計3回目の敗北である…無念…
くっ…小夜め…今に見てろよ…
「ゲームって楽しいんですね!蓮さん」
「そうだな!」
満面の笑みで全てを許してしまうチョロい俺だった…世界平和最高!
そんなこんなでこの後も小夜と日が暮れるまでゲームで遊んでいた。
あるタイミングから俺が勝利をもぎ取ることは出来なくなったのは…やっぱり秘密だ。
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