EP75.休日は姫と遊園地デート
昨日のあの後、遅刻ながらもちゃんと登校したんだが…仕方なく姫様と一緒に来た為、魔王様にたっぷりと尋問されてしまった…
そんな俺、
そう、今日は遊園地デートの日である。
昨日の放課後にやっとスケジューリングしたので、中々余裕のないものではあったんだが…
しっかりと集合時間二時間前の朝七時に俺はやってきた…今日はいっぱい楽しんでやるつもりだ。
さっそくだが、俺のファッションを紹介しよう。
トップスは白のVネックにネイビーのテーラードジャケット、ボトムスは黒のスキニーだ。
水族館のお出かけほどでは無いにしろカジュアルに仕立て、遊園地に馴染みやすい服装にしてみた。
メガネを掛けてきてはいないが、代わりにネックレスを首にかけている。
もうすぐ夏だし、スポーティなバリエーションも必要か?
そう思いながら、黒のショルダーバッグから本を取り出して読書に励む。
小夜が来た時すぐに反応はできるように、あまり集中しないように読むけどな。
しばらく本を読み進めて一時間ほど経つと、周りが騒がしくなった。
もしかしたら…と思い、俺は顔を上げる。
俺が来た道の方向に視線を向けると、やはり俺が待っている女が姿を現していた。
もちろん、そいつの名は
…ちょっとまて、あかん。
映画館デートの時もそうだが…うん…可愛い…
…あっ、すまん…気を取り直して、ファッションチェックだ。
トップスは白いブラウスに黒色のリボンを付けた、所謂リボンブラウス。
ボトムスは以前(EP63)に買っていた翠色のコルセットスカートをはいている…目のやり場に困るな、これ。
で、足はタイツなのか?黒い靴下をローファーで覆っている。
長い金髪はハーフアップにしていて、全体的にフェミニンさがすさまじく、とても綺麗だ。
その姿はどこぞのお嬢様を彷彿とさせた。
そしてなんと嬉しいことに、俺が誕生日にプレゼントしたクリーム色のネックレスと、シルバーのブレスレットを付けてくれている。
バッグは俺のがあるので持っていないのだが、それが逆にお嬢様感を強調させている。
結果的に、俺が持ってきておいてよかったと思う。
「おはよう」
「おはようございます。待たせてしまいましたか?」
「んや、大して待ってないよ」
「そう言いつつ、七時に来ているんでしょう?」
その言葉に俺は反論することが出来ない、図星だからだ。
俺が黙り込んで視線を逸らしていると、小夜が頬を膨らませた。
「やっぱり…申し訳ありません。少し準備に時間がかかってしまいまして…」
「気にすんなよ…レディを待たせるとか男として御法度だろ?」
それに関係なく二時間前に来ることが癖になってるだけなんだけどな…
でもまあ、レディを待たせたくないのは本心ではある。
俺の言葉に、小夜はほんのりと頬を赤らめて俯き「レディ…」と呟いた。
何か俺おかしいこと言ったかな…完全にレディだろ、今の小夜。
いや、いつもレディだけどな?
「それはそうと、今日の服装も似合ってるな。綺麗だぞ」
「あっ、ありがとうございます…蓮さんもカッコイイですよ。メガネを掛けていない服装も新鮮です」
小夜が真っ赤な顔になって顔を上げ、俺の服装を褒めてくれた。
かなり嬉しいし、その赤らめた顔を見て俺は一瞬言葉を失ってしまった。
「…っと、さんきゅ。でも、メガネは一応持ってきてるぞ」
メガネをかけていないだけで、ジャケットの胸ポケットにメガネは入れている。
やっぱりオシャレする時には俺的にメガネがお供だからな…
「あ、本当ですね。私も胸ポケットにメガネは入れているんです。お揃いですね」
待ってくれ!胸ポケットに入れてるって言われても見れるわけないんだが!?
小夜って自分のプロポーション自覚してるのかね…?
俺が目を逸らしていると、小夜は胸ポケットからメガネを取り出して掛けた。
…すげえ、今日はメガネはお預けかと思ったが…かなり似合ってる…
あ、ちなみに俺はメガネ大好きたぞ、覚えといてくれな。
「どうですか?」
小夜が胸をはってドヤ顔する。
タイム!服装といい仕草といい今日やけに胸強調してくるな!?
「に、似合ってるよ…」
「ふふ。ありがとうございます」
イタズラに笑ってきやがる…俺が照れているのをわかっているな…?
俺は小夜を必死に睨むが、小夜は笑うだけだった。
「蓮さんも掛けてみては?」
「んー…そうだな。お揃いとして、今はかけとくか」
「はいっ」
という訳なので、俺は胸ポケットからメガネを取り出して掛けた。
…結局映画デートと同じでメガネじゃねえか…
「…はあ。じゃ、いこうぜお嬢様」
「おじょっ…!?は、はい。蓮さん」
…まあいいか、なんか可愛い顔してるし。
俺たちは駅に入り、改札を通った。
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