EP67.おまけ 魔王様に見透かされる気持ち
俺だ、
俺は、昼休みに最近ちょっとだけ日課になってきている
零は、耳がいいからか日に日に俺の事を気づくための声の大きさが下がっていき、最近ではいつもの声を少しだけ大きくするで気づくようになっている。
「聞いてもいいか少し迷っていたんだが、この間の土曜日にショッピングモールで白河を見つけたんだ」
「………」
…なあ、開始早々嫌な予感がしてきたんだが…?
説明しよう!零はクールキャラだがどこか恋愛脳なのである!
俺と小夜が名前で呼びあっていることを知ってから、いつもいつも『どこまで進んだ?』などと余計なことを聞いてくるのだ!
何故クールキャラなこいつが姉貴とか小夜の母親と同じ面倒臭い話題を持ち出してくるのか、今も疑問で仕方がない。
「あの時は白河しか見つけれなかったんだが…なにやら白河は乙女のオーラを放っていた気がしたんだ。
そして蓮、同時に君の気配も感じ取ったんだが…あの時いたんだよな?」
零は真剣な顔で聞いてくるが、こいつの場合こんな時は真剣な顔の仮面を被り、中身は絶対ニヤニヤなぉムカつく感情になっているのが常だ。
正直答えたくなくて仕方が無いので俺は沈黙を貫く。
「答えたくなくて沈黙を貫いているなら、それは肯定と受け取らせてもらうが…いいんだな?」
「うるせぇ…」
え、何?零も俺の心読める能力手に入れたの?
俺って心の中筒抜けすぎるのか…?まあたしかに、人と関わる機会がなかったし今まで感情を隠す必要がなかったのは確かだが…
俺が悪態をつくと、零は真面目な顔からニヤニヤした顔になった。
俺はそんな零を全力で睨んでやる。
しかし、零は表情を変えることはなかった、くそっ!
「いやあ、デートをするくらいに進展してくれたようでよかったよ」
「………」
「新学期が始まってから蓮の雰囲気がどこか変わった気がしていたんだが…先日のデートと言い、それは白河のおかげで間違いはないみたいだな?」
「なっ…!?」
新学期が始まってってそれ俺が小夜に好意を抱いてからじゃねえか…
零には全て見透かされてるのか?だんだん怖くなってきたんだが…
「それとだな蓮。君は僕と話している時と白河と話している時とで表情が変わりすぎなんだよ」
「……」
「なあ。分かりやすすぎて追求するなって方が無理だと思わないか?」
「うるせえうるせえうるせえうるせえぇ!!」
もうなんなんだよコイツ!?
さっきからニヤニヤニヤニヤしやがってよ!?
「で、実際どうなんだ。僕はもう確信しているが…君はもう彼女の事が好きなんだよな?」
零はまた真面目な顔になって、恐らく教室の前側にいるであろう小夜を横目で見た。
この時は本当に真剣な顔なのは分かっている。
…が、そういう顔をされても、プライドがうるさく、素直に認めたくはなかった俺がいた。
「…仮に好きだとして、どうするんだ?」
「いや、蓮の境遇は今年初めのカフェで粗方察している。その上で君にも春が来たんだな、と素直に祝福させてもらおう」
その言葉に、俺は目を見開いた。
EP35の事だろうが、零にもそんな気持ちを抱かれていただなんて思っていなかった。
そして、心配してくれていたのならかなりありがたい話ではあった。
「…まあ、それでも言う気がないのなら、一回白河を見てみてくれ」
「は?」
「いいから」
零に促され、素直に先程零が見ていた方向を見ると…俺はその光景に少し苛立ちを覚えた。
学園の「勇者」様、
あいつは懲りずに小夜に話しかけているらしい…いや、別にそれはいいんだ。
が、小夜が勇翔と話していてほんの少しだけ素の笑顔を浮かべていることに、何かモヤモヤしたものを覚えた。
そして、零との話に集中していて聞こえなかった女の声も聞こえてくる。
「勇翔くんって白河さんと付き合ってるのかな…?」
「それだったらお似合いだよね…白河さん羨ましいな〜…」
「でも勇翔くんって、去年白河さんに告白してフられてなかった?」
「そうだったと思う。けど、今の白河さんを見ると…もしかしたらねえ?」
「「うんうん」」
その話を聞いた瞬間、頭に血が上るのを覚えた。
俺は勢いよく立ち上がって小夜の方に向かおうとしたが、零に止められてしまった。
「なんだよ…」
「それが答えだ。君は白河小夜の事が好きで、今は勇翔に嫉妬している…違うか?」
「なっ…」
言われて気づいたが、完全に図星だった。
たしかに小夜のことが好きなことには自覚していたが…こんなにもモヤモヤやイライラが出てくると思っていなかった。
「もう一回聞く。君は白河の事が好きなんだな?」
「……ああそうだよ…で?それがどうした…嘲笑おうってのか?」
俺はもうヤケクソになって零を睨むが、零はバカにするように嘲笑うわけでも、ニヤニヤする訳でもなく…爽やかで優しい笑顔を浮かべていた。
「言ったじゃないか、祝福させてもらうし…応援もさせてもらう。
僕だって誰かと付き合ったことは無いが、女性が喜ぶことには詳しいと自負している。だから、色々と手伝わせてくれ」
零のその言葉を聞いて、俺は目を見開いた。
零は笑顔を崩さずただ俺を見ているだけだった。
…はあ、もう零には適わないかもな…
俺は頷くと、零も力強く頷き、五限目開始のチャイムがなった。
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