残す想い
時刻は昼過ぎ、三人は
「そういえば一つ疑問が。小沢さん、貴方は
生きているワードに致死性の毒だったことを知る。
「大したことじゃ無いんですが、『人間ポンプ』って知ってますか? 小さな頃にテレビでやってたのですが、金魚を呑み込んで、生きたまま出すやつです」
成る程と合点がいく木村。
「私のはちょっとズルなんですが、超能力を使って出しました」
ボリボリと頭を掻き照れ臭そうに笑う。
「
木村も笑顔で返す。
♦︎♦︎♦︎
某掲示板サイト
特設!【トット氏を暖かく見守る会】
八月○日
エフ局 十九時〜『身近なマジシャン頂上決戦!』にてトット氏出演決定!
Part九十一
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俺ツヨシ
「クズ人間小沢のせいでドンドン日本の立場が悪くなる。マジ最悪」
正すタダシ
@俺ツヨシ
「だから、何回も言ってるけどスレ違うからこっち来んなカス」
バンビール
「カス沢 過去の悪行まとめ」
【https//www.$≧*‰♀∬⁂※≒Å⊆】
空白
「そのまとめ見たことあるけど悪行って程じゃ無いだろ」
PPv
「寧ろこれだけ騒がれて出てこないのがすごい」
世紀待つ
@空白
「いやいやいやw大惨事ですからwwww今回の被害総額分かって言ってます?wwww」
空白
@世紀待つ
「あれだけの被害に死者ゼロってのがトット氏の人柄だろって話だよ」
世紀待つ
@空白
「ひwとwがwらwwwwテレビで近所の人が何て言ってたか知ってますぅぅぅwww?」
ナスカ
@世紀待つ
「あれトットさんの家から一駅は離れてる。ご近所じゃないよ」
サンマ三万
「クソ沢のジジイ、アレだけの被害出しといて息子信じてるとか頭ワイテル」
進め珈琲
@サンマ三万
「アホの子はアホ」
カール1世
@サンマ三万
「親関係なぇやろ」
俺ツヨシ
「なんなのあんたらテロリストの一員ですか笑?」
正すタダシ
@俺ツヨシ
「カス スレ 違う 八回目」
ビスまる子
「新車のドア吹き飛ばされたのは事実wお金持ってるなら弁償してほしいっすww」
明日は我が身
「人生ポイ捨てさん出番ですよ! ビスまる子が現れました」
ビスまる子
@明日は我が身
「ちょwやめてww俺トットさんのアンチじゃないからw」
ロリポップロリポップ
「ミーたん♪ミーたん♪」
祖父リーズ
@ロリポップロリポップ
「そろそろ通報しますよ」
母からオカカ
「まあ早めにチンで助かったわ。怖すぎるだろ」
その頭皮
@母からオカカ
「マジそれな」
サブイボ氏
「お前らカスばっかりか、事情があったかもしれんやろ。視線がヤラシイだのドアを壊されただの、いつも
PPv
@サブイボ氏
「サブさんありがとう」
空白
@サブイボ氏
「感動した」
新鮮な組
@サブイボ氏
「うむっ
・
・
・
明太子リスト
「サブイボ氏に
【https//www.‰♀∬Å≒〜◯3♯*£】
サブイボ氏
@明太子リスト
「ほんまやめて!///」
♦︎♦︎♦︎
「木村さん、最後に一つお願いがあるのですが……」
おずおずと喋るトット。
「最後と言わずに、可能な限り聞きますよ。どうしたんですか?」
男前だなぁ〜っと思う、顔良しスタイル良し頭良し。きっと女性に困ったことはないだろうなと考える。
「こんな時にアレなんですが、ちょーっと動画を撮りたくて。家にカメラ取り帰っても良いですかね?」
どうしても伝えたいことがあり、恥を忍んでお願いする。
「自宅にはとてもじゃないですが帰れません。マスコミも警察も多分組織の人間も沢山います。動画でしたら私のスマホで撮りますか?」
ポケットからスマホを取り出し、トットへ見せる。
「ですよね! 私も人がいっぱい居るかな〜とは思ってました! では迷惑でなければお借りしても宜しいでしょうか?」
四十三歳の上目遣いでお願いする。笑ってスマホを差し出す木村。
「構いません。これは今回の作戦の為に用意したスマホですので、お好きなように使って下さい」
笑顔が眩しすぎる。最初会った時は恐ろしかったが、今では木村もハナコもともて良い人間だと感じていた。
「ありがとうございます!」
深々と頭を下げ、両手で受け取る。
「余計なことは言いませんので、動画を撮ってネットにあげても良いですか?? その……、やっぱりマズイですよね?」
黙って使えば良いのに、底抜けのお人好しだなと思う木村。
「私達に、止める権利はありません。いや、資格がないんです。ご自由に」
気を遣って二人は部屋を出て行く。
♦︎♦︎♦︎
(トン…トントンッ)
スマホを指で叩く音がする。
「あ〜こんにちは、トットです! スマホ使っての撮影は初めてで。ちゃんと撮れてるかな?」
綺麗な白いTシャツを着たおじさんが、画面中央に座り深々と頭を下げる。
「最初に一連の騒動につきまして、お詫びさせて下さい。ほんとーーーーに取り返しのつかないことをしでかしました、申し訳ありません!!」
ボサボサの癖っ毛を垂らし、一分程頭を下げ顔を上げる。
「それと、こんなしょうもない人間の動画を見続けてくれた皆様、本当に感謝の気持ちでいっぱいです! ありがとうございますっ!」
また、頭を下げる。
「最後の放送から随分と時間が経っちゃいましたね、毎日配信達成出来ずに申し訳ないです。それと先に言っておきます、これが私の最後の動画になります」
今まで見たことのない真剣な表情。
「これまでも沢山の動画を出してきました。私のアホな挑戦に、ミーの誕生日会。新年の
ケタケタと笑う。段々と調子が戻ってくる。
「私ね、ほんっとに言葉にするのも嫌なのですが。二人を奪われてしまいました。私の一番大切な二人です。私の目の前で。私が不甲斐ないばっかりに巻き込んでしまいました……。でもね、そこの貴方! ガッカリしちゃダメですよ! 二人がね、生きてるかもしれないんです! いや絶対生きてるんです。正直また周りに迷惑いっぱいかけちゃうと思います。建物だって壊しちゃうかも、でも気にしませんっ! 無責任上等ですよ!」
グッとカメラに力拳を見せる。相変わらず貧相な力拳を……、でもなによりも力強く。
「今からチャチャっと行って取り返して来ます! やっぱね側に居ないと寂しくて寂しくて。私には二人が必要なんです! うさぎはね、寂しいと死んじゃうんですよ!」
どちらかと言うとロバのような顔で言う。
「それと私のチャンネルの収益全部ジジさんに譲ります! 有意義に使って下さい。使い切らない分は、ジジさんが必要だと思うところに寄付しちゃって下さい。よろしくお願いします! ……あと親孝行出来なくてまっこと申し訳ないっ!」
土下座をするトット。背中がフルフルと震えている。
「よしっ、これって法的に有効かな? まぁ良いやっ! では
スックと立ち上がる。全身に気合が満ちていた。
『以上私の自伝であり、遺書であります!』
動画が終わり、
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