背負う重さ
「小沢さん、私は貴方を誤解していました」
焼けた砂浜に頭を擦り付け土下座する。直ぐにハナも横に並び土下座していた。
「……もう良いですよ、過ぎたことです。頭を上げて日陰に入って下さい」
有無を言わさずサイコキネシスを使い二人をそっと日陰に移動させる。
「私は貴方を危険だと報告しました。そして組織は貴方に酷い仕打ちをした。それでも貴方の本質はブレずに、誰も殺さなかった」
半々だと判断したことを後悔する。この人は、何があろうと誰も傷付けない。そう今は確証を持って言える。
「臆病なだけなんです、それに責任感も弱い。二人分でも一杯一杯なのに、他の人の命の責任まで背負えませんよ。私がもっと強ければ、結果は違っていたかもしれませんね」
ハハッと乾いた笑い声を上げる。それは二人を気遣っての笑いだった。
「小沢さん、この水を飲んで下さい。どうか生きて下さい」
ハナはカバンからペットボトルを取り出し差し出す。
「いえいえ、結構です。私は早く二人に会いたいんです」
ニカっと笑顔になる。先程とは違い心からの笑顔だった。きっと二人を思い描いているのだろう。
「もしこんな私でも、二人の側にいけるなら、今度こそ全てを家族に捧げるつもりです。ミーのワガママがこんなに恋しい気持ちになるなんて、ビックリですよ」
そう言い終わると、フラフラと倒れ込む。体力より先に気力がなくなっていた。木村は小沢を抱き抱え、水を飲ませようとする。が水は喉を通ることは無く、ポタポタと砂に消えていく。
「小沢さん! 飲んで下さい!! こんな無責任なことは言いたくないのですが、二人は生きているかもしれません! お願いですから飲んで下さいっ!!」
視界がボヤけていた。
急速に身体から力が抜けていくのを感じる。
深く深く沈む意識のなか。
一筋の光のように木村の言葉が届く。
(……生きている?)
(カカさんとミーが、……生きている?)
トットは最後の力を振り絞り、木村が持つ水をフワフワと喉の奥に押し込んでいく。
傍に佇む二人は泣きながら、様子を見守っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます