004 そういうことになった
「なるほど(ペロッ)。これはガチ痴女ですね(ペロッ)。肉便器ですわい(ペロッ)」
ガチ痴女肉便器が僕の全身をペロペロと舐め廻し続けている。
美味しそうにピー汁を舐める姿はまさしくHENTAI。
僕が知っているHENTAIは2人いる。一人目はこの目の前のガチ痴女肉便器。そしてもう一人は。
黒山羊ムキムキ勃起アナル紐だ。
スタンド使いはスタンド使いにひかれ合うように、HENTAIとHENTAIはひかれ合うのだろう。
つまりはガチ痴女肉便器と黒山羊ムキムキ勃起アナル紐は関係者。
であるなら、ガチ痴女肉便器が目の前に存在する以上は、あの悪魔との邂逅は夢ではなく現実だったわけだ。
Q.E.D。証明終了。
僕は死んで、悪魔に拾われ、異世界でユーチューバーとして奴隷生活を送る。
こちらのルートが現実であったのだ。
百人のチョコボール達よ。君達の方が夢だったのか。さようなら百人のチョコボール。会えなかったが、君達の事は忘れないよ。
どんな時も前向きに生きよう。今は僕の初めてを百人のチョコボールに奪われなかったことを感謝しようじゃないか。
ガチ痴女肉便器に舐められながら、僕はそんなことを考えていた。
……。
森の中に立ち尽くす。
暑い。
絡みつく痴女のせいで余計に。
もうかれこれ30分ほど、ガチ痴女肉便器のペロペロタイムが終わるのを待ち続けている。
服を捲り上げたり、ズボンをずり下げたり、ガチ痴女肉便器はやりたい放題だ。
たまにHENTAIの舌が僕の気持ちいいポイントに当たるが、HENTAIに負けたようで悔しいので極力無視をするように努めた。
くっコロ女騎士の気持ちが少しだけ分かった気がした。
そして僕は気が付いた。
HENTAIの上気する頬、潤んだ瞳、だらしなく開いた口元、興奮した息遣い、汗ばんだ肌、時々もれる喘ぎ声。
オマケに巻きスカートのなかに突っ込んでゴソゴソしてる右手。
完全にギルティ。ギルティですわい。
「ハイどっこいしょー!」
気付いた瞬間に、反射的に僕はガチ痴女肉便器を担ぎあげていた。
「うえっ!? 急にっ、そんなっ、ダメっ、ダメっす!」
駄目だこいつ早くなんとかしないと!
「ひゃん!? ぃいっ、いっ、いぃっ、あぅっくぅ!」
横から聞こえる嬌声を意識から遠ざけ、辺りを探る。
どこからか川のせせらぎが聞こえてさくる。そう遠くない。
フラフラする体を叱咤し、僕はその音を頼りに川へ向かって走り出した。
「ひゃっ! ひゃわ!? んくっ、くう!」
肩に担いだガチ痴女肉便器が、走る振動で揺れるたびに艶っぽい声を出す。
この期に及んで右手は巻きスカートの中に入れっぱなしだよぉ。
だが、下手に引っこ抜くと指先がどうなっているのか分かってしまう。恐ろしいのでそのままにしておこう。
「ああぅっ、ああぁっ? くるっ、きちゃう! すごいのくるっす!」
ガチ痴女肉便器が身悶え震えだした。
そういえばあのガチムチ悪魔も急に震えだしていたなぁ。嫌な予感しかしない。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あぁっ!」
次の瞬間、担いだ小柄な肉体に激しい稲光が走る!
やっぱり悪魔はみんなこういうパターンなの!?
「おほぉ~~~っ!」
ガチ痴女肉便器は僕に向かって堪えていたナニカを解き放った。
こうして、ガチ痴女肉便器は新たに『お漏らし』の称号を得たのであった。便器なのにお漏らしとはこれ如何に。
どうしてこうなったんだ。
※※※※※※※
辿り着いたのは、川原がひろがる幅3メートルほどの沢であった。
水量はそれなりにあり、体を清めるには十分だ。痴女にはついでに心も清めてもらいたい。
肩に担いだお漏らし痴女を、水深が深そうなところへ放り投げる。
「うひゃ~っ。冷たくて気持ちいいっす! 間違えたっ。キ゛モ゛チ゛イ゛イ゛ッ」
「何も間違えていないよ。なぜ言い直したんだ」
僕も続いて川の中に入る。お漏らし痴女より上流側に。
肩までドボンと水に浸かり、頭から水をかぶる。ジメジメと蒸し暑いので、たしかに川の水が冷たくて気持ちいい。
ついでに汚物にまみれた衣服も脱いで洗濯しよう。
しかし水に濡れてしまった服は脱ぎづらく、軽く引っぱった拍子に袖が千切れてしまった。
あまりにも簡単に破れたので逆に驚いた。
慎重にゆっくりと服を脱ぎ、その脱いだ服を見返す。
その服は見覚えのない、麻で作られた粗末な出来のものだった。仕立てからして家内制手工業製と考えられる。工場制機械工業の片鱗すら伺えないな。
いつの時代の服なんだ。映画の衣装のように現実離れしている。
現実離れといえば、僕の記憶が正しいならあのムキムキマッチョ悪魔に会った時はクリスマス、つまり真冬だった。でも今は木陰の下でも蒸し暑さを感じるほどだ。どう考えてもサマー。
異世界に来てしまったのかは未だ定かでは無いが、やはり超常的なことが起きているのは間違いないようだ。
「それで君は誰なんだろう? あの悪魔の関係者なのは、まぁ分かるんだけど」
僕はHENTAIお漏らし痴女に声をかけた。
川から上がり、適当な岩に腰を下ろす。洗った服も岩の上に広げて乾かそう。
さあ、今は僕も全裸だ。HENTAIに相対しても気後れすることは何もない!
「ハイッ。魔王サタン様の忠実なるしもべ、トラウィスカルパンテクウトリとはアタイのことっす!クウトりんって呼んでねっ」
しかしHENTAIお漏らし痴女はしっかりと僕の裸体を見据えて言い放った。
これは厳しい戦いになりそうだ(?)。
「トラウィスカルパンテクウトリさんですね。よろしくお願いします。それで魔王サタン様というのは僕がここへ来る直前に会っていたあの悪魔かな? しかし魔王サタン様ってあの聖書とかに出てくるサタン? 随分と有名な人だったんだね」
あんなムキムキHENTAIぶっかけ犯が悪魔の王様とは、世も末だな。他人事ながら悪魔社会の今後を憂慮せざるを得ない。強く生きろよ悪魔達よ。
「あぁ、たぶんそれ勘違いっすよ。魔王ってのは姓なんです。ついでに言うと、魔王さんって山田さんとか鈴木さんみたいな平凡な感じっす」
知りたくなかった悪魔の名前事情。“破壊の神”とか“地獄の大公爵”とかも姓になるのだろうか。自分の苗字が“蝿の王”とかだったら嫌だなぁ。
「でもアタイら霊的な存在は、自分の名前の由来ってのに結構影響されちゃうモンなんすよ。だからなのか魔王さんは、子供にサタンって名前をつける人が多いんっす。そんで余計に平凡になっちゃうみたいな。“魔王サタン”っていうのは幽世じゃよくある名前っすね。」
『魔王サタン=山田太郎』説、爆誕。つまり魔王の大半はドカベン。
「本家本元の魔王サタンなんかは特に有名エピソードに事欠かないんで、影響力も大きいっす。だから現代の魔王サタンって名前の人は、とにかくリンゴを見るとすぐに人妻に勧めちゃうし、『サタンよ去れ』って言われると大抵どっかに行っちゃうっす」
魔王サタン傍迷惑だな。社会生活をまともに送れないんじゃないか?
僕が内心で魔王の社会順応に疑問を呈していると、ガチ痴女が川から上がってきて僕の隣に腰をかけた。
全裸の僕に気後れしないとは流石だ。
それどころかヘソだし貫頭衣の裾をたくし上げ、ギュッと絞った。ああっ、下乳どころかもっと上のポッチまで見えちゃう!
動揺してしまった僕は、苦し紛れにガチ痴女に聞いてみた。
「へぇ、そ、それで、ちなみになんだけど、トラウィスカルパンテクウトリさんの場合はどうなの? その由来ってやつ」
「アタイは“金星の災神”っすよ。そんで太陽が嫌いかな。あと頭に矢がブッ刺さると石になっちゃうっす」
それは普通に死んじゃうよね、石になる前に。
もしくは石になるっていうのは裏社会の隠語かな。『砂にする』とか『風呂屋に沈める』みたいな。
しかし、名前に影響されるねぇ……。
たぶんこの子のこめかみの大きな傷跡も名前の影響なんだろうけど、幽世の住人にとって名前が持つ意味っていうのは大きそうだ。
あまり無闇に名前を呼ぶのは控えてあげよう。それが良い。
「ねえトラ子」
「急にフランクっすね!?」
「結局さ、トラ子はいったい何なのさ。僕を邪魔しにきたの?」
「ヒドイ! 逆っすよ、ぎゃく」
「いや今のところ邪魔しかしてないから」
ヒラリヒラリとやってきたと思えば全身ペロペロ舐めまわすし、最後にはお漏らしまで頂戴してくれましたしね。これを邪魔でなくてなんと言えばいいのだろうか。
ご褒美?
うーん、思い出したら不快感が甦ってきてしまった。
ついでに謎の体調不良も。
とりあえずもう一度川に入って不快感ごと全身を洗い流そう。
ジャブジャブ。
ゴシゴシ。
ゴシゴシ、ゴシゴシ。
んん? なにか体に違和感が。
……あれ?
僕の手ってこんなに大きかったっけ?
「いや~でも目の前に憧れの御方の肉体があると思うと、つい我慢が出来なかったんすよ。しかも、いやらしいお汁まみれで。なんかもうあの御方に抱かれているみたいで色々捗っちゃって。ひゃ~っ、また興奮してきたっす!」
トラ子がなにか言っているが、耳に入らない。
おかしいぞ。
なんだろう、なんだか、太い? 太いぞ!?
全身をペタペタ触ってみる。
そして僕は気付いてしまった。
太い、体であった。
腕だけではない。脚も、太かった。首も、太い。眼も、太い。眉も、太い。指も、太い。 唇も、太い。その、困惑した表情すらも、太かった。水面に写る眼光も太く、呼吸までもが太かった。
ムキムキマッチョ勃起アナル悪魔の、太い体である。
そういうことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます