DAY21 帰り道

 テスト期間は部活がない。いつもより早い時間帯だが、幼馴染四人組が揃って帰るのはいつものことだ。


「週明けからテストかー」

 しんが嘆いている。


 いつもは楽しい帰り道も、テストの前は暗い雰囲気になってしまう。


鎧塚よろいづかはどの科目が苦手なんだっけ?」

「全部!」


 愛衣あいが尋ねると、やけっぱちの声が返ってきた。


「なんで? 小学校とか、去年とか、わりといい点数取ってる教科なかったっけ?」

「それはもう過去の話だなー」

「真は勉強時間が足りてないんだと思うぞ」

「そういう武瑠たけるはどうなんだよ」

「可もなく不可もなく」


 武瑠は勉強の面では割と容量がいいようで、熱心に勉強しなくても平均点より少し上あたりはキープしているようだ。

 うらやましい、と愛衣はつぶやいた。


「双子ちゃんは?」

「わたしは文系」

「わたしはどっちかというと理系」


 愛衣と真衣まいが交互に答えた。


「おまえら、家で教えあえるからいいよな」

「すごい得意ってほどでもないから、二人して首ひねってることもあるけどね」

「それでもいいなー、俺、一人で家でやってるとついつい誘惑に負けちゃうんだよな。一緒に勉強する相手がいたらもうちょっと頑張れるのに、……多分」


 真の最後の付け足しに愛衣は笑った。


「タケちゃんと勉強したら?」

「タケちゃん言うなって」

「タケちゃんとやっても一緒にサボっちゃうからなー。で、タケちゃんだけ要領よく点数はそこそこいい、と」

「だからおまえまでタケちゃん言うな」

「それじゃ、四人でやろっか」

「あ、それいいね。みんなで判らないところを教えあうのがいいかも」


 愛衣の提案に真衣が乗ってきた。


「俺、聞きっぱなしになると思うけど、いい?」

「いいんじゃない? 鎧塚の点数底上げに協力してあげましょう」

「うおぉ、愛衣ちゃん、マジ女神」


 真のオーバーリアクションにまた笑いが広がった。


 こういう話題も明るくできるのは、四人が仲良くいられるからかな、と愛衣は思った。


 真が真衣を好きで、真衣が武瑠を好きで、この先どうなるか判らないのが少し不安だけれど。

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