第4話表向きは歩みより。裏では……

 この屋敷の居間、台所、『ママ』の寝床は既にあの溝鼠に侵略されてしまいました。何処を嗅いでもあれの臭いが致しますの。それでも高いところは、溝鼠がまだ小さいせいか不快な臭いはしていません。


 それにしても忌々しい。

 あの場所もこの場所もアレも最近使ってないあの玩具も全てがわたくしの、わたくし一人だけの物だったのに……。


 食べ残したご飯……。これにも溝鼠が口を付けた臭いが。白い器に入れられたこの水からも……。


 小腹も空いたし、喉も乾いていますから、食べますけど飲みますけど……はぁーーっ。なんなんですの?全く!!


 あまつさえ、トイレも共同だなんて本当に何なのかしら!?


 しかも、しかもですわよあの子ったらお水をよく飲むし、ご飯もよく食べるわりにお腹が緩いんですの。


 わたくしは一度にたくさん食べると吐いてしまうから、一度の食事を加減して二、三回に分けて食べる必要が有ります。その度に真似してガッツいてこの様とは……。


 少しは学習しなさいな!!


 トイレが汚れているじゃない!!


 レディも利用するトイレですのよ?用足しは綺麗に美しく、紳士らしい利用をしてくれなくては困りますわ!!




 それなのに能天気にまた遊び回って、食べようとする。



 ブチリッ!!


 わたくしの中で何かが弾けました。



『お姉~ちゃん。遊んで~』

 とばかりにトテトテ駆けるそれを、わたくしは怒りの形相で追い立てます。


 ババババ!!


 追い立てながら両手威嚇パンチの連射ですわ!!


 ほーらほーら!!モット踊りなさい!!この薄汚い溝鼠がっ!!



 溝鼠は、わたくしの勢いに気圧されて慌てたヨウスデバタバタと『ジイジ』の元に逃げ込みましたとさ。




 先はまだ永いですわよ?貴方が立派な紳士になれるまで、わたくしが徹底的に矯正して差し上げますわ!!



 シャーーーーーッ!!!




 今日も平和に追いかけっこ。



人目の有るところでは控えめに、人目の無いところでは割りと本気パンチを繰り出しているっぽい。その度に、子猫は逃げ込んでくる。


 メスとオス、体格差が生じたら逆転するから、意地悪出来るのも今のうちだけだよ?



 ミケさーん!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

猫に学ぶ悪役令嬢とは?~義弟編~ モカコ ナイト @moka777

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ