第3話ちょっとだけ近づいてみた

 観察していて分かったけれど、この子は馬鹿なの?馬鹿よね?


 あんまりにも距離を詰めようとするから、


 シャーーーーーッ!!

『誰の許可を得て近付こうとするのかしら!?』



 って威嚇するのに、てんで気にした様子もない。言葉で言っても、その言葉が理解できないのではお話になりませんわね。


 しかも、しかもですわよ!?わたくしが口をつけようとしている器に横から顔は突っ込んでくるし、遊んでいるおもちゃにも横から割って入ってくるし、何てずうずうしいのかしら!?


 暫くは観察すると決めていますから、軽く嗜める程度に今は済ませてあげていますけど、あんまりにも度が過ぎるのならこちらも実力行使を果たしますわよ!?



 …………と、言った側から油断しているといつの間にやら背後から近付き、わたくしの長くて美しい尻尾をクンクンと……。



 シャーーーーーッ!!バシッ(空振り)

『何をしていますの!?破廉恥ですわよ!!』


 わたくし頭の中が怒りやら恥ずかしさやらで真っ白になりまして、二階へすっ飛んで駆け上がりました。


 全く、迂闊に歩み寄るものでも有りませんわね。油断も隙もないし、直ぐに付け上がって図に乗る。これだから溝鼠は困りますわ!!



 これは、徹底的にどちらが上かをわからせる必要が有りますわね!!



 ふんすと、わたくしは決意を新たにするのでした。


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