第2話~義弟を観察中~
二階で一人慎ましく過ごすこと三日。一人黙っていても解決はしませんわね。
あの少年の意図もわかりませんし、わたくしは少しだけ側により観察をすることにいたしましたの。
あの少年は、余程飢えていたのかそれはもうわたくしがドン引きする勢いでカリカリ小気味のいい音と供に食事を進めます。皿の周りには飛び散ったカリカリが輪を作り、みっともないですわよ?そんなに食べ散らかして。もっとゆっくり落ち着いて優雅に食べなくては、召し使いの仕事を増やしてしまうでは有りませんか。
それにあの怠け者の『ママ』の事です。一度床に落ちたカリカリを平気な顔で器に戻すのですよ?そんなものを貴方は口にするのかしら?
汚ならしいですわね。
(ミケも溢すし、食べてるけどね~)
五月蝿いですわよ?お黙り!!
兎も角、食べ方はガッツキ過ぎだし、居間は占拠しているし、あの臭いは嫌で堪らないし、洗って臭いが落ちてもあの子供は嫌なんですの!!
はあ~。これからの季節、日毎寒くなりますのに暖かい居間に行けないなんて辛すぎですわ……。
あの子供は、四日ほどで体調は回復したようですわね。ただ、風邪を引いているのか夜になるとクシュン、クシュンとくしゃみをして、鼻水が飛んでいます。
わたくし……やっぱりあの子の側には寄りたく有りませんわ。
それにしても、何てずうずうしい子なのかしら?わたくしのこたつの布団で寝ていたり、『バアヤ』のフカフカクッションに寝ていたりと、次々にわたくしのお気に入りを奪っているでは有りませんか!?
しかも臭い『ジイヤ』にもすり寄り、意地悪な『パパ』にも媚を売り取り入る始末。
わたくしとは絶対的にテンションの合わない、『息子』にも『お姉ちゃん』にも溶け込んで……。
あまつさえ、五日目には『ママ』の布団に潜り込み、一緒に寝ていると言う暴挙に出て!!
信じられません!許せませんわ!!
下僕達が一人、また一人と籠絡していくのを目の当たりにしましたのよ!?
唯一残されたわたくしの城、二階にまでその薄汚い姿を現し、わたくしの居場所を奪っていくのだから……!!
二階は不可侵!わたくしの聖域なのに!!
冗談では有りませんわ!!
こうなったら、実力行使ですわ!どちらが上か、今のうちにハッキリさせようではありませんの!!
この屋敷の令嬢は、わたくし一人!!女王として君臨するのも、人間どもにかしずかれるのもわたくし一人でいいのよ!!
その事をよ~く、貴方にも理解させてあげましてよ!!
オーホホホホッ!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます