第14話 タクミからの手紙

ミナミへの嫉妬心から、泣いて自分を選べとタクミに迫ってしまった、そうリカから聞いて、悟は容赦なく言った。


「いや、どう考えても最低な回答だな」

「……わかってるよ」


リカが悟をにらむ。


悟がリカに聞く。


「ストレートにお前が好きだから行くな、だけじゃダメだったの?」


「綺麗事言っても見透かされると思ったんだもん、タクミには全部」


今日、リカと悟はタクミからの手紙を読むために、いつもの駐車場で会っていた。 




リカちゃんへ


リカちゃん、ごめん。

よく考えて決めました。言葉だとうまく言えないかもしれないから、手紙にします。


ママのところに行くよ。


ママがおかしかったのは、本当のパパが病気になって、病院に行ってたからなんだって。

ママも怖くてイライラしてたんだ。


本当のパパは、昔、ママにフラれたと思って忘れようとしたけど忘れられなくて、それで少し前に、りこんしたんだって。


病気になって、やっぱり一番好きだったママと結婚したいって探して、オレの事も初めて知ったって。

今まで会いに行けなくてごめん、って言ってた。


ママと家族になるのが夢だったって泣かれたんだ。大人って男でも泣くんだね。


なんか、ママもパパもかわいそうだし、やっぱり、病気もあるし。

二人とも、オレがいたらうれしいって言ってるから、リカちゃんも心配しないで。



後、今までリカちゃんに言えなかったことがあるんだ。


リカちゃんにキラわれるかな、と思って言えなかったんだけど。


オレ、やっぱり本当の本当は、お父さんが欲しかった。


リカちゃん、今までありがとう。

それからリカちゃんを選べなくて、ごめんね。


一生味方だって言ってくれたこと、忘れないよ。


タクミより

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