第2話 魔法の使い方
僕らは廃墟のレストランで食事をした。料理好きのモンスターが担当している。実は料理なんてしなくても欲しいと願うと出てくるのだ。僕が血生臭いなんて言われながら絶品のワインを飲めるのもこの世界の不思議。まるで僕らが不自由しない仕組みがあるようだ。生きるために狩りや、化け物になる必要がない世界。でもまあ迷い混んだ娘はやっぱり美味しいけど。
だから僕がもし魔法が使えたら、娘がたくさん迷い込むようにするかな。
彼女のトレードマークである帽子。古臭い、美人な姿には到底似合わない。今はテーブルに置かれている。魔女は話してみると意外と面白かった。生まれつきで、人間から成り上がったわけではないようだった。
「ここにいるやつらは半分はホンモノで半分はニセモノなのさ」
「生まれつきがホンモノでしょう?」
「残念だね。私とあんた、それとごく少数だけが私の主の想像上の登場人物さ。だからニセモノ。この世界も主が作った。そして存在してしまったからにはそういうホンモノのやつらも集まってくる」
魔女が話しだしたこの世界の始まりには、おわりの話もついてきた。
「主が残したいくつかのお話が完全になくなればここの世界もなくなる」
「信仰の話?」
「ふふふ、私達はカミサマじゃない。想像の話だよ、信じる信じないじゃなく。あるかもしれない、くらいのふわふわとしたものさ」
そんなあいまいな、だけど
「僕らは考えている」
「そういうふうにつくられたから」
魔女はこう続ける。
「私たちより、そこらの人魂のほうがよっぽど自由さ」
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