反躬自省
急に現れた誰かに殴りとばされ、
「リッカ‼」「
「なんだお前は‼」
ヘルメットが作る陰に隠れていた顔が露わになり、
見ない顔、同じ学校の生徒ではない。
今は
「オレの名は、
バキィッ‼
「名前など訊いていない‼」
心得のない
対して、
バキッ‼
バキィ‼
「
「それも訊いていない‼」
「あのボガバンテの運転手だ‼」
作業着にヘルメットをしていたからもしやとは思っていたが、やはりそうだった。さっきまで双腕重機ボガバンテの
己の手とマスタースレーブで繋がったボガバンテの手によって【
バキィッ‼
運転免許を取得できる年齢に満たない子供が重機を運転するのは農家ではよくある話だ。免許は公道を走るためには取らないといけないが私有地内で動かす分には必要ない。
バキィッ‼
「お前のプロフィールに興味はない! いきなりリッカを、あいつを殴った了見を訊いている‼」
「そいつはボガバンテを侮辱した、当然の報いだ‼」
「文句は口で言え! 先に手を出すな、野蛮人め‼」
「貴様ァ!
「土地は関係ない! 被害妄想も大概にしろ‼」
「こんの
バキッ‼
バキィ‼
「お、おい──おごぉッ‼」
「い、
「や、やめ──がはぁッ⁉」
引率の担任教師たちがとめに入るが、2人がよけた相手の拳に当たり、全員 一撃でノされた(いつも高圧的に接してくる教師たちに生徒たちは誰も同情しなかった)。
大の大人でもそうなる、子供の中でも小柄な者がとめに入るのはなお危険。怪我では済まないかも知れない──それでも。
「ありがとう」
「「えっ⁉」」
寄りそってくれていた
「やめて」
「「⁉」」
ガッ──
「「いってぇ‼」」
「ああっ! 大丈夫⁉」
「平気だ……それよりリッカ! 危ないだろう‼」
「2人をとめるには、ああするしかないと思ったから。トキワ、僕のために怒ってくれて、ありがとう。でも、いいんだ。悪かったのは僕だから。こんなことにしちゃって、ごめん」
「……お前が、そう言うなら」
次に
「ごめんなさい」
「『ボガバンテはロボットじゃない』って発言、撤回するか?」
「しません」
「ああん⁉」
「マスタースレーブで操られる人形はロボットじゃなくてパワードスーツと呼ぶべきだ。僕がそう思っていることは変わらない。心にもない口先だけの撤回なんて求めてないでしょう?」
「まぁな。だが開きなおられるのもムカつくぜ」
「本当に悪いとは思っています。ロボットとパワードスーツの線引きなんて僕個人の解釈で、他人に押しつけるもんじゃない。マスタースレーブ好きな人に聞かせて不快にさせるなんて論外だ」
「……」
「それは分かってた。だから君に聞かせる気はなかった。内輪でだけ話してるつもりだったんだ。でも
「ああ、すげー声だった」
「やっぱり。気づいてなかった。声量にまで気が回らなくなってたし、周りに人がいることも忘れてた……言いわけにならないね。とにかく全面的に僕が悪かったんです。すみませんでした」
「……ま、腹ん中でなにを思おーが勝手だし、それを表に出さねー分別があっても、感情をセーブできねー時もあるか。わーった、頭上げろよ。オレも、いきなり殴って悪かった」
「あ、ありがとう……!」
ぱちぱちぱちぱちぱち
その時、ボガバンテが爆発した。
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