乙女
その夜、ベッドに入って目を閉じた
【
同じ小学校の、隣のクラスの同期生。朝、登校中にトラックにひかれかけた自分のことを救ってくれた命の恩人。
(運命的な出会いをしちゃった……)
正に白馬に乗った王子様だった。
彼が渾名とはいえ自らと同じ【リッカ】と呼ばれていることを知り、なおさら運命を感じた。
だが
が──
〔
〔あのね! さっきはああ言ったけど魔法の存在を否定してるわけじゃなくて、それに無いことの証明はできないから無いとは言いきれないし、僕もあったらいいなと思ってるし!〕
──と。
そしていつまでもそんな馬鹿みたいな夢を見ている自分を否定せず、尊重し、励ましてくれた。
親友の
心まで、救われた。
味方してくれるのは
彼の言葉で、ずっと自分を縛りつづけていた呪いが解けたのを感じた。これでもう、誰になんと言われようと自分の道を歩んでゆける。
改めて彼への想いが胸を満たした。こんなにも好きで好きでたまらない気持ちが恋じゃないなんて、ありえない。
それで確信した。
これが初恋だと。
我ながら調子がいいと思う。同じクラスになったことはないが噂で知ってはいた彼を、今日まで意識したことなんてないのに。
そう、彼──
(なんて言われてたっけ。確か……)
《
《
《対になる両極端なモテ要素と非モテ要素を備えていて、それらが打ち消しあって総合では平均点の、普通の非モテ男子になっている残念コンビ》
女子が男子に求めるステータス。
その最たるは
顔面偏差値か身長、どちらかだけでも高ければそこそこモテるが、それはもう一方が平均的だった場合だ。2人の場合は一方が高くてももう一方が低すぎるため、相殺してしまっている。
つまり──
それで『
背は顔ほど重視しない自分は
(ごめんね、
話した感じ、
人の本音なんてこんなものだ。自分は天使でも聖女でもない。ただ自分とて
好きになった。
とにもかくにも
これからの、彼との恋を。
彼の女子からの低評価は
《ごめん、君に見とれてて聞こえてなかった》
《え?
《すごいね、
《立派じゃなくても、いいと思うよ》
《動機とか、どうでもよくない? どんな理由でも、それが世のためになることに変わりはないんだし》
《逆に、世のためになることしようって人の動機にケチつけて、それで辞められたりしたら、人類の損失になるじゃない。むしろ害悪なのはそっちでしょ》
《知ってる。だから気になるのも分かるけど。そんな奴らより
──と。
今日、自分が彼と過ごした時間には常に一緒にいた
《だから、
あの時は純粋に
(三角関係かぁ)
恋愛物の漫画やドラマで、そういう展開はたくさん見てきた。絶対ロクなことにならない。まさか自分が当事者になるとは。
「うん、蹴落とそう」
誰にも譲るつもりはない‼
¶
その夜、ベッドに入って目を閉じた
【
同じ小学校の、隣のクラスの同期生。朝、登校中にトラックにひかれかけた親友の
(運命的な出会いを目撃しちゃった……)
正に白馬に乗った王子様だった。
彼が渾名とはいえ自らと同じ【リッカ】と呼ばれていることを知り、なおさら運命を感じた様子だった。
なのに──
《ごめん、君に見とれてて聞こえてなかった》
《え?
──なんて言われて。
ときめいてしまった。まさか自分まで彼に恋したのか。そんなはずない。彼は自分の運命の人なんかじゃない。だって彼の運命の人は、
いい男に褒められれば誰だって気分がいい。でも、それだけ。そこから恋に発展する人もいるだろうが、しない人もいる。自分は後者に決まっている。
そう、思おうとしたのに──
《すごいね、
《立派じゃなくても、いいと思うよ》
《動機とか、どうでもよくない? どんな理由でも、それが世のためになることに変わりはないんだし》
《逆に、世のためになることしようって人の動機にケチつけて、それで辞められたりしたら、人類の損失になるじゃない。むしろ害悪なのはそっちでしょ》
《知ってる。だから気になるのも分かるけど。そんな奴らより
──と。
いつまでも『宇宙飛行士になって月に行けますように』なんて馬鹿みたいな夢を見ている自分を否定せず、尊重し、励ましてくれた。
親友の
心を、救われた。
味方してくれるのは
彼の言葉で、ずっと自分を縛りつづけていた呪いが解けたのを感じた。これでもう、誰になんと言われようと自分の道を歩んでゆける。
改めて彼への想いが胸を満たした。こんなにも好きで好きでたまらない気持ちが恋じゃないなんて、ありえない。
それで観念した。
これは初恋だと。
我ながら調子がいいと思う。同じクラスになったことはないが噂で知ってはいた彼を、今日まで意識したことなんてないのに。
そう、彼──
(なんて言われてたかな。確か……)
《
《
《対になる両極端なモテ要素と非モテ要素を備えていて、それらが打ち消しあって総合では平均点の、普通の非モテ男子になっている残念コンビ》
女子が男子に求めるステータス。
その最たるは
顔面偏差値か身長、どちらかだけでも高ければそこそこモテるが、それはもう一方が平均的だった場合だ。2人の場合は一方が高くてももう一方が低すぎるため、相殺してしまっている。
つまり──
それで『
背は顔ほど重視しない自分は
(ごめん、
話した感じ、
人の本音なんてこんなものだ。自分は天使でも聖女でもない。ただ自分とて
好きになった。
とにもかくにも
これからの、彼への恋を。
前途多難だ。親友と同じ人を好きになってしまった。しかも、2人はまだ付きあっているわけではないが、あんな運命的な出会いを見せられて、気分はすでに横恋慕している。
(三角関係かー)
恋愛物の漫画やドラマで、そういう展開はたくさん見てきた。絶対ロクなことにならない。まさか自分が当事者になるとは。
「よし、蹴落とそう」
自分は運命論者じゃない‼
¶
かくして1人の男を奪いあう親友同士の戦いが、幕を開けた。
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