第39話「異能力」
書き出しを何度でもやり直してだって書く覚悟が出来た私だったけど、長編を書くにあたり、まだ1つの問題がまだ残っていた。
それは――。
異能力をどんなものにするかだ!!
少年マンガ大好きな私の考えでは、能力というのはその人の本質的なものか、願望的なものが反映されているのが良いと思っている。
なんの脈絡もない能力は、作品に深みが出ない気がするのよね。
さらに今回の作品においては、日常生活でも使い道があるというのが条件の1つになってきている。
「ここのところずっと母さんを観察していたけど、どういう能力がいいかな」
私はここ最近の出来事を思い出す。
「ネコにお財布に饅頭にクモか」
う~ん、先読み能力が濃厚な気もするんだけど、それだと面白味に欠ける気がする。
想像力で未来を決められるとかでもいいのかなぁ?
でも、
すごく強い能力はラストの方で出てくるのがいいのであって、最初から強いのはどうもねぇ。
結局、私は何も思いつかずにいた。
「息抜きに何か飲もうかな」
冷蔵庫にはドリンクバーのごとく飲み物があるから、今の気分にピッタリの飲み物を探そう。
そう思って立ち上がり、部屋の扉に手を掛けた。そのとき――。
バチッ!!
静電気が走ると同時に、1つのアイデアが閃いた。
余裕が出来た私は、「ふっ」と笑みを浮かべ呟いた。
「結界か」
バチッと手を弾かれたときによくある現代ファンタジーのシチュエーションを言いながら、そのままノートパソコンの前へと戻る。
「静電気でビビッてきたわ。ちょいと安直だけど、電気系の能力がいいわね。そうすれば、体内の電気信号を操って思考速度が早くなったり、反応が早くなったりも出来そうだし、なにより日常生活で役に立ちそうだし!!」
あとは書き出しだけど。
日常生活から入るか、能力を得るところから入るか、それが問題ね。
1つ解決しても、またすぐ別の問題に直面する。
これが長編を考える際の難しさなのね……。
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