第33話「私のプロット」
「さて、話を戻しましょう。一応、舞台は私が書きやすい現代日本にするとして、どんな内容がいいと思いますか? ついでに参考までに昔母さんが言っていたことなんですが――」
編集さんに見てもらう、注目してもらうには、商品化したときのことを考えるべきだと。
「例えば、魔法少女ならマスコットキャラが居た方が断然グッズ化しやすいですよね。ストーリーが面白いのは前提条件ですが、同じストーリーならマスコット有りと無し、どちらが編集さんが気に入るかというと完全に前者のマスコット有りだそうです」
「でも、それだとマスコットいない作品はダメなの……」
いーちゃんの質問に私は母さんに代わり首を横に振る。
「グッズを思い浮かべてみて。マスコットはもちろんグッズ化しやすいけど、他には可愛い女の子。イケメンな男子も同時にグッズ展開しやすいのよ!! だから男女比率は本来5:5のはずなのに女の子しか出て来ないマンガがあったり、イケメンしか出て来ないアニメがあるのよっ!! 例外的にめちゃくちゃキャラクターが強い葛飾区の方とかありますけどね。まぁ、これ全部母さんの受け売りなんだけど」
私は一呼吸置いてから、2人に話を振る。
「そこを踏まえて、どんな作品がいいですかね?」
「ようするに現代もので、女の子かイケメンが出てくるコメディってことね。いーちゃんさんは何か良い案あります?」
「わたしは、好きなものを書けばいいと思う。もしくは、ミトちゃんだけの強みがある作品かな……」
「私だけの強み? ヤナエ先輩それってなんだと思います?」
「ボクが思うミトちゃんの強みは2つあるよ。1つは幼い頃から培われたアイデア力。だから、誰も考えたことのないコメディ現代ファンタジーを考えてみてもいいと思う。そして、もう一つはマンガ家の娘ってことかな。それはどう考えてもアドバンテージだし、最近流行りのお仕事小説のジャンルにも入ってくると思うんだよね」
「なるほど。斬新なアイデアの現代コメディで、マンガ家の娘であることを生かした作品ってこと? えっ、もうそれって私の私生活をベースに書けばよくないですか。美少女いっぱいいるし」
私は端正な顔立ちのいーちゃんと可愛らしい顔立ちのヤナエ先輩を見る。ただし部屋の隅にある姿身は視界に入れずにだ。
「えっと、だから、例えば、『現代ファンタジーマンガ家が異能力手に入れたけど、特にバトルとか起きないから仕事・家事・育児に使います』とかかな」
「あ~、確かにそれは面白そうだし、誰もやってない話だよね」
「わたしも、それは読んでみたいかも……」
「なら、これをまとめてプロットにしてみます! 2人ともありがとうございます。という訳で、今日は解散で」
「いやいやいやいや、ボクらのプロットも手伝う約束だよね!?」
「冗談ですよ。冗談。それじゃあ、次はヤナエ先輩の作品行きましょうか――」
こうして、私の作品の方向性は決まり、その後、ヤナエ先輩、いーちゃんのプロットもなんとかまとまりを見せ、有意義な1日となった。
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