いや、添い寝とか聞いてないよ?

  結局、一緒の布団で寝ることになったんだけどね?普通の状態なら嬉しい状況だよ?今ねぇ普通の状況じゃない位から困ってるんですよ……これね実際にやってみなきゃ分からないってやつかぁ……


「これ、すごくドキドキしますね」


 ドキドキするね?じゃないよ!!こっちは心臓爆発するかと思うわ!!お風呂上がりでいい感じに暖かいしシャンプーとかのいい匂いするしさぁ……マンウィズになりそう。いかんだろ!!理性をたもて!!俺は長男だから耐えろ!!


「私、人と一緒に寝るの初めてなんです」

「俺もそうだよ……」

「私達初めてを捧げたんですね」

「深夜テンションか?」

「そうかもしれません……」

「早く寝たい……」

「ダメですよ」


 それ今日何回目?もう慣れましたよ?そろそろ新しい事しないと飽きられちゃうよ?


「今日は鷹山君を抱き枕にしますね」

「はい?」

「抱き枕にしますね?」


 は?いや、なにこれ?え?ヤッバこれ破壊力抜群じゃん!?

 布一枚先にあれだよ?大きなアレがあるんだよ!?しかも耳かきの時と違ってほぼ密着状態であるんだよ?すごく大きいです……


「もっと離れれない?」

「離れたら、ベットから落ちちゃいます」

「嘘つけ」

「嘘ついてでもくっついていたいです」


 いや、可愛いすぎんか?今日一番くらいで可愛い。は?なんだよこれ


「可愛いな」

「……え?」

「はへ?」


 今なんて言った俺?可愛い?って言ったよな確か


「もう一回」

「待って俺も自分がなんて」

「もう一回……お願いします……」


 すすり声だしちょっと上ずってるよな?泣いてるよな?振り返ったらダメだ。振り返ったら多分戻れなくなる。確実に襲ってしまう……


「さっきの可愛かった……」

「嬉しい……です」

「そうか……」

「また、言ってくれますか?」

「考えとく」

「ありがとうございます……」


 どうしたらいいの?この空気。確かに自分で蒔いた種で自業自得だけど、どうすんのよこれ。話の話題変えよう!!


「好きな理由はどうした」

「そうですね……可愛いなんてそんなに言われないので……つい」

「可愛いなんて言われ慣れてるだろ」


 学校での彼女は、多くの友達に囲まれていて男女ともに交友関係が広いし、告白の呼び出しからラブレターまで貰う人物だ、可愛いなんて言われ慣れてると思っていた


「好きな人からは初めてです」

「鴻上さんそういうの良くないよ」

「はい?」

「分からないならいいよ」

「教えてくださいよ!!」

「やだ」

「何でですか!!」

「言ったら調子に乗るから」

「後で必ず聞きます」

「絶対に言わない」

「むぅ」


 毎回そんな行動しないでくれる?可愛いから、しかもさっきより抱き着く力強くなってるし。


「さっさと教えてくれない?その好きな理由」

「なんですか始めより気になってませんか?」

「そりゃ、気になるだろ、監禁なんかされて好きって言われ続けたら」

「これは恋人になるのも時間の問題ですか?」

「知らん」

「いけず」

「床で寝るぞ」

「分かりました話します」

「ん、分かった」

「私、昔は太ってて小学校ではいじめられてました」

「嘘みたいだな」

「証拠、見ますか?」

「今度な、んで続きは?」

「その時に助けてくれた男の子がいたんです。でもいじめは終わらなくて結局は転校したんですけど、その子にまた会った時に可愛く見られたくてダイエットして痩せて、おしゃれの勉強もして」

「頑張ったんだな……」

「でも、両親はそのころに事故で亡くなって、私は一人ボッチになって」

「だから、家に誰もいなかったんだな……」

「親戚も引き取るのを拒否していて、両親が残してくれたお金を使って、こっちに引っ越してきました、その時助けてくれた男の子を見つけて、また頑張ろうって思えたんです」


 確かに小学生のころにいじめられている子がいたのは覚えてる、でも助けた記憶なんてない、昔だから覚えていなとかではなく、そんな事をした記憶がない


「一つ良いか?」

「はい、なんですか?」

「俺はいじめられている子を助けた記憶なんてない、人違いじゃないか?」

「いいえ、助けてくれましたよ?鷹山 遥君が」

「確かに俺だでも覚えていない」

「嘘ですよね?」

「本当だ」

「嘘ですよ、確かに助けてくれました。みんなに見つからないように勉強道具も貸してくれましたし、隠された上靴だって体操服だって見つけてくれました。」

「してない、鴻上さんの物を探した事も道具を貸した事もない」

「どうして嘘をつくんですか?あ、分かりました照れてるんですね?それを隠すためにそんな事を言ってるんですね?いいですよ照れ隠しなんてシナクタッテ」

「おい、首を絞めるな殺す気か?」

「いいえ、してくれましたよ、私の机にそっと消しゴムと鉛筆を置いてくれました!!体操服だって隠されたのにロッカーに戻ってました!!上靴だって戻ってました!!何で嘘をつくんですか!!」

 

 思い出した。鉛筆は間違えておいただけで体操服と上靴も間違えて俺のところにあったのを元の場所に戻しただけだ


「それは、俺が間違えておいただけで体操服も上靴も元の場所に戻しただけだ」

「ほら、嘘ついてたじゃないですか、やってないなんて言いながら、してくれたじゃないですか」

「確かに、やったけど、たったそんな事で助けた事になんのかよ」

「はい、なりますよ、みんながいじめてるのに鷹山君だけは優しかったです、私はそれだけで学校も来れました、ダイエットをしました、お父さんとお母さんが死んでからも頑張れました、私は鷹山君が優しかったおかげで生きて来れました」

「だから、これから私と一生を過ごしてください……」


 思い込みが激しいなんてもんじゃない、ただの盲信だこんなの、でも今にも消えそうな声でそんな事言うな、泣くな、泣きながら抱き着くな、そんなにされたら離れられなくなるだろ


「監禁されてる間は離れられないだろ……って寝てるし」


 鴻上さんも疲れてたんだろうな終始泣いてたし泣き疲れたんだろうな、てかさっき何を考えてたんだ?一瞬一緒にいても良いって考えなかったか?あんなの気の迷いだ考えるな。

 まぁ、寝返りって事で向き合って寝ていても問題ないだろ……

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