いや、そこまでしなくても!

「あのお口開けてくれませんか?」

「は?」

「だからカレー食べないんですか?」

「ま、まぁ食べるけど」

「だから、お口あけて」

「いや、開けないよ?」

「なんでですか?」

「あーんとか恥ずかしいから」

「可愛いこと言いますね」

「は?」

「え?」

「は?」

「可愛いですよ?」

「どういう事」

「あなたが可愛いって事ですよ」

「いや~きつくない?」

「食べたいくらいに」


 はい、恐怖。はい、怖い。


「早く食べてください」

「手錠どうにかして?」

「いやなので、お口開けて く だ さ い 」

「はい」


 ひな鳥の気持ちがわかった、うん、羞恥心を生贄にひな鳥の気持ちを召喚!!コストに合わないだろ


「お口にあいましたか?」

「おいしゅうございました」

「お粗末さまです」

「はい」


 やっぱり、良くないよこれ、特に俺の精神衛生上


「お腹もふくれましたしお話しましょうか」

「大分お話したよ?」

「え?まだまだですよ?」

「え?軽く一時間は話したよ?」

「私はまだ話したいですけど?」

「え、なに一日話したいの?」

「はい」

「はい?」

「じゃあ何話しますか?」

「え?なに?話題用意してないの?」

「はい」

「してないのか……」

「何か気になる事とかありますか?」

「どうせ家に帰してくれないんでしょ?」

「はい」

「詰みじゃね?」

「いえ、付き合ってくれるなら家に帰れますよ」

「いやね?監禁された状態で付き合えって言われてもだね」

「え?好きだから隙をさらしたんですよね?」

「違うが?しかもちょっと上手い事言ったって顔してるの?」

「違うんですか……」

「ちゃんと段階を踏んだら考えなくもないけど」

「なら、あ~んもしましたし、もうちょっとで付き合えるんですね!?」

「んー、確かにあ~んってそれなりに仲が良くないとしないよな」

「ですよね!?なら私たちもそれなりの『仲』ということになりませんか!?」

「なる……のか……?」

「なりますよ!!」

「ならねぇよ!!」

「なります!!」

「ならねぇ!!」

「なら!!何をしたらそれなりの仲にならるんですか!!」

「噛んだ……」

「むぅ~」


 顔を赤くしたところを見ると彼女なりに恥ずかしかったらしい。

うん、美少女って何しても可愛いは、ずるくね?


「ま、まあ耳かきとか出来たらそれなりの仲なんじゃないか?」

「ならしましょう!!!」

「嫌だよ?」

「は?」

「おい、キャラ保てよ」

「はい?なんのことですか?」

「あのね、耳かきしたらじゃなくて耳かきしても良いって思える仲じゃないと無理って事なの」

「はい、それはわかりました」

「わかってくれたか」

「でも、今主導権を握ってるのはわたしですよ?私の家から逃げれますか?自分の家に帰ることができますか?できないですよね?生殺与奪の権を持ってるんですよ?」

「いや、もう……はい……したいなら好きにして……」

「は、良くできました、私の膝に寝転がってください」

「しかも、何で俺から頼んだみたいにすんのよ」

「え?」

「はいはい……膝に頭乗せればいいのね」


 うん、柔らかい。柔らかいしいい匂いするしなんだこれ!?知らん知らん知らん!?本当になにこれ天国かぁ?????????


「じゃあ、右耳からしますね」

「ハイ」

「なんですか?緊張してるんですか?」

「いや、普通に怖い」

「鼓膜を破ったりしませんよ?」

「え、なに?破る気だったの?」

「破りませんよ、私の声聞いて欲しいですから」

「あ、はい」


 所々で独占欲出してくるのなんなの?怖いよ?


「はい、耳かき棒いれま~す」

「はい」

「気持ちよくないですか?」

「気持ち良いけど、怖さが勝ってる」

「そうですか?」

「そうですよ?」

「なら、フーーー」

「クッ、気持ちいいな」

「そうでしょ?」


 特に問題もなく右耳は終わった……問題は左耳だな……何が問題ってお腹の方に顔向くから、今まで感じなかった密着感がスゴイ!!!なんかもうやばい!!!

しかも、ちょくちょく胸が当たってよろしくない!!


「次……左耳ですね………」


 彼女も自分が恥ずかしい事になることはわかっているらしい……


「恥ずかしいならやめろ!!」

「嫌です!!だって!!私だけのなんですから!!」

「え?何でそこで独占欲だすの?」

「独占欲ってなんですか!?」

「耳元で叫ぶな!!」

「ただ、私は鷹山君を私だけのあなたにしたいって……」

「それが独占欲なんだわ」

「はい!!左耳いきます!!」

「話そらしやがったな」

「暴れると耳が聞こえなくなりますよ?それが嫌なら大人しくしていてくださいね?」

「ここにきて脅しか?」

「いえ、鼓膜は破れても治るので大丈夫ですが痛いですよ?」

「大人しくしときまーす」

「はい」


 やっぱ辛えわ……


「はいじゃあ、お耳にフーしますね」

「これ、なんとも言えない気持ちよさがあるな」

「私と恋人になれば毎日してあげますよ?」

「ほら、毎日すると耳の粘膜が傷つくから」

「なら一週間に一度でもいいですよ?」

「なんで恋人になる方向で話が進んでるの?」

「私達それなりの仲なんですよね?」

「はい?」

「だって耳かきをしたらそれなりの仲ってさっき言いましたよね?」

「いやそうじゃない」

「うそなんですか?」

「耳かきができたら」

「しましたよね今?しかもまだあなたは私の膝の上で寝てますよね?」

「確かにそうだな」

「ならもう私達恋人じゃないですか」

「そうはならんやろ」

「なら。このまま鼓膜でも破りましょうか」

「わかった」

「はい?」

「ちょっとだけ待ってくれ」

「また、私から逃げる為の言い訳ですか?」

「違う答えるためにはまだ時間がいる、だからもうちょっとだけ待ってくれ」

「なら、今週一週間は私の家で生活してください」

「結局監禁されてるから関係なくね?」

「まぁ、そうですね」


 こうして、一週間の彼女との同棲生活は始まった。

てか、俺まだ膝枕状態で話してるよな。絵面が酷い!何で起きてから話さなかったんだよバカでしょ

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