第4話新たなる世界

目が醒めると見覚えの無い天井が目に映える。

ここが何処なのかさえ理解出来ていない僕は辺りを見渡す。

周囲を見渡すとここがホテルなのが分かった。

慌ててベッドから身体を起きあげると、目の前にあの時の少女が2人共に立っていた。

「やっと目が醒めたのね優。約半日は寝てたわよ?」

「おはよう、優。久々に私達が顕現したからってへばらないで。」

2人は何もかも知っている風な口振りで僕に話掛けてきた。

彼女達の目には死んだ「僕」しか見えてない様だったので、僕はこの世界について理解するべく彼女達に本来の事柄を語った。

すると、彼女達の目から真珠の様な涙が溢れ出た。

時が経ち約10分後、落ち着いた彼女達が僕に問い掛ける。

「「貴方は、私達を哀しませない?貴方は私達を恐れない?私達を大切にしてくれる?」」と。

愛情が絶望に変わることを知っているかの様な目をして2人の少女は優に問い掛けた。

この世界の優は彼女達にとって大切な人、もっと言えば恋人の様な関係だったのだろうと僕は思う。

なら上書きしてやろうと考えた。

略奪愛だとかそんな感じなモノじゃなくて、新しく、言うなれば友人(ともだち)から始めよう……と。

だから僕はこう答えた。

「[僕]は君達の名前も何も知らないから恐れるかも知れない。けどその恐れは自身の無知さにだ!

哀しませる?そんなことする筈が無い。君達は見知らぬ男に襲われた時に僕を助けてくれたじゃないか。哀しませるなら僕は君達の存在に気付いたとしても君達をゴミ箱に投げ捨てたさ。」

だから僕は君達に言う。

心から溢れるこの想いを。

「ー僕は君達の全てを受け入れよう。例え君達がこの世界に居場所が無いなら、僕が居場所になってやる。

世界が敵に回っても僕が味方であり続ける!

それぐらい容易にこなしてやる!!

君達の全てを好きになった僕の存在意義で誇りに思えるモノだ。

言葉は嘘と思うかも知れないけど、この「想い」は決して紛れもない本物だ!!!!!」と。

その言葉は優自身でさえも吃驚する程稚拙で支離滅裂だった。

この言葉を聴いた少女2人は。

……泣いていた。

「ど、どうしたの?僕何か言い過ぎた?あぁぁどどどどうしよう?!!」

僕が狼狽えているのを見て2人が

「違うの!嬉しいの!!だって優だとしても私達を嫌いなるかも知れないと思ってたから。

嬉しくて………」

「やっぱり、優は優なんだって安心しちゃって。だってあの時と同じ言葉だったから嬉しくて。嬉しくて。うぅ…………」

少女達からは自分の主人であり、恋焦がれる人であり続けていたこの世界の僕を失ってさえも

世界が違う僕を待っていてくれたかの様な気がしていた。

優はこの瞬間の出来事が起きる為に今までの時間、「興奮」を持てなかったのだと感じていた。

ここから、僕と彼女達の物語が始まる。

今までの語りは序章に過ぎない。

さぁ、新たなる頁を捲ろう。少年と[絡炎の花]が入り交じる、儚き異譚を。

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