学年で1番人気の美少女を助けたら婚約者にさせられました。

月詠満月

第1話 間違ってる日常


 俺の名前は清水洞爺湖しみずとうやこ

 俺の名前は父さんが某アニメの主人公のファンだったから付けられた名前だ。

 あぁ、まさかの木刀だよふざけんな。


「ねぇ、洞爺湖。今日は放課後予定ある? 無いなら私の家に来て欲しいんだけど……」


 そして俺の目の前で頬を赤らめながら自宅に誘ってる人物の名前は富士見渚ふじみなぎさで俺の同級生で同じクラスの人。

 学年のアイドル的存在だ。


 シミの無いきめ細やかな白い肌に瞳は綺麗なアーモンドの形。

 容姿端麗、成績優秀ときたら誰だって憧れる存在だろう。

 そんな誰もが手に入れたいであろう彼女の好意は俺に向いている。

 俺、そう洞爺湖だよ。いやマジこの名前変えたいんだけど。


 富士見との出会いは学校帰りに不良に襲われていたのを助けた。

 シンプルにそれだけだった。


 助けたっていっても俺は正義のヒーローなんかじゃないし木刀振り回しながらピンチをチャンスになんか変えられないから、普通にお巡りさん呼んだよね。


 それでも富士見は俺に感謝して何回も謝ってきた。

 俺のお陰だって何回も何回も。

 お礼を言われるのは悪くないし嫌じゃなかったけど、問題はその先だ。


「君を富士見家の正式な跡取りに任命しよう」


 なんか富士見の家って内緒ある家系らしく、その跡取りとして俺が選ばれちゃったよ。

 そう、俺が富士見との許嫁になってしまったのだ。

 いいのか、当主の名前が将来富士見洞爺湖ってなるんだぞ? ダサくない?


「ちょっと本屋寄ろうと思ったから忙しいかな」

「な、なら私もついて行っていいかな?」

「別にいいけど」

「そっか! じゃあデートだね!」


 デート、か。こうして俺と富士見とのデートが決まった瞬間だった。

 だけど俺はこの関係に納得していない。

 今はこうして富士見に付き合ってはいるが、俺には元々好きだった奴がいる。

 そいつと結婚する約束もしている。

 だから富士見とは付き合えない。


 だから俺は心に誓ったのだ。

 富士見に嫌われる為に努力をすることを。

 そして無事に俺の好きな相手と結婚することを。






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学年で1番人気の美少女を助けたら婚約者にさせられました。 月詠満月 @skywork

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