きちんと動機も考えるべし
本格ミステリと動機は、相性が悪いという印象があります。
犯人当てに動機からロジカルにアプローチして、大成功という世評を獲得した作品を私は知りません。
不勉強だ、というご指摘は甘んじて受け入れます。
動機から納得のゆくロジックを示した作品を個人的には知っていますが、世間一般が認めたであろう作品を知りません。
繰り返しますが、勉強不足だというお叱りは真摯に受け止めます。
なにが言いたいかというと、動機を手がかりにロジカルな解決を示せる本格ミステリは難しい、という点。
たとえば、「死んだ恋人の復讐だから、こいつが犯人」という推理は情緒的には読者を納得させられても、論理的には説得しえないわけです。
ゆえに動機と犯人当ては結び付きにくい。
とはいえ、いくら犯人当てがメインディッシュでも、推理小説は「小説」というエンターテイメント。
動機が読ませどころであって悪いことはありません。
ロジカルな謎解きばかり考えていると、動機の問題は二の次どころかないがしろにされがち(書き手からすれば“しがち”)ですが、豊かな物語のためには動機は無視してはいけない重要なファクターです。
動機を設定せずに、適当な「金銭、怨恨、色恋」でお茶を濁さず、動機が明らかになった際に読み手の感情を揺さぶるような小さなストーリーがほしいものです。
もっとも、動機なんてどうでもよい、むしろ、不必要というくらいの強度の本格ミステリが書ければ、話は別かもしれませんが。
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