Day12 ふわふわ

 ふわふわ ふわふわ

 硝子管に降り積もる 白い羽根

 それはきっと 天使の落とし物


 『天気管』――。

 それはかつて西欧で使われていた天気予報の道具だったという。

 硝子管に封入された水溶液が気温や気圧に応じて結晶化し、その様子で天気を予測したのだと。


 変化を目の当たりにすることは難しく、気づけば硝子管の中には、羽根のような結晶が降り積もっている。

 それはまるで、天使がこっそり通り過ぎていった証のようで。

 

 ふわふわ ふわふわ

 時にみっしり

 ふわふわ ふわふわ

 時にさっぱり


 忙しない日々に、ほんの僅かな彩りを。

 単調な毎日に、ほんの少しの刺激を。


 そう――天気管にはきっと、浪漫が詰まっている。

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