第20話 拉致(1)

(1)

 ランが今日の授業に出席していない事、そしてアユミが退学した事を、3人は同時に知った。

「迂闊だった……っ!」

イェルドは窓の外を睨み付けた。敵がペリシア帝国ということが分かった時点で、ランを、――ヴェラッシェンド帝国第一皇女を守護しなければならなかったのに。

「アユミ……」

凍馬は大きな溜息をついた。こうなる可能性について、知らなかったわけではなかっただけに、罪悪感を覚えた。

「トーマ、」

その動揺を悟ったイオナが、凍馬に声をかけた。

「こうなった以上、彼は、敵よ」

甘さを見せると必ずそこを漬け込まれる――ペリシア帝国の脅威については、イオナはよく知っている。ランにせめて、アユミは敵であることを告げておくべきだった、という、誰もできなかったことを今更あれこれ悩んでいても、仕方が無いことである。

「……今、問題は其処にはありません」

イェルドもイオナと同じ気持ちのようだ。彼は、ベッドの下からアルミニウム製のアタッシュケースを取り出した。不信極まりないが、彼は一々説明しない。

 ケースの鍵を開ける乾いた音が、寮の部屋によく響く。

「……?」

凍馬とイオナは淡々と仕事をしているイェルドに注目した。彼は次から次へとカッカディーナの闇市から購入してきたとみられる武器・火器を並べていた――成程、彼が兄の眼を盗んでアルバイトを続けていた理由は見えてきたわけだが、何やら得体の知れない鉄製のケースや、何やら得体の知れない棒状・鎖状・棘状のもの等々、アルバイト代だけでは買えそうに無い代物まで出てきた件については、今ここで特筆しておかなければ二度と顧みられることは無いだろう。

 端で彼の様子を見ていた凍馬とイオナは、それらが一体何なのかを問うに問えないまま、イェルドの話の続きを聞いた。

「ランさんは、何も知る必要はありません」

彼女が無事でさえあれば良い――イェルドは兄と目を合わせた。

「兄さん、私は職務を全うしますので」

例え敵が兄の義理の弟だろうとも、ヴェラッシェンドの一軍人である彼には一切関係が無いことである。

「ですが、貴方の助けは必要不可欠です」

イェルドは兄を見据えて言った。国際指名手配中の凍馬には、正直、ヴェラッシェンドやペリシアがどうなろうと知ったことではない。しかし、もう一月を共に暮らしてきた――これまでのように、“関係無い”と言ってしまわれたくは無かった。まして、敵の中に彼の義理の弟がいるのならなおさら。

「残酷ね」

ポツリとイオナが呟いたのだが、それがランに対するアユミの仕打ちを指すのか、実弟か義弟かという選択をさせているイェルドを指すのか、その問いの返事に窮している凍馬を指すのか、このような交わり方をしてしまった運命を指すのかは、分からない。

「そうだな」

凍馬はイェルドから窓の外へと視線を逸らした。

「そう、だよな……」

その凍馬の目が、この部屋のベランダに突き刺さっているボウガンの矢に気付いた。

「!?」

同じく気付いたイェルドがいち早くベランダに出た。一体何時の間に打ち込まれていたのかは分からない。雨の音に紛れて聞こえなかったのだろうか。

「(ボウガン――か)」

アユミの代名詞とも言える武器だった。

 鏃(やじり)には手紙が取り付けられていた。


***

 ヴェラッシェンド帝国第一皇女の身柄を拘束している。

 取り戻したければ、サルラ山脈M・C(マウント・クレノフ)に来い。


(2)

 M・C(マウント・クレノフ)は、サルラ山脈にある魔界への穴を囲む4つの山の一つである。ペリシア帝国軍特殊工作部隊執行部基地のあるM・A(マウント・アッバス)とは麓を共有する隣り合った山である。


 時は夕暮れ。雨も上がり、鈍い赤い色の空を映すM・Cの麓に、イェルド達は辿り着いたところだった。

「何処に居るのかしら?」

戦う術の無いイオナは、せめて敵の気配を探る。

「兄さん、アユミの出方について、分かる事はありませんか?」

イェルドもイオナ同様、敵の気配を探りながら山へと足を踏み入れる。

「アイツが現れるのを待つのは意味が無い」

凍馬は山道の入り口で、M・C(マウント・クレノフ)を見上げた。

アユミは現れない。オレ達が罠にハマらない限り」

ランは、恐らく無事であろう。副脳という懐柔手段をも持っているペリシア帝国のことだ。ヴェラッシェンド帝国の第一皇女ならば、抹殺の価値よりも人質としての利用価値の方が高いと判断する筈だ――凍馬は、意外と深く分析していた。

「一番危険なのは、アタシ達ってことね」

イオナも山道入り口に戻って来た。勿論、そのまま引き返すということではない。

『光よ、我が祷りに答え給え』

イェルドが詠唱を開始した。そう、山道に敵の気配を察したワンド(死霊)達が、3人を取り囲んでいたのだ。

『聖伝書第十節【楽園追放】(バニッシュ・オブ・エリュシオン)!』

聖なる光がワンド達を炙り出した。肉体の無い彼等は、その光に焼き尽くされ、この世界から漸く切り離されることになる。

「おびき寄せられるままに進んだ方が、良さそうですね」

イェルドの見解は正しそうなのだが、いつもより冷静さに欠けている。

「イェルド、」

凍馬が先に進もうとするイェルドを呼び止めた。

「お前は、……これ以上魔法を使うな」

“殺してやるよ、アンタの弟”――そう言い捨てたアユミの残像がまだ、凍馬の脳裏に焼き付いていた。手の内を見られては、イェルドにとって大きなマイナスにしかならないだろう。しかし、今日の弟には、余裕が全く無いようだった。

「今は、私が守られている場合じゃないんです」

イェルドはもどかしかったのだ。主君を守れなかったこと以上に、何か、大きな過ちを犯してしまったような気がして。

「(それはランちゃんへの愛よ! イェルドさんっ!)」

イェルドの心情を勝手に解釈したイオナは、これまた勝手に感動していたという。

「多少のケガなら、覚悟の上……」

イェルドは、もう既に此処に寄って来たワンド達の気配を察していた。ただでさえゴースト系の魔物を嫌うランの苦痛を思うと、兄の言葉に甘えるわけには行かないような気がするのだ。

「私に職務を全うさせてください」

しかし、彼が唱えようとした攻撃呪文の詠唱は、兄により阻まれてしまった。

素人シロは引っ込んでろ、って言ってるんだよ」

思わず、凍馬の口調も尖る。

アユミを舐めるな。ケガなんかじゃ済まされなくなるぞ」

凍馬が一晩で4万の兵を灰燼に帰すと言うならば、アユミは一晩で5万の兵を味方に付けると言って良い。凍馬自身、アユミの実力を人伝にしか聞いたことは無い。しかし、彼の耳に入るくらい、アユミの功績は輝かしいものがある。

 例えば、アユミがペリシア帝国の傭兵に志願して間も無く、彼の居た部隊が南部大陸攻略の為の主要港を陥落させたこともその一つである。更に、この戦功がペリシア帝国軍上層部の目に留まり、極めて異例の速さで特殊工作部隊にスカウトされた彼は、ペリシアに巣食っていた世界最大の盗賊団の内部に潜入し、終いには壊滅に追い込んだことも有名である。

 敵に回すと本当に厄介な男だが、味方だと非常に心強い。お節介を感じるくらい面倒見がいいし、何せ人懐っこい気質だから一緒に居て楽しい――

「……とにかく、だ」

思い出せば切りが無いので、

「シーフの扱い方なら、シーフに任せとけ」

などと自嘲して笑った凍馬は、そこで漸く、現状を打開する為の呪文の詠唱を唱えた。

「兄さん……承知しました」

頭を冷やさねばと、少しだけ口元を緩めたイェルドが、大人しく凍馬の後方に控えたところ、

「(これも愛ある故なのよ! イェルドさんっ!)」

すっかり兄弟らしくなった双子達の様子を見て、イオナは更にまた勝手に感動していた。

「えー、……イオナ、ニタついてねえで、さっさと後ろに下がってくんないか?」

――凍馬の詠唱が終了した。

『千里眼呪文(キャットアイ)!』

それは、イェルドもイオナも聞いた事の無い呪文だった。魔法分子がこちらに集まったような感触は有ったが、敵が退散する様子も、凍馬が攻撃した様子も無い。彼は山道を少しだけ歩くと、一つ感嘆の声を上げて引き返してきた。

「山道にはトラップが張り巡らされているようだ。迂回路を探ったほうが良い」

そう分析した凍馬の右の目元に、先程の詠唱で集められた魔法分子がレンズ状に結合していた。その所為か、凍馬の右の目だけがキラキラと緑色に光って見える。

「トーマ、一体何をしたの?」

イオナが不思議そうに凍馬の目を覗き込む。

「ん? これか? これは、盗賊(シーフ)の職業呪文みたいなもんだ」

凍馬はニッと笑って見せた。この呪文により集められた魔法分子は、術者(ユーザー)に周囲に潜む危険箇所や敵の位置を示してくれるばかりでなく、金や宝物の在り処まで標示してくれるという。正に、シーフの経験値の積み上げで体得できる呪文と言える。

「お前等も時間に余裕ができたら覚えると良い。便利だぞ」

凍馬は二人を邪な道へと地味に誘う。

「謹んでお断り申し上げます」

イェルドもイオナも地味に堅気を守り抜いた。

「この山にはかなりのマジックトラップが仕掛けられているようだ」

ぐるりと山を見渡して、凍馬は大きな溜息を一つついた。罠を潜り抜ける手間に辟易したという事もあるが、それよりはむしろ、直接には手を下したくないというアユミの意図が見えて心苦しかった。

「かなり領域は広いが、ランを探し当てるまではオレが誘導する。ちゃんと付いて来いよ?」

凍馬はバンダナを巻き直した。靴に付いた泥を見て、イオナが溜息をつく間、イェルドは念のため、武器召喚呪文の詠唱を唱えておく。

「(どうか……)」

イェルドは見通しの悪い、雨上がりの夕暮れの森を見つめた。

「(どうか、ご無事で)」

(3)

 M・C(マウント・クレノフ)の7合目の一角に、人知れずシェルターが建立されていた。5日ほど前にできたばかりのそのシェルターの中に、今は2人の闇の民が居る。

 大きなチェックのデザインハットを被った青年――アユミは、そのシェルターの中の一室で、M・Cに来た3人の客をモニタリングしていた。

「凍馬、か」

かつて自分が“名無しの兄”と慕っていたモニターの向こうの男を、アユミは暫く観察していた。

「(千里眼呪文まで体得していたなんて……)」

それはアユミにとって計算外であった。ただ『凍馬』を名乗りたい一心で盗賊(シーフ)という生業に手を染めていたというだけならば、到底体得し得ない超高等級の職業呪文だ。

 “名無しの兄”が、死に別れた『凍馬』と同様、身も心も完全に盗賊(シーフ)に染まり切っていた事は、どうやら間違いないようだ。それだけに、“ツェイユ”という本名に辿り着き、イェルドという実の弟が居て、為に戦うことのできる仲間に巡り合えている現在は、彼にとって、やっと手にすることが出来た「幸せ」と言える時間である筈だ。

 ――壊してしまいたくは無い、本当は。

「(オレはヒドイ奴だよ、お兄ィ……)」

戻る当ても無い記憶が、アユミの心にぽっかりと穴を開けている。満たされない思いが、自分を卑屈にしているのが分かる。あんなに慕っていた“名無しの兄”の幸せを、心の底から祝福できない。敵・味方という、表面上の立場で誤魔化しても無駄。この広い世界に居場所のできた“ツェイユ”を、心の何処かで嫉妬しているのだろう。

「(勝算なら、有る)」

いや、これは是が非にでも勝利せねばならない戦いだ。工作任務遂行中に不意を食らって死に掛けていた自分を救ってくれた、エリオの為にも……

 アユミはモニターから目を離した。目の前のソファーには、亜麻色の髪の少女が眠っている。彼女は睡眠薬で強制的に眠らせておいた。48時間は眠り続ける――そう思っていた。そう思っていたのに、

「……アユミ、」

彼女は突然眠りから覚めたのだ。

「!?」

驚いた顔を向けたアユミに、ランは瞳を閉じたまま時刻を尋ねた。勿論、アユミも本当の時刻など答えたりはしない。

「夕食には時間がかかるから、まだ寝てて良いよ」

慌てた取り繕った口調だったが、今のランが彼を不審に思う事など無い。

「ごめん、何かすごく眠たくってさ……もうちょっと、ベッド借りるね」

最も警戒せねばならぬ相手に、彼女は格別の信頼を寄せていた。

「ああ、おやすみ……」

ランの寝息を再び聞いて、アユミは溜息を一つ吐いた。


 “ヴェラッシェンドの姫は人質としての利用価値が高い――帝国はそう判断したが、”

このミッションの前日、エリオから直接指示されたことがあった。

“なるべく早い段階で姫を抹殺しておきたい”

ペリシア帝国の言いなりになる必要は無い、とエリオはきっぱりと言ってのけたのだ。

“お前にそれが出来るか?”


 出来るさ、とその時は返事をした。

「(睡眠薬、弱かったんだな)」

薬の分量はアユミが自分で決めた。いっそ彼女が気付いて、此処から逃げ出してくれれば――とでも、思っていたのだろうか、自分は。

「いや……」

アユミは懐からボウガンを取り出した。

「(オレ以外の、誰にさせるくらいなら!)」

矢を込める手が震える。標的がヴェラッシェンド帝国第一皇女だからということではない。失うものの大きさに戸惑っているからだろう。引き金に指をかけた瞬間、いつかの少女の微笑みが脳裏を転がっていった。


“アンタには、優しい、イイ奴のままでいて欲しいんだ”


 動揺していた焦点が重なった代わりに、視界がぼんやりとかすんできた。辛うじて瞼が堰きとめた思いを、言の葉に固めて吐き出す。


「……バイバイ」


引き金を、引いた。


(4)

 罠を掻い潜りながらの登山に、思ったより時間を費やしてしまった。現在は日が完全に落ち、森は暗黒に飲み込まれてしまっている。

「ランは、其処にいる」

凍馬が示した先は、小さな崖になって、土が剥き出しになっている山肌だった。

「この正面で間違いないようだ」

土を払い除ければそれらしいプラントが見えるだろう。しかし、3人にはそれが出来ない理由があった。

『怒れる海神の裁きの槍(トライデント)!』

凍馬の放った水属性魔法球は、雨上がりという今の気候状態も幸いして、普段よりも威力を増していたが、シェルターのエントランスに到達する前にアユミの作った結界(バリア)によって掻き消されてしまった。

「魔法分子を掻き消す結界が張り巡らされてるのね」

イオナは頭を抱え込んでしまった。最後に来て、厄介なトラップが仕込まれていたのだ。

「少々、失礼します」

ふと、イェルドが剥き出しの土壁の前に立った。

「イェルド?」

彼がそのまま何らかの呪文の詠唱を始めたので、不審に思った凍馬が彼を呼び止めた。

「いえ、大した事ではないんですが、思いついたことを実行しないのも、もどかしくて……」

どうやら、イェルドは策を講じていたようだ。凍馬は一度、弟に任せてみることにした。

「では」

イェルドが腕を振り上げた。

『召喚・狂信者!』

地中を削るように六芒星が発現した瞬間、光の中から呻き声が聞こえ、這い上がるように狂信者(自らが召喚した悪魔に魂を喰い尽くされて廃人になった悪魔崇拝者の成れの果て)が現れたのだ。

「!?」

凍馬とイオナは一歩ずつ後退し、それぞれ硬直したまま息を呑み、言葉すら失っていた。

 「あ゛あぁぁぁ……」「お゛おおおぉ……」「ゔううううぅぅ……」などと、召喚された狂信者達は呻き声を上げ、イェルドの指差す方向へと這って進む。結界まで、あと5メートル。

4メートル、

3、

2、

1……

「ぎいぃやぁああああ!」

暗黒の森に、狂信者の断末魔が轟いた。

「あ、やっぱり対物攻撃への相殺結界も作動していますね」

イェルドは涼しく髪などを掻いていた。

「……。(“やっぱり”って事は、結果が分かっててやったのね?)」

「……。(オレの弟は“高徳の僧侶”と聞いていたんだが……)」

イオナと凍馬は、それぞれ引いていたという。


 森を揺らす熱い風が木々を抜けて吹き付けてきた――それが殺気だと分かるまでに、そう時間はかからなかった。

「!」

3人は一斉に今居る場所から飛び退いた。同時に、軌道を外れたボウガンの矢が、結界にはじき返された。

アユミ!?」

身体を捩って振り返った凍馬が、いち早く杉の枝にぶら下がっていた狙撃者を見つけた。

「……。」

アユミはボウガンを下ろすと、杉の木の根元にひらりと着地した。

「(彼が……)」

イェルドはアユミを睨み付けた――身の丈は6尺足らずで自分や兄とほぼ変わらない。白とカーキを主としたペリシア帝国軍の制服を知っているイェルドの目には、彼の臙脂の服や装身具はやたら派手に見えた。チェック柄の大きなデザインハットからは、肩よりは少し短いクセっ毛の黒髪と赤いピアスが覗いて見える。

 今、アユミがデザインハットを放り投げた。その瞬間、封印されていた彼の闇魔法属性が顕になり、掴みどころも無く漠然とあった殺気がにわかに鋭さを増した。それは思わず身震いするほど強烈なものだ。

「(このコが、アユミ?)」

イオナは、彼があまりにも幼い表情をしているのに驚いた。大きな下がりがちの目と、左の頬にある泣黒子の所為だろう。それは、とても人を騙して喜ぶような人物には見えない。

「ハジメマシテ」

やっと、アユミは口を開いた。正確には“ハジメマシテ”ではないのだが、アユミは3人――特に凍馬との距離をとるべく、あえてその言葉を使ったのだ。

「ランさんは……姫は何処に居る?」

アユミに対抗するように、イェルドは殺気を返した。彼の光属性の魔法分子はアユミの闇属性魔法分子と摩擦して、火花を散らす。

「分かってるクセに」

千里眼呪文を頼りに此処まで辿り着けた一連の動きをモニターで確認していたアユミは、凍馬の方に冷笑を返し、くるりと3人に背を向けた。

アユミ!」

凍馬の制止を振り切るように、アユミは森の中に消えた。

「(ヒット・アンド・アウェイ……)」

イェルドは眉を顰めた。敵をおびき寄せる為の技術である。しかし、ランを拘束しているシェルターの入り口に、強力な結界が張ってある以上、アユミに誘われるままに付いて行く他、現状打開への道は無い。

「武器を持っているなら、今の内に召喚しておけ」

シェルターに逃げ込もうとしているアユミを追う最中、凍馬が二人に呼びかけた。

「恐らく、あの中で魔法なんか使わせてもらえないだろうからな」

それはそれは不利な戦いを強いられることが予想された。

「行くぞ」

力の無い凍馬の声が、これからの戦いを象徴していた。

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