第6話 異世界の同志

(1)

 また何かに強く身体が持っていかれるような、強い引力を感じた――驚くままに目を閉じた4人の身体が、突然宙に投げ出される。

 刹那、ドボン、と水の鈍い音がしたと思ったら、4人の身体は深く海に沈みこみ、冷たくしょっぱい水が服と皮膚の間に滑り込んできたのだ。

「冷てぇ!」

いち早く浮上した凍馬が空を睨み付ける。既にアリスの影は無く、大きな満月が丁度頭の天辺にかかっていた。

 月は何処から見ても月だ。が、“異世界”の空は、何だか霞がかかったような、白くくすんだ色をしている。

「何? 光の民の世界って、海の中にあるの?」

次いで、ランとイェルドが水面に顔を出した。

「(あ、これ……海か)」

月ばかり見ていた凍馬は、今更ながら自分のいる其処が海であると認識し直した。景色などは真っ暗で何も分かったものでは無いが、遠くの方にぽつんと一つ、赤い光が見える――文明が元居た世界と似たようなものであれば、恐らく、その赤い光は灯台だろう。

「足が付きますね。岸の方向に歩きましょうか」

つい先程、「頭悪いんか?」などと訝しがってみせたものの、イェルドという人物は賢い上に統率力もあるようだ――これまで海に浸かることなどなかった凍馬でも、弟が進む方向に岸があるのだろうと判った。

「んもう! この服ブランド一点モノなのに!」

やっとイオナが顔を出した。凍馬は、彼女とすぐに目が合う――ニンマリされた。

「あ、足攣っちゃったみたい」

やおら、イオナは凍馬の肩にしがみ付いた。要するに、泳げないので岸まで運んで欲しいということらしい。こちらはこちらで賢いようだ。

「ったく……お前って、いつもこうなのか?」

凍馬はイオナのマイペース加減に呆れ返ってしまって、抵抗の機会を逸してしまっていた。

 「……攣った割には痛そうではないような」

イェルドの小さな疑問は、波の前に無力で凍馬に届かない。律儀にイオナを背に担いでいる兄は兄で面倒見が良いのだろう、と彼は口元を緩めた。

「策士なんだか、横着者なんだか」

嘆息を一つ吐いたランは、嘘の一つでもつけた方が可愛く見えるだろうか、とイェルドの横で波を掻き分ける。


 灯台のある方を目指して海を渡る。

 穏やかな波が背を押してくれるので、岸へと近づくのは難しいことではなかった。

「貴方、名前教えてくれてないわ」

凍馬の背に掴まるイオナが、ふと訊いた。

「名前? ――凍馬って呼べば良いじゃねえか」

「本名じゃなくってよ?」

シーフ(盗賊)を生業としている者の殆どは親に遺棄された者だ。名前など無い。しかし、凍馬は知らないわけではなかった。言い泥んだ凍馬を見兼ねたイオナは、しかし、淡々としたもので、

「良いわ。後でイェルドさんに聞くから」

などと言って、拘りは無いようだ。

「お前って、ホント、自由だな」

凍馬は苦笑した。

 イオナというらしいこの女――ペリシア地方に多い名だ。一昔前に活躍したペリシア帝国軍元帥だったイオナ・フレデリック・ユーリヤにあやかって、我が子の名に付ける親が多かった為だと思われる。もっとも、彼女はその有能さが祟り、ペリシア帝国を軍閥恐怖政治から脱却させんと反旗を翻した為、失脚してしまった。結局、彼女は逃亡の末に、一族諸共に処刑されてしまったという。

 「自由を求めてここまできたのよ」

案の定、彼女はそう返してフフと笑っていた。

(2)

 一刻足らずで岸までは辿り着いた4人であったが、岸に上がると水を含んだ服の重みや低温に晒された所為で、ひどく疲れ切ってしまっていた。

「このまま寝たら、二度と目覚めなかったりして」

それは大袈裟か、と失笑したランは、服に砂が付くのもお構いなしに海岸に座り込む。

「火を焚いた方が良さそうですね」

察したイェルドは適当に流木や解けた麻縄を拾って来て、それらを手際良くくべ始めた。後は火を点すだけ。座り込んでいたランが、薪(たきぎ)に手をかざして「任せろ」と言った。もう次の瞬間に炎魔法分子は召喚されており、瞬く間に焚き火が完成してしまった。

「(コイツ等、一体城で何してたんだ?)」

日々之サバイバルの凍馬も感心するほどの手際の良さだった。

「異世界でも、これまでのように魔法は使えるんだな」

ランは器用に指先に炎を灯してみせている。

「(すげえな……!)」

凍馬は素直に驚いた。ランという女――ガサツで粗暴に見えて、炎魔法分子の扱い方は、凍馬がこれまで目にしたどの術者(ユーザー)よりも卓越したものをもっているようだ。

「炎や水、風と大地の四大元素が無ければ、陸も海も存在しませんものね」

ランと、念の為、凍馬にも、ものの道理が判るように、イェルドはそう説明してくれた。

 片や、 

「あーあ。もうこの服ダメかしら……」

イオナは白いカーディガンを焚火の炎にかざして、溜息を一つついた。こちらの方は、如何にも上流階級出身者だ。凍馬は、あえてイオナに尋ねてみた。

「まさか、ヴェラッシェンドの姫ってのは、お前じゃあるまいな?」

口調と言い、奔放な性格と言い、どうも凍馬はそんな気がしていたのだが、それは大きな錯誤に他ならなかった。

「ヤダァ、違うわよ。姫はこっち」

イオナの指差す方向には、亜麻色の長い髪の猛烈女――ラン!

「はああ? あり得ねえだろこれが姫なんて!」

凍馬のその驚嘆の声は海岸中に轟いた。

「姫だ何だと甲斐甲斐しくされたかねえんだよ! 悪ィかド畜生が!」

ランはムッとしてみせ、焚き火の中をかき回した。火の粉が巻き上がり、凍馬に降りかかる。

「だって、お前が次期魔王なんて! 世界が終わっちまう!」

火の粉を振り払う凍馬は笑い転げている。

「絶っ対、戻り次第逮捕してやる!」

しかし、ヴェラッシェンド帝国から遥か空間を隔てたこの異世界で、次期魔王が軍の統帥権を地味に行使したところで事態は何も進展しない。

「光魔法分子が相対的に濃いので、此処が今までいた世界とは違う世界であることは認めざるを得ませんが、」

“光の民”や“双子の勇者”をまだ信じ切れないイェルドは、これまでの出来事を整理する事も覚束なかったのだが、アリスの言う事を全て信頼するならば、“光の民の世界”である此処に、この4人の他に“闇の民”が居る筈だ。そして彼等こそが当面の敵ということになる。

「これからどうすべきでしょうかね?」

4人は、あまりにもこの世界の事を知らなさ過ぎた。


 運命の輪は廻りつつある。

 満月は西へと傾き、潮がどんどん満ちてきて、波の音が大きくなってきた。 

 世界の趨勢は今、大国の姫とその教育係、兄は盗賊、弟は聖戦士長という双子の兄弟に委ねられた。

 「勇者」として光の民の世界に招かれた彼等は、しかし、何も分からぬままに、新しい朝を迎えようとしている。


 そう、何も分からぬままに――


(3)

 疲れと空腹があった所為か、4人は一人として炎の番をすることなく、眠りに就いてしまったようだ。

「オイ、起きろ! 大丈夫か?」

このような声で、ランは目が覚めた。逆光で眼が眩むのを必死で堪えて見上げると、そこにはイェルドでもイオナでも凍馬でもない何者かが、自分の顔を覗き込んでいたのだ。

「え!?」

驚くまま飛び起きるランを制しつつ、

「良かった……生きていたか」

などと、男は苦笑いした。6尺をゆうに越えた軍服姿の雄雄しい外観とは対照的な穏やかな低い声だ。彼は後の3人も起こしにかかった。

「(光の民……、か)」

何時になく、ランは緊張していた。

 光の民とは、見た目は闇の民と変わらないが、信仰する神も、戦術も、文化も、ものの考え方や基本的な性格まで異なる種族だという。現に、ランの眼前の立木に繋がれている騎馬はいわゆる馬ではなく、元居た世界では見た事の無い、羽の無いドラゴンだった。

「こんな場所に寝ているなんて、てっきり溺死体かと思ったぞ」

その男性の堀の深い、切れ長の目じりは微笑むと優しく緩んだ。どうやら彼に敵意を持たれてはいないようだ。何処かの国の憲兵だろうか、彼が着ている臙脂(えんじ)と白の軍服の胸元に、様々な美しい色や形をした立派な勲章数個が輝いている。

「此処は一応私有地だ。所有権妨害罪の嫌疑で、本来ならばお前達を拘留し尋問にかけなければならないところだが、」

そう物騒な前置きをして、しかし表情は穏やかなまま、男は4人の顔をじっと眺め回す。そして、次の瞬間、

「出身は――ヴェラッシェンド……だったか?」

驚くことに、何と男はランの出身を言い当てたのだ。いや、それだけではなかった。

「名は、ラン、隣がイオナ。向こう二人がイェルドとツェイユ、だな?」

男は更に4人それぞれの名前まで、ちゃんと知っていたのだ。しかも、凍馬の本名など、当人とイェルドしか知り得ないものである筈なのに。

「やはり、間違いないようだな」

動揺している4人を見てそう判断した、男は一つ溜息をついた。

「何故、私達の名を?」

切り出さざるを得なかったイェルドの質問に対し、「何と言って良いか、」と、男も困った顔を一つくれた。やがて、彼は言葉を選びながらこう告げたのだ。

「今日此処でこうしてお前達と出会うという夢を見た」

信じてもらえるかどうかは分からないが、と付け加えられたが、それは“アリス”の仕業に違いなかった。成る程、いきなり海に落とされたのもこういう意図があったワケだ。

(4)

 その男の名はビルフォード・ダグネスというそうだ。

 元居た世界では聞いたことが無い、レッドキャッスルという国の帝国元帥だという。ラン達4人が“アリス”に落とされた海の海岸線の一区画は、彼が庭として所有している土地だったらしい。

「アリスに感謝しなきゃならなくなったな」

ランが呟いた事と同意の事を、皆も感じていた。

「オレの夢の中にも、そのアリスという女性が現れた。“海岸に出てみろ”と言われたから出勤がてら来てみたところに、お前達が倒れていたもんだから……」

ビルフォードは羽の無いドラゴン(陸竜というらしい)にランとイオナを乗せ、彼の屋敷に通してくれた。今日は急遽午前の予定をキャンセルするという。元帥が言い訳して、曰く。

「お前達に聞かなければならない事がたくさんある。欠勤とはいえ、これも広義の公務さ」


 道が坂に差し掛かる。丁度その先に家屋敷が見える。まだ木の香りがしてきそうな新築のその家から、幼い子供達が元気よく遊ぶ声が聞こえてきた。

「では、私達が此処に居る理由もご存知で?」

イェルドの問いに、ビルフォードは頷きを返した。

「――力を貸して欲しい。このままでは、世界大戦に陥ってしまうだろう」

にわかにビルフォードの眼つきが険しくなった。

 世界大戦。それはきっと、アリスの言っていた、強大な力を持つ何者かが、闇の民同士の戦争に光の民を戦力として巻き込む為に惹き起こした茶番に違いない。イェルドは罪悪感を覚えていた。

「勿論、その為に此処に来たのです」

そもそも“勇者”などと呼ばれて手を差し伸べるなどという次元の話ではない、とイェルドは思う。今は穏やかに陸竜を牽くビルフォードも、世界大戦ともなれば帝国元帥として多くの人を殺めなければならないのだ。

「(“力を貸す”なんて、おこがましいにも程があるな)」

元はといえば、悠久という時を費やして到達したこの現代においてさえ、戦争という負の産出を放棄しようとしなかった闇の民に責めがあるというのに。

  

 「双子か?」

やおら、ビルフォードがイェルドと凍馬に尋ねた。この兄弟を一瞥しただけでは服装や髪型が全く異なるので、彼は念の為に確認したのだ。そして、わざわざ彼がそれを確認したかったのにも、勿論理由はある。

「そちらの世界ではどうなのか分からないが、こちらの世界では、双子は喜ばれるんだ」

――どうやら光の民の世界にも、“ケツァルコアトル”の伝説が残されているようだ。

「オレ等の生まれた国では、」

ふと、凍馬が口を開いた。

「双子なんて生まれた日にゃ、喰わせられねえよって、捨てられちまうんだ」

闇の民ってくだらねえ奴ばっかりだろ、と凍馬は笑ってそんなことを言っている。

「(もしかして、兄さんも?)」

光の民を戦いに巻き込んだ闇の民そのものに対して罪悪感を抱いていたのは、自分だけではなかったか、とイェルドは安堵した。しかし、

「未だ光の民は、闇の民のことを”魔族”と呼ぶ。戦いは終わった後も、蔑称ばかりは残ったそうだ。“勇者”を支えていたのは闇の民の同志達だと言われているのに、な」

ビルフォードは口元を緩めた。

「闇の民を悪魔の化身と畏れ、歩み寄ろうとしなかった罰が当たったのかもしれないと、そんなことを考えていた矢先、アリスの夢を見た――」

 

 森の向こうがひらけ、大きな赤い屋根の家屋が見えてきた。

「色んな奴がいるってコトだ。光の民にも、勿論、闇の民にも」

お帰りなさい、と小さな子供たちを抱いてこちらに手を振る女性の姿が見えた。

(5)

 ビルフォードの家に招かれた4人は、食事をしながら話を進めていく事にした。

「5年前の事だ」

ビルフォードは積み上がる皿の向こう側から話を切り出した。

「レッドキャッスル西部にある、サルラ山脈一帯が、高濃度の闇魔法分子の爆発により、破壊されてしまった」

「それが恐らく、闇の民の世界へと繋がる空間の歪(ひずみ)でしょうね」

イェルドは傍らに積み上がり続ける皿を気にしつつ、話を進める。

「だとすると、敵は5年前からこの世界に居座り続けているということかしら」

イオナの言葉に、ビルフォードは頷く。

「異変はその辺りから始まった」

民により信任されていた当時のレッドキャッスル帝国議会を突如解散させた皇帝は、その名において、サンタバーレ王国に敵国宣言を出したのだという。

「サンタバーレ……って確か、こっちの世界の首都みたいな所だよね?」

幼少の頃に、ランは祖父・ヴァルザードから聞いたことがある。

 整然とされた美しい町は、商業、観光、常備軍、王室といった機能別に区分けがなされ、それが見事に調和している所だと聞いている。ヴェラッシェンド帝国の建国当初のインフラ整備も、サンタバーレ王国に倣って行われたらしい。

「サンタバーレには、闇の民と戦っていた時代に作られたという魔法核弾があると言われている。うちの皇帝陛下は、爆発の要因はその魔法核弾をサルラに使用廃棄した為だと言っているが……」

ビルフォードはそこまで言うと、イオナと共に、凍馬の前の皿を数え始めた。

「トーマ、喰い過ぎ!」

ランが強引に凍馬の前の皿(15枚うち、お代わり2つ)を片付けに入る。

「いやぁ、ココの飯、サイコー!」

凍馬がソファーに仰け反る。丁度、キッチンからビルフォードの妻・ハルナが顔を出した。

「アンタみたいに喰いっぷりが良いと、作るこっちも甲斐があるってモンさ」

何と、ハルナはレッドキャッスル帝国軍元帥副官。夫にして元帥・ビルフォードの補佐を勤めているという。黒髪のショートカットの凛々しい歩兵も、此処では3児の母親――平和への思いは誰よりも強い。一通りの片付けを終えると、彼女も8ヶ月の長女を伴ってリビングに入ってきた。

「サンタバーレに何度となく訪れたものの、魔法核弾などという古代紀の遺物など何処にも見当たらなかった。もしあったとしても、ワザワザ遺棄の為にサルラにぶち込んだとは考えられない」

ビルフォードは確信を持っているようだ。

「レッドキャッスルの政治の中枢に、世界大戦を画策する者がいる――オレ達はそう見ている」

丁度、庭で遊んでいたビルフォードの子供達が戻ってきたが、その子供達を連れて、凍馬は一緒に庭へと出た。彼が凡そこの世界の秩序維持に興味が無いのか、世界大戦の危機をせめて子供達には悟らせたくなかったのかどうかは、分からない。

 ――正午はとうに過ぎていた。

「敵が、空間を跨ぐ穴を穿つ程の超上級術者(ハイユーザー)である以上、正面突破は無謀でしょう」

やや抽象的だが、イェルドが結論を出した。

「綻びから侵入し、組織の上層を叩くしかありませんね」

長期戦を余儀なくされることは間違い無さそうだ。イオナもそれに同意した。

「先ずは、そのサルラ山脈って所を視察しなきゃいけなさそうね」

穴の大きさが分かれば、敵の力量を知ることができる。運が良ければ、首謀者とハチ会う可能性だってある。「危険だ」と、ハルナは断言した。

「サルラ山脈へ赴いた調査員が戻ってこないの。とうとう立入禁止指定区域に設定せざるを得なくなったわ」

同時に、立入禁止区域に指定するように圧力をかけてきた面子(メンツ)が恐らく“クロ”であろうと仮定することができ、その仮説は成り立ちそうだった。

「それにしても、私達はサルラに行くべきでしょうね」

強引といえば強引であるが、そのくらいしなければ、到底、打開はできないだろう。事態は最早楽観視できない段階に来ていたので、イェルドも焦らざるを得ないのだ。

「恥ずかしながら、斯様な闇の民の動きを全く了知できていなかった――多少の無茶をしなければ、光の民に申し訳ありません」

「勿論、こちらもお前達を完全に保護し、必要な協力は惜しまない」

無茶はするなと言いたいところだが、とビルフォードが結んだ。

 凍馬と子供達が戻ってきた。すっかりビルフォードの子供達(長男7歳・次男5歳)に懐かれてしまった凍馬が、そのまま子供達の部屋へと連れて行かれるのを何とか引き止め、ビルフォードが一連の話をまとめた。


「共に戦い、勝利しよう」

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