第5話
元の持ち主に、おそるおそる聞いたり、
怒られたり、あきれられたりされながらも
どうにかこうにか、上から下まで服を着る
ことができた。
吾郎にしてみれば、物心着いてから初の
女性ものの着衣である。これまで触った事
もないものを着るのは、実に難儀だった。
しかし、服を着ると人心地つく。
しかも、下着からして、極上のものばかり
で、着心地が良いものばかりだ。なぜかは
分からぬが、元気が、みなぎり始めた気が
する。
やはり、服ってのは人間にとって生きて
いく上で重要な要素なんだなと、つくづく
思い知る吾郎であった(汗)
スボンか、スラックスがあれば、良かった
のだが、この世界にはレディースでズボン
やスラックスが存在しないのか分からぬが
今はない。
精神と魂と心は、男なので、いくばくの
寂しさがある。しかし、ないものは…ない
のである。
〔おい!?ゴーローゥとやら。
そういえば、全身、砂まみれだった!!
ろう💦 無属性魔法に【クリーン】が、
ある。それで、全身を清潔にせよ。
風土病が、怖い〕
そこで、はたと吾郎は思い出した💧
自分が目覚め、カプセルから出たあとに、
あわてすぎて、当分の間、生まれたままの
姿で、右往左往していたことに💧
〔風土病??
この地方独特の、タチの悪い病気でも、
あるのか?致死率が高い?
あと、ゴーローゥ?ではない。
ゴローだ〕
吾郎の、意識にある空想スクリーンへ、
背筋にカミソリを這わされるような感覚を
覚えるほどの美貌が認知された。
今の吾郎の生身の
吾郎の認識では違うと感じる。名も知らぬ
この彼女は、今の自分とは違うと知る。
〔ん?ゴローwでも、良いのか?
吾郎ではなく。その方が、我々にはww
言いやすいぞ?ゴロー。
いや、あんたの世界の認識と、こっちの
世界の認識は違う。同じ言葉でも、この
世界の認識は、この地域の風と土や塵芥
に、結構ヤバい
引き起こすと謂われている〕
吾郎は、納得した。
だが、名前の件では、若干の違和感💧を
おぼえた。
〔なるほど。こっちの世界と、おれがいた
世界とで、言葉は同じと翻訳されても、
意味が違うというわけだな?〕
〔そうだ。
ゆえに、【クリーン】を使え〕
いや、使えといわれても💦
吾郎が、うろたえ逡巡していると、魔女
は、
〔使い方も解らんのか?!
…………。
なるほど。お前の元いた世界では、魔法
は、一般的ではない世界だったと?〕
〔ん?魔法なんてのは、普通の人間には、
使えん世界だったよ〕
吾郎が、ハイヒールの膝上ロングな革の
ブーツの履き心地の違和感を、改善しよう
と、地面を踏みしめたり、踵をトントン♪
したりしながら、頭の中で答える。
〔だああああ!!
呼びにくい(#^ω^)マジで。
名前を教えてくれ?あとな、おれは吾郎
だ。ちゃんと、なまえを呼んでくれ〕
吾郎が、地味に暑いだろうに上品な灰色
のロングポンチョを羽織る。スカートが、
けっこう丈が短くて、落ち着かない。
〔そ!?そんなことを言ってもな!
ホントに無いんだ。
あと……ゴooロー??〕
音的には合ってるが、イントネーション
が少しおかしい。
〔ごの後は、伸ばさない。
ごろう、だ。あと、どうにも言いにくい
なら、ゴローでも良いぞ?〕
魔女は、何度か、ゴローと口づさむと、
やがて、何とか聞けるイントネーションに
なった。しかし、そこはかとなくにやけて
いる気がするのはなぜだろう??
〔そう、だいぶ近くなった。
ホントに、名前ないの?隠してるとかで
なくて。付けようか?〕
魔女が、はっ!?(ll゚艸゚ll)!?とした顏
をしている。吾郎には、かなりツボな顏で
あったw少しづつ、感情が見て取れるよう
になった。慣れてきたのだろうか?
〔コードネームとか識別ナンバーはあった
よね?教えて〕
こう、魔女に伝えた途端、魔女が表情を
元に戻した。えもいわれぬ恐ろしさが吾郎
の精神を蝕む。
〔EL-18347〕
まるっきり、識別ナンバーだった。
〔ほ💧ほかには?〕
〔あたしの顏で、そんな間抜けづらをする
な、気に触る。あとは……やはり、思い
浮かぶものはないな〕
〔…………。あ💡そういえば、あの中に、
身分証だか、パスポートっぽいものが?
あったよね?見てから、おれが決めても
いい??〕
魔女は、一瞬、不快を微表情で刻んだが
すぐに、どうということもない顔つきをし
〔好きにせよ〕
と、言った。
吾郎は、魔女の言うように【クリーン】
の魔法を使ってみた。想像よりもたやすく
使うことが出来た。即座に全身の不快感や
痒みなどが無くなった。
自分に使える魔法と思考すると、使用が
可能な魔法が浮かんでくる。浮かぶままに
浮かばせていたが、五つ六つくらいから?
だんだんとえげつない魔法が混ざり始めた
から、少しΣ(・ω・ノ)ノ!引いてきたが💧十三
を過ぎた辺りで【クリーン】が出てきた。
使う
と、思った途端、発動した。
無詠唱な上に、発動準備時間は、ほぼ、
無かった。使用魔力は三だった。
【クリーン】の上は、名前からして上位
の魔法のようだ。やたらと長いものが多い
のだ。
さて、服も上から下までちゃんと着て、
人心地着いたので、これからの事を考える
余裕のようなものが、出てきた。
〔さーて、これから……どうするべ💧〕
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