第4話
吾郎は、美女の身形のままに、辺りを見
回すが、何も無い。
突然、カプセルは消失してしまった。
服も、靴も、たちまちの物は全てあったのに。
足の裏が痛い。膝小僧も当然、擦りむき
血がにじんでいる。困った。
あれはなんだったのだ💧
呆然と立ち尽くすしか手がない現状の中、
吾郎は薄ら寒さに、身を震わせた。
やはり、昼間の荒野ではあるが、乾いた風
に晩秋か初冬を感じる。
真っパは、身にこたえる。
「どうすれば、いい……」
つい、呟いた声音が、それまでの自分と
違い、麗しく官能的な女性の声音であるこで、さらに追い打ちがかかる。
「あー、あー、〇国者達、らりるれろ…」
突然、意味不明なことを口走る吾郎。
「ナノマシンの情報統制はなし、と」
違う神に、睨まれかねないからそういう
ネタはやめろ。マジで💦
やはり耳に心地よい少しアルトの甘やか
な声音は変わらない。まさか、初っ端から
こんなに投げっぱなしな状況に堕とされる
とは。
吾郎は、神を少し恨む。
〔あー、あー、ゴーローゥ??とやら?〕
ン?
今の自分の声音と同じだが、いささか、
感情を抑え、冷徹にしたような声音が頭に
響く。たしかに、そう聞こえた。
〔やっと、パスが開いた。
あたしが、好きに管理出来るリソースが
少なすぎる!気に入らん。
お前、ナニモノ?
何故、あたしの身体を奪ってるの?
どうやったの?
あと、あのジジイとの関係は?〕
なんだ!?何が起こってる??
吾郎は、うろたえた。現状が、意味不明
なのに輪をかけて、意味不明が語りかけて
きた。
〔おm……、
いや、君こそなんだ!?
ジジイって、神のことか?〕
吾郎が、内に問い掛ける。
〔クソっ!!!?
(๑・᷄ὢ・᷅ ๑)あんのジジイぃぃ!!
何、企んでるの!?ちょーっと強いから
って!!いい気になりやがって💢〕
まて、待って欲しい。
吾郎が、相対したのは、たしかに神だ。
たしかに老人の容をしていた。
いささか、ガチムチではあったが。
この頭に響く、声の主の言う老人が、神を
指し示しているのか?そこが問題だ。
相対した吾郎でさえ、あの神が、ちょっと
強いだとかいうレベルの強大さではないの
を理解していた。
〔おれが、逢ったのはヅェウジィイという
神だ。おれは、異世界からの転生者で、
この世界を掻き回せと言付かった〕
頭に響く声音が、吐き捨てるように汚く
異国の言葉で一言、言う。
意味は分からなかったが、ニュアンス的に
下品かつ、ろくでもない言葉であろうことは、察しがついた。
〔転生者だと!?て、ことはあんの!クソ
ジジイ、本来はあたしをきれいさっぱり
消去して、あんたに、身体を差し出した
ってことよね!?〕
そこの所は、吾郎にもよく分からない。
〔いや、そこの所は、おれにもさっぱりと
と分からん。そもそも、おれとしては、
男に生まれ変わる、もしくは前世の姿の
ままが良かったんだが💧言わないのが、
悪かったのか……こんなことに〕
二の句を失う吾郎。
〔君は、この体の持ち主か?
そうだな?
俺も、今、目を覚ましたばかりで、状況
が、よく分かってないんだ〕
そう、吾郎が問いかけてみた。
〔そうだ。
普段は、睡眠凍結されていたがな。
私は、国に飼われていた【魔女】だ。
胎児の段階で、遺伝子改変され、常人の
二十倍の身体機能を持ち、魔導心肺器官
【太陽神経叢】を通常の高レベル魔導師
の凡そ五倍に改造された、強化人間兵器
として、管理育成されてきた【魔女】〕
゚+。:.゚おぉ(*゚O゚ *)ぉぉ゚.:。+゚
と、驚く吾郎。
『この世界でも、強化人間兵器計画が!?
あったとは。地球でも、噂でソビエトや
アメリカ、はては(あぅ!?)スや大日本
帝国軍部でも、あったもんなあ💧』
と、吾郎は思う。
〔なあ?
えーっと💧まずは名前……名前を、君の
名前を教えてくれ〕
吾郎は、何とか魔女とコミニケーション
を取ろうと、勇気を振り絞り、まずは名前
を聞き出すことにした。
〔名前?そんなもの、あるわけないだろう
が。コードネームとか、識別番号とかは
あったがな〕
まさかの名無しであった。
〔ない!?ないの!!!?名前!!〕
思考で、コミニケーションを取っているが
身体ポーズは、各々の思考毎に変わる。
まっパで。
〔おい、吾郎とやら(ꐦ꒪⌓꒪)
いい加減、思考毎にその恥も外聞もない
男臭い身体表現をやめろ、殺すぞ〕
魔女の殺気に、身震いする。
そうはいっても、無意識な仕草のために
なかなか難しかったりする(汗)吾郎は、
かなり、悩んだ。
〔まずは、服を着ろ。痴れ者め!〕
💡✨
〔なあ?さっきのカプセルみたいなのの中
に、服とか色々と入ってたが、消えたん
だわ(汗)どうにかならんか?〕
吾郎は、とにかく訊いてみた。
これまで、訊く相手もいなかったし。
吾郎の思考の内で、溜息が漏れる。
明らかに、自分の溜息とは違う。
〔出ろ〕
出た💧
アッサリと、出た💧
吾郎が、自分の暗愚さに呆れ果て、途方
にくれてしまう。たしかに、元の持ち主の
言う通り、いつまでも裸族でいるのは常識
に欠ける。
吾郎は、もしかして、こういう場合は、
念じるだけで!?事足りるのでは??と、
思い至り、
〔服を〕
と、真剣に念じてみた。
カプセルのあちこちの大小の引き出しが
出た💧まずは、下着だろうとランジェリー
の引き出しを漁る。
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