111. 通達 #2
「
「ちょっと待ってください先生、続き読みます」
…概要だけ掻い摘んで纏めると、こういうことだ。
元々は俺が新入生対抗戦で優勝したことで騎士団に目をつけられたわけだが、誘拐事件においてリーサも戦力として認められ、さらに赤魔法使いの魔族であることが知られた。
そこで二人ともまとめて呼ぼうとしたところで、魔科研の噂が飛び込んでくる。
調べてみれば、どうやら新入生対抗戦で準優勝した実力者や俺の使った武器を作った者、かの有名な魔道具技師の孫や百名家に伝手のある者といった
となれば、この集団はまるごと戦力として欲しいが、もちろんイルク先輩やマーリィ先輩のような非戦闘員もいる。
それに加え、俺が夏休みを満喫したいと言っているという話も聞く。
ならば…と騎士団が編み出した答えは、『魔科研をオーチェルンに招いて、合宿をさせる』だったらしい。
「ふーん…不思議なこともあるもんだな」
「まぁ、発表機会を奪われるという理不尽な目に遭っているからな。騎士団に目をつけてもらうくらいの補償はアリだろ」
「補償ですか」
「お前の懸念事項だった休みについてもちゃんと考慮されてるぞ」
「それは何よりなんですけど…まあいいや」
手紙にはもう少し続きがあった。
「『実戦訓練もあるが、今は収まっているとはいえ最近の魔物関連の情勢もある。そちらが望むのであれば冒険者を数名連れてきても良い。その者らにも給与を出す』…だってさ」
「これは…ガルゼたちに来てくれるように頼むべきかな?」
リーサの意見に、俺は賛成の意を示した。
「というわけで、来てくれると助かるんだけど」
「俺たちが行ってもいいのか、それ」
「むしろ来てくれると助かる。俺たちだけだと魔物が出たときに倒しきれるか微妙だから」
「ヒロキとリーサがいりゃ大抵のヤツは倒せると思うがな…ま、金が出るってんなら行かない理由もないな」
遠慮がちではあったが、ガルゼたち四人は快く承諾してくれた。
「にしてもすごいな。ついに騎士団から声がかかったか」
「赤魔族だから、声がかかるのは時間の問題だと思ってたけど…まさかここまで早いとはボクも思ってなかったよ」
「そこはまあ、色々あったんだ」
ガチの方の誘拐事件とかが。
「わかった。予定を合わせておくから日程を教えてくれ。顔合わせとかやるだろ?」
「もちろん、助かる」
こうして、ガルゼ一行の同行が決定した。
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