101. 初仕事

「いやぁ、今日も狩った狩った」


 ガルゼが討伐証明部位を詰め込んだ袋を背負って、上機嫌に歩く。

 俺たちはその後ろから横並びになって歩いていた。


「ふい〜…腰が痛い…」

「あたしもー…」


 サンとアリスがそろって腰をさする。

 長時間しゃがみこんでの作業は辛い。


「頑張れ、もうすぐ入口だから」


 そう遠出したわけでもなかったので、俺たちは割とすぐにエルディラットの入口にたどり着いた。


「こっからギルドまでも割と遠いんだよー…」


 不平を漏らしつつも、二人はついてくる。

 足を止めて泣き言を言ったりしないだけ、冒険者としては合格だろう。…まぁ、俺も体力がある方ではないので、偉そうなことを言えた立場じゃないが。

 そんな考えを脳裏によぎらせつつ歩いていると、唐突に声をかけられた。


「ヒロキ、リーサ、それにアリスもか!偶然だな!」

「エルジュ!魔科研エルヴォクロットの帰りか?」

「そうそう。そっちは冒険者業か?」

「正解。新人二人を育成してきた」


 冗談交じりに言って、アリスとサンを指す。


「ヒロキだって新人でしょ」

「ごもっとも」


 リーサに言われ、肩をすくめる。

 小さく笑みを零してから、リーサはエルジュに顔を向けた。


「それじゃ、わたしたちはこれで」

「あ、ちょっと待ってくれ!俺たちヒロキに魔法のことで聞きたいことがあったんだよ」

「俺たち…シルヴィもいるのか」


 人混みをかき分けて、シルヴィが現れた。


「もう、人を置いて自分だけさっさと行くのはやめてくださいませ!着いていくのに苦労しましたわよ…!」

「すまん、ヒロキたちを見かけたもんだからさ…」

「それで、聞きたいことってなんだ?」

「魔法陣を作ったんだけど発動しなくてさ。助言をもらえるとありがたいんだけど…」

「別にいいけど、俺たち今ギルドに向かってて…」


 振り向いてみると、アリスとサンは道の脇でしゃがみこんでいた。


「…大丈夫か?」

「大丈夫ではあるけど、さすがにねー…」

「僕のこの身体は、想像以上に体力がなかったみたいだ…」

「ちょっと無理させすぎたか…悪い、加減がわからなかったみたいだ。ここで少し休むか?ギルドまではもう少しあるしな」

「うん、お願い」

「こっちは先にギルドに向かっても大丈夫か?」


 ガルゼの問いに頷きを返し、エルジュたちに向き直る。


「そういうことなんで、ちょっと時間ができた。その魔法陣はどこにあるんだ?」

「魔科研の研究室。こっからなら遠くないしな」

「了解。長引きそうだったら別の日に回すけどいいよな?」

「大丈夫ですわ」

「リーサはどうする?」

「一緒に行こうかな、興味あるし」


 そういうわけで、時間は遅いが俺たちは魔科研へと向かうことにした。

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