Chapter 1 - What you can do for Alice. -
コロニー・アモンへようこそ!
九日か一〇日。
あああぁぁぁ―――っ!!
もう何日かかったとかどうでも良いっ!!!!
私は今、アモンという名の小さな集落にいる。
赤茶け荒涼とした大地を何日も何日も何日も何日も歩き、やっとの思いで辿り着いたのが、ここアモン。
ここまで連れて来てくれたアステリアとウサピョンには感謝しかない。
宿屋の前で別れ際、お礼にと金銭を渡そうとしたが受け取っては貰えず、その代わりにミックスベジタブルチップスのキョーニンジン一〇本とカマクラニンジンの
命の恩人に渡すお礼の品がチップス二〇本。命の重さがチップス二〇本分。
私はかなり複雑な気分を抱え、笑顔で手を振るアステリアと、無言でチップスを口へと運ぶウサピョンを見送ったことをずっと忘れない。
忘れない。
その、つもりだった。
のだが……。
・・・
・・
・
「ケーリューさん。ケーリューさん。今日は、これにしませんか?」
アステリアから一枚の紙を受け取る。
「どれどれ。三丁目のエイオト爺さんの家の屋根の補強。日当四五〇〇ドラドラ。期間三日以内、四日目以降賃金なし。……なぁアルステリア。ユートピアシティーの情報。情報が欲しいなら
「間違ってませんよ。
「そうなのかぁ~。受付のお嬢さんは、聞いたこと無いって。」
「あぁー、あの受付嬢ですか。彼女、バリバリのアモンガールだって話ですから、きっとアモン以外のことに詳しくないだけです。こんなところで油を売っていても仕方ありません。今日も一日元気に働きましょう。オー。……はい、ケーリューさんも一緒に、オー」
「ォ、ォー……」
・
・
・
ここアモンは、ルバルベ地方にある小さな集落だ。
一番近いコロニーに向かっていると言われ辿り着いたアモン。
私の知っているコロニーとは意味がかなり異なっていた。
この際、もう意味とかどうでも良いっ!!!!
アリスの為、馬車馬の如く働き続けて来た私がこの程度のことで値を上げるなどありえない話だ。
と言う事でまずは金を稼ぐとしよう。
「ケーリューさん。何やってるんですか? 早く行かないと逃げちゃいますよ。」
アステリアは、笑顔で手を振り私を呼んでいる。
私は思う。彼女は大物だと。
周りの目など一切気にせず、平気でアホなことを口にする。
家の屋根が逃げるとか面白い発想だとは思うがこの状況は小恥ずかしいだけだ。
そして、手を振られ続けるのは大いに恥ずかしい。
そう。恥ずかしいのは私だけなのだ。
早くこの場から逃げ去りたい私はいつものように、
「今行きます」
アリスの為、金を稼ぐのだ。
今日も己を鼓舞しアステリアの後を追う。
私の名前は、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます