第8話 守里の地にて
久しぶりにスッキリ起きられた朝に着替えて朝食を食べにリビングに行ったら珍しくお兄ちゃんが居なかった。
自分でトーストを食べつつ今日は神屠の本拠地に行く予定なので少し緊張してるとインターホンが鳴った。
「はーい。」
「竹村さんおはよう。早速で悪いけど行く準備は出来てるかしら?」
今日は凛も私服だったがやっぱり綺麗なひとだなーっとぼけっとしてると蛍さんが
「お前棒みたいに突っ立ってるな。早く行くぞ。」とツッコミをいれてきた。そこで私は
ハッと我に返って「ふぁい!」と盛大に噛んだ。恥ずかしい…。
そこから蛍さんの運転する車は郊外に向かい始めた。車の中では
「これから向かうのは神屠の本拠地【守里の地】よ」
「守里…。」
「神屠に関わっている人達が結界の中で暮らしたりしているの。普通の人では感知出来ないわね。」
「ほぇー。」
「お嬢はその中でも特別。なんたって初代神屠の織田信長の妻、濃姫の生まれ変わりだからな。」
「!?ちょっと待って?!そんな凄い人が初代!?しかも凛が濃姫の生まれ変わりとかすごすぎじゃない?!」
「だから守里でもお嬢の発言力はかなりある。」
「私の驚きスルーかい!」
そうして蛍さんと話していると凛がクスクス笑い始めて
「お笑いコンビみたいね」
と妙にツボにはいったらしかった。
凛はひとしきり笑ったあと
「守里には三大主名という神屠の血筋があるの。守山、守原、守川の三つ。でもその三つの血筋じゃなくても守里にいれば守り刀を発現する人もいるわ。」
「でも逆に守里の中の人でないと発現する人は稀なの。つまり竹村さんは何かしら神に関わる因縁を持ってる可能性が高いわね。」
「凛。私も竹村じゃなくて千早って良ければ呼んで。なんかむずがゆい…。」
私がそう言うと凛は微笑んで
「ありがとう千早」
と2人で照れながらいると蛍さんに呆れられていた。
そして蛍さんが「入るぞ」というと現代からタイムスリップしたかのような見事な自然がそこにはあった。
「わー!!すごい!!」
「これから三大主名の長3人に会うことになってるわ。千早が守り刀を発現したことは伝えてあるからこれから千早をどうするか話し合うことになっているの。」
「どうって神屠として活動する気まんまんだけど…。」
「お前バカか?ほとんどなんにも知らないようなやつに、はいこれから神屠として1人で頑張って何処にいるかわからん神と戦って下さいなんてある訳ないだろ。のーたりん。」
「あ、あはは…。」
「蛍は言い方はキツいけどもそういう事なの。1人ではできないこともあるから神屠は私と蛍みたいに誰かと2人1組でバディを組むの。千早も誰かしらバディ役として誰かがつくと思うわ。流石にお目付け役と補佐役も兼ねてね。」
「なるほど。」
「相性とかもあるから今日中に決まるかはわからないけどもね。」
そして私達は車を降りて三大主名の長がいる古い建造物の中に入って行った。
そこには小学生位の子供と熟女それに若い男性がにこやかに待っていた。
「お嬢。その子が一般の子なのに発現した子なのかい?」
小学生位の子供からそういう風に言われてびっくりしてると蛍がボソッと「あれで40後半の歳だ。神屠なめんなよ」と言われた。
「はい。守り刀が発現して神を倒した所を目撃しております。」
「何の因果があってしたのかしらね。」
「それは分かりませんが普通の因果ではないでしょうね。」
「あーあれだなんつーかこう。」
「適当な事を言うのはよくないよ勇介。」
そういうと40後半の小学生が
「そうだな。まず自己紹介からしようか。」
と場を仕切り直した。
「僕の名前は守川稀。さっき蛍がボソッと言ってたみたいだけど歳は40後半だよ。よろしくね。」
「私の名前は守原静弦と申します。ふふっ♡ 稀よりかは歳はいっておりませんよ。よろしくお願いいたしますね。」
「俺は最近代替わりしたばかりだからよくわかんない事も多いけど名前は守山勇介!よろしくなー!」
「それでこれからの事だけど…。」と稀が言う。
「夜継と仁が竹村千早さんのバディ役に立候補してるんだ。」
「2人立候補してるんだなぁ。仁はともかく夜継は珍しいなー。」
「そうねぇ。でも夜継は守里の血筋だし仁のほうがいいんじゃないかしら?」
「静弦さんわかってないなー!夜継が女に興味示すのなんて珍しいんだから嫁候補として組ませとけばいいじゃんか!」
「嫁っ!!?」
私はいきなり話が飛んだからびっくりして座っていたところから立ち上がってしまった。
「ごほん!千早さんごめんねデリカシーが無くて…。」
「あ、いえ…ははは。」
「でもね夜継が興味を示す女性って今までほとんどいなかったから出来れば僕としても夜継と組ませたいんだよね。 」
「はぁ…。」
「だから千早さんが会ってみて決めてくれないかな?」
そこで凛は
「夜継と仁、両方とも会わせて決めればいいと思うわ。」
と毅然と3人に言ってくれた。
「もともと今日中に決まるかわからない話だったし千早の気持ちが1番大切よ。」
ということで夜継さんと仁さんに会うことになりました。それにしてもさすがお嬢…。
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