第3話 平和が崩れる音
今日の夢はいつもと違ってはっきりとしていて私は誰かと相対していた。
感じるのはなんでこんなことになったかというのかという嘆き。そして目の前にいるモノへの憎悪であった。
ニクイニクイニクイニクイニクイニクイ
「…にく…い」
起き抜けにぼーっとしてるとお兄ちゃんが私の部屋をノックをする音で私の意識は覚醒した。
「千早起きたかい?昨日はぎりぎりって言っていたから流石に起こしにきたよ。朝ご飯はちゃんと食べないとね。」
「…おはようお兄ちゃん…。なんか嫌な夢見たよ。」
「嫌な夢?」
「私がすっごい相手を憎んでる夢見た。しかもその夢がすごい生々しくて…。ごめん…今日朝ご飯食べられないかも。」
私がそう言うとお兄ちゃんは心配そうに
「千早が無理しないのが1番だから食欲がなければ無理に食べる必要はないよ。ただ小腹がすくかもしれないからチョコでも持っていくといい。」
とそっと私にチョコを渡してくれた。
そしてお兄ちゃんが私の部屋から出ていったあと私は制服に着替えて家をあとにした。
今日も相変わらずみんな和気あいあいと学校へと登校しているのを見ながら私は自転車で学校へ向かっていく。
そういえば優希にはあれから紫崎さんを追ってどうなったかが聞きたくて昨日の夜に電話したが連絡がとれず今日学校であったら話してもらおうと思っていた。
きっと紫崎さんに撒かれてそのあとムキになって探してて私の電話に気付かなかったんだろうなーとかそんな予想をしていた。
そして話をいざ聞こうを教室に入ったらいつも私より学校に来るのが早いはずの優希がいなかった。
「あれ?」
おかしい。優希はジャーナリスト志望だ。そのため朝の情報収集は欠かさない。
もしかして体調不良なのかな?そう思い優希にメールを入れてみる。
しかし返事は返ってこなかった。
クラスのみんなは紫崎さんとお近づきになりたくて代わる代わる話しかけている。
しかし紫崎さんは他のクラスメイトには興味なさげに静かに本を読んでいた。
ふと紫崎さんが言った昨日の言葉が頭をよぎる。
そんなはずない…そんなはずない…。
そこでチャイムが鳴って担任の先生が教室に入ってくる。
いつもだったらみんなを茶化しながらホームルームに入る担任の先生が沈痛な面持ちで話し始めた。
そこで話された内容は私が聞きたくない内容だった。
「えー誠に残念な話ですが山本優希さんがお亡くなりになりました。」
クラス中がざわつきながらどよめく。
目の前が真っ暗になった。昨日まであんなに元気で一緒に遊んだりしていたのになんで?
そう思ってると紫崎さんがこっちにやってきて「ちょっと話があるのだけれどいいかしら?」
と混乱している私に声をかけてきた。
私は昨日の優希が紫崎さんを追いかけてみるという言葉を最後に今こんな事になっているのだからなにか知っているのかもしれない。そう思ったら居てもたってもいられないくなった。
私は「なにかあるんですね。」と答えると
紫崎さんは無言で頷き、私達はざわつく教室からこっそり出て昨日紫崎さんと初めて会った桜の木の下で話すことになった。
「そうね…なにから話したらいいかしら。」
紫崎さんは思案していた。
なので私から質問をする
「昨日の紫崎が私に関わると不幸になるって言ってから優希は何かある!!って興奮して紫崎さんを追いかけると言ってました。追いかけた結果がこれってことですか?」
紫崎さんは
「そうね。山本さんの死だけなら結果的にはそういうことになるわ。」
「?」
「あなた自分がしたことを覚えてないのね。」
「え?」
「あなた昨日何してたのかしら。」
「えっと…家に帰って家事をして⋯。そこから優希に電話して繋がらなかったから宿題してて…。」
「電話の履歴見てみなさい。」
そう促され私は携帯の履歴を見た。そうしたら私の記憶にない優希からの履歴が昨日自分が電話した後にかかってきていた。
「…これどういうこと?」
「多分記憶が抜け落ちてるのね。」
「…蛍!結界を張って!」
その瞬間さっきまでいた場所とは感覚的に違う場所になったのを感じた。
「荒療治になるけど。」
と紫崎さんは散華とつぶやく。その瞬間に刀が紫崎さんに呼応したように現れた。
私はどうしたらわからず紫崎さんから切り込んできた刀を避けきれなくて腕から血がでてきていた。
そしてその血を見た瞬間私は昨日の出来事を思い出したのであった。
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